全部全部、わたしのせいにして。 作:皇という名字、格好良すぎないか??
お父さんの部下の人に連れられて、医務室の方へ。
道中、ずっと考えてた。何が悪かったのかを。
何が原因で、マキちゃんが倒れちゃったのかを。
練習量は確かに限界に近い感じにはした。体力をつけてもらいたいから。それが良くなかったのかもしれない。わたしはまだエイリア石の補正があるから、多少は無茶が出来る。でも皆にはエイリア石の強さを与えてない。その違いがマキちゃんを倒れさせちゃったのかもしれない。
他にもあるのかもしれない。反省、しないといけない。
「ゼ、ゼロ様。お待たせしました。ここが医務室です」
「ありがとうございます。ここからは私一人で大丈夫です。戻っていただいて大丈夫ですよ」
「わ、分かりました! では私はここで……!」
颯爽と消えて行った。……何か、他の仕事でもあったのかな。
いや、そんなことより、今はマキちゃんだ。症状を見てみないと。どういう風に治すか決定させるために。
扉を開ける。ベッドで横になっているマキちゃん……そして、マキちゃんの様子を見ている瞳子お姉さんがいた。
……ちょっと危なかった。さっきまで誰もいなかったから、仮面が取れかかっていた。
急いで、整える。
瞳子お姉さんもこっちに気が付いたみたい。よかった。仮面を整えられた後で。
「……ゼロ、様」
「おや、瞳子さん。瞳子さんもマキュアさんのお見舞いですか?」
「……えぇ」
少しだけ睨まれてるような気がする。……仕方ないこと、なんだけれど。
あくまでそれを、私は受け入れる。笑みを浮かべて、何にも気にしていないように振る舞いながら。
「容態はいかがでしょう? マキュアさんが倒れてしまった、ということしか私は聞いていなくてですね」
「……先ほど診てもらった限りでは、特に以上はないとのことでした。ちょっと疲れが溜まっていたようです」
「っ!」
これを聞いて、かなりほっとした。マキちゃんは大丈夫。命に別状はない。ちゃんと、生きている。治す必要もないくらいに、大丈夫だそうだ。
大分肩の力が、抜けたような気がした。
「なるほど……それはよかった。ホントに」
本当によかった。何で倒れてしまったのかは分からないけど、マキちゃんが生きている。それだけで世界が輝いているように感じた。
「……ご心配、してくださるのですね」
「──っあ、あぁ、もちろんです。マキュアさん含め、大事な存在ですから」
ちょっと、危なかった。話しかけられたことに一瞬気が付けなかった。
「マキュアさん、一度起きられたりとかは?」
「してないですね。倒れてからずっと眠ってます」
「そう、ですか」
なんとか話の主導権を握ることで、仮面を被り直す。……ダメだな。マキちゃんを前にすると、どうしても戻っちゃう。気を付けていかないと。
「そういえば、マキュアさんが倒れた時に側にいてくださったそうですね。もし良ければ、その時の状況を教えていただいても?」
「そう、ですね。あの時──」
「──ん、んぅ」
「!」
詳細を聞こうとしたところ、ベッドの方から声が。マキちゃんだ。起きたんだ。目覚めてくれたんだ。
声からしてうなされてるとかでもなさそうだし、目が開きかけてる。ホントに目が覚めそうって感じだ。
「おや、お目覚めでしょうか。意識も戻ったようで何よりですね」
だけど……安心してばかりはいられない。さっきだって仮面が取れかけちゃったんだから。こういう時こそ、わたしはゼロとして振る舞う必要があるんだ。
マキちゃんの目が開いてく。瞳子お姉さんと──わたしを見た。
次の瞬間、マキちゃんは急にガバッと身体を起こして、いきなりわたしの腕を掴んできた。
それに驚いたのも束の間、マキちゃんは叫んだ。
「れいッ!! れい、なんでしょッ?!?!」
ぐらり、と揺れた。
「ねぇ、れいッ! なんでこんなことしてるのッ?! なんでそんなへんなやつに──いたッ!!」
掴まれた腕が離される、ちょっとふらついた。
マキちゃんは頭を抱えてうつむいてる。
「ちょ、ちょっとマキ?! 大丈夫?!」
「う、うぅぅ……ッ! あたま、いたい……ッ!!」
駆け寄る瞳子お姉さん、痛そうにしてるマキちゃん。
「マキちゃん……?」
そして、何も出来ないわたし。
ただ、驚くことと、考えることしか出来なかった。
なぜなら、今マキちゃんがわたしの名前を呼ぶことなんて、あっちゃいけないのだから。
なんで? どうして? 『上書き』が甘かった? なら他の人も同じで解けちゃうはず。でも解けてる様子はなかったし、そういう話も聞いてない。
……でも、こうして名前を呼ばれたってことは、そういうことなんだろう。
なら、もう一度『上書き』するしかない。
よかった。わたしがここにいるときに解けちゃって。そのまま『上書き』出来るから、大きな問題にならないはず。
ついでに瞳子お姉さんの『上書き』もやってしまおう。今まで大丈夫だったけど、前にした記憶がないから、今しておけば安心できるはず。
少しだけ、集中。『上書き』の準備だ。
今回は二人。前に皆を一気にしたときよりは楽。あまり時間もかけられないし、早めにやってしまおう。
「──あれ?」
「っ? どうしたの? 頭は痛くない?」
「う、うん……急に大丈夫に…………なっ、た」
マキちゃんの頭の痛みは収まったらしい。なんだか、ちらちらとこっちを見てるような気がする。
収まったのはよかった。それに、今がチャンス。
「……大丈夫、でしょうか? 良ければ私のほうで少し診てみますが」
二人の意識をこっちに持っていく。『上書き』は、こっちをむいて貰わないと出来ない。
……ごめんねマキちゃん。ごめんなさい瞳子お姉さん。まだしばらくは、『上書き』させてね──。
「──いえ。大丈夫です、ゼロ様。もう治りました」
「え」
手が、止まった。
戻ってる。今、あるべき正常な状態に。いやある意味では異常でもあるけど。
「ご心配をおかけしてしまい、申し訳ございません。イプシロン所属、マキュア。明日より復帰させていただきます」
「──そう、ですか」
戻った。これは喜ばしいこと。だって計画が問題なく進められることでもあるから。
あぁでもどうしよう。今、嬉しいはずなのに。喜ぶべきなのに。……とっても、つらい。
マキちゃんから面と向かって、敬語とか使われてしまうことが、こんなにもつらいなんて思わなかった。
覚悟はしてた。『上書き』したときから覚悟はしてた。なんなら、もう大丈夫だとすら思ってた。一回皆を一度に『上書き』した時、皆からそんな風に振る舞われたから。
今思えば、マキちゃんからは目をそらしてたんだと思う。もしあの時マキちゃんも見ていたなら、こんなにつらくないはずだから。
あぁ、もしエイリア石がなければ──。
「……ッッ!!!」
心臓に激痛。順に節々にも痛みが出てきた。急いで別のことを考える。
痛みはまだ残ってる……けどなんとか、ピークは越えた。しかも声を出さずに済んだ。
「……ゼロ様?」
「──あっ、あぁ、すみません。……治ったみたいでよかったです。でも無理はなさらないでくださいね。皆さんは計画を進める上で大事な存在なのですから」
少し早口になりながらも、会話を進める。いや、切り上げようとする。
ここに居続けるのはまずい。またいつ
……身体を激しく動かして、それどころじゃなくさせよう。皆も力をつけてきてるけど、ゼロはそれをずっと圧倒する立場でなきゃいけないから。
それにただ、身体を動かしたい。
「では私は失礼します。申し訳ございませんが瞳子さんよろしくお願いします」
早足で医務室から出て、トレーニング施設のほうへ向かう。今日はこの時間に誰もいないはずだ。使わせてもらおう。
わたしが、つかれるまで。
──────
ゼロが急ぎ足で出ていった医務室。一人が出ていき静かになったその場所で、瞳子は改めてマキへと声をかける。
「……ねぇマキ。本当に大丈夫? ゼロ……様に対してはあんな風に言っていたけど、完全に回復していないなら、私から休むように伝えておくわよ?」
「……うぅん、大丈夫」
何か、考えてる様子のマキ。その反応に、少し瞳子は違和感を覚えた。
訂正されなかったのだ。マキと言ったことを。
倒れる前までは、しっかり訂正されていた。間違えたのはわざとじゃないし、言い終わってから気がついたものであるのだが。
これではまるで、一瞬だけ出てきていた今の生活が始まる前のマキのよう。
しかし先ほど、ゼロの前で礼儀正しく振る舞っていた。ならば、倒れる前までのマキであるはず。
考えることに集中してしまって訂正が疎かになっているだけなのか、それとも……なのか。それは瞳子で判断しかねることであった。
ただ一つ言えることは……マキは、今の生活が始まる前の記憶も持っていたということ。
零と瓜二つのゼロを、零と判断した。零のことを覚えていた。
零を覚えているマキと、覚えていないマキ。二人は一緒のはずなのに、覚えていないマキの方が、覚えているマキの数週間程度の未来であるという。
この間に何があったのか、瞳子は知らない。お日さま園の皆含めて、記憶に関して何かされたのだということしか。
「……ねぇ、瞳子姉さん」
「! なにかしら」
「瞳子姉さんは覚えてるんだよね? 零のこと」
マキから問われる。零のことを。
これに瞳子は大きく驚いた。確かに、あの時一瞬思い出していた。いや正確には、戻っていたと表現する方が良いかもしれない。
しかし、直後の頭痛とゼロに対する倒れる前までのような態度、この二つで、マキがマキュアに戻ってしまったのだと思い込んでしまっていた。
「マキ、あなた……分かるの? 零のこと」
「うん、さっきね。思い出したよ。なんで、私が『マキュア』になってたのかとかも」
「!!」
さらに瞳子は驚きの表情を見せる。お日さま園の子たちが変になってしまった原因が、わかったということに。
「お、教えてちょうだい! なんであの子たちが、あんな風になってしまったのかっ!」
「あ、ちょ、ちょっと怖いよ瞳子姉さん! ……まぁ、確かに分かるけど。だって皆、最初からそうだったっていう風に思ってるもんね」
私もそうだったんだけど、とマキは締める。
そう、現在お日さま園のメンバーだった皆は、父である吉良星二郎の計画に、協力者ゼロのと手を組んで参加するのだ、と本気で信じている。そのために、トレーニングを積み重ね、己を強くしているのだ、と。
計画の内容の詳細は明かされていないにも関わらず、だ。
加えて、自分たちを宇宙人としても認識している。いや、そういう風に振る舞うように仕組まれてしまった、というべきだろうか。
「えっと、たしか……」
ゆっくりと、言葉をまとめながらの様子。しかし瞳子は焦らず、その言葉をただ待った。
「……たしか、あの日は──」
下でちょっとしたアンケートを実施させてください
サッカー描写はどこまで欲しい?
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他の作品のように、結構がっつりめに
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欲しいけど、さらっと流す程度には
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いらない。一言説明があればよい