元気になったアレクシアは前よりも活発になった気がする
「エルザは選抜大会どうするの?」
「私が出場すると思う?」
「しないわね」
なら何で聞くんだよ
などと考えながら、剣を振るうアレクシアを眺める
アイツのと似てる…
「アレクシアなんか変わったね」
「…そう?」
アレクシアの剣は元々はアイリスを真似ているようなものだった、今はジャドウの剣と似ている
「私、自分の剣好きになることにしたのよ」
「ふーん…よかったよ」
立ち上がりスカートを叩き砂埃を取り除く
視線だけをこちらに向けているアレクシアをみて笑みを作る
「私実はアレクシアの剣好きだったんだよ。言ったら嫌がると思って言って無かったけどさ」
「…言ってくれればよかったのに」
「私ってば気遣いができちゃうからー」
手を振り寮に戻る
アレクシアから言えば凡人の剣なんだろうけれどもさ、凡人ってのは怖いんだよ
頭に浮かぶのは努力だけで最強まで登り上げた馬鹿の姿
ーーー
なんかアレクシアが怪我をして帰ってきた
この子誘拐されたばっかだよね?
怪我した理由を聞けば、シャドウガーデンを名乗る不審者と戦い負けたとのこと
「そのうちなんか道端で死体見そう」
「不謹慎なこと言わないで欲しいのだけれども?」
いや本当になんか死んでそうで怖い
ーー
アレクシアはアイリスに説教を受けているため1人で学園に向かう
「ねぇ知ってる?ほらあの子昨日垂れ流しながら走っているって噂の」
「えぇ本当?不潔…」
なんかすごい噂流されている奴がいるななどと思いながらヒソヒソと陰口を叩かれているであろう男子生徒を見る
「…何してんだよ」
シドだった
アイツ何なの?
ーー
「ガンマが商会開いていたの知ってた?」
「俺の実家を考えろ、知ってるに決まってるだろ」
昼休み図書室で話しかけられて小声で答える
この声のトーンならば聞かれることはない
「…僕の…計画が」
珍しく絶望している
「…どんまい」
最初知った時は同じような顔になっていたのだろう
同情し肩を叩き図書室から出る
ーーー
シドに血糊をくすね取られたりと、大会があったり、数日間で色々あった
選抜大会でモブらしく負けるために必要だったと言っていたが、ストック全て使ったのは何故だ?そしてお前女子寮には入らないとか言っていたくせに何故入った
あとモブっぽい負け方には血糊はいらない普通に倒れとけ
ーー
生徒会の話があるとか何とかで早く授業が終わった
「エルザさんどこへ?」
「お手洗いに、すぐに戻ります」
クラスメイトに声をかけられたがそれだけ返し振り返ることなくトイレに向かう
「…?」
何か違和感を感じた
トイレに関しての違和感じゃない、慣れたくはないが慣れてしまったが
魔力の流れを阻害されている
すぐにトイレの個室から出ようとしたがスカートのチャックがスカートに引っかかった
「は?」
イラつきながらチャックを治そうとするがなかなか元に戻らない、トイレの外から聞こえる悲鳴を聞きさらに焦る
数分後格闘した
ちゃんとスカートを履けるようになり扉に手をかけた時、トイレの扉が勢いよく開けられる音がした
「隠れている奴も全員見つけ出せよ!俺はこっちを探す」
話し声が聞こえるトイレの個室から出れなくなり始めていた
一つ一つトイレの個室を開け始めた
前から3番目に入っているため少しだけ考える時間はある、素直に降参するか殺すか
3番目の扉を開けようとした瞬間扉を開けて、扉に男の額が打ち付けられ、声を上げる暇も与えず首をへし折り、さっきまで入っていた個室に入れる
「殺すだろ」
考える理由もなく殺した
用具入れからモップを取り出して、へし折り先端の尖った木の棒にする
なかなか戻ってこない仲間を心配したもう1人の黒ずくめの男が入ってきた瞬間木の棒を耳から反対側の耳に貫通させる
声を上げることなく、きっと状況を理解する暇もなく壁に寄りかかり倒れた
何か持ってないから荷物を漁るが特にいいものはない、手が血で汚れたので洗う
魔力が使えねぇ
黒いスライムを練り上げるが上手く使えない
「…ん?お!魔力を細く加工すれば!すげぇ面倒だけど使えんな!」
試しにスライムをいじっていた時に見つけたこの状況のすり抜け技にテンションが上がりトイレから出る
エルザとしてこの場にいるのはリスクが高い、もし七影達にメーデンとエルザが同一人物だと結び付けられて仕舞えば、記憶を消す術がないエルザは殺すしかなくなるのだ、それはなるべくしたくない妹分として可愛がっているあの7人をなるべく殺したくはない、スライムを魔力で操り男子生徒の制服を作りまとう、アレクシアにお揃いとか言われて無理やりつけられたリボンを外す、マスクもついでに作りつける
案外エルザとは似てない姿を窓のガラスの反射でみて満足げに歩く
視線の先に見えた黒ずくめの男の背後に足取りが軽くなるそこらへんに落ちていたガラスの破片を拾い近づこうとした瞬間男が倒れた
「…あ?」
よくみてみると頭の近くに黒いスライムが落ちていた
「アイツ…」
殺す気満々でいたというのに邪魔されたことに怒りを抑えることなく、証拠となるスライムを持ちスライムを飛ばしたであろう場所に向かう
ーー
雲ひとつない青空、太陽が照らす屋上
「なに、人の獲物取ってくれてるんだ!」
スナイパーごっこをしていたであろうシドの背後に駆け寄り頭を殴る
「痛!」
「何してくれちゃってんだよ馬鹿…つーかお前それどうした」
振り返ったシドの制服はざっくりと斬られたように血が染み付いていた
「モブ式奥義」
「もういい分かった」
少しだけ心配して損したと思いながら興奮したように話を続けようとしたのをやめさせる
「エルザこそ何してんの?メーデンの姿で」
「トイレ行ってスカートが引っかかってたらこんなことになったんだよ。それに俺が好きな格好して何が悪い」
「へぇ、そんなこと起きるんだ」
「男でも似たようなこと起きるだろ…男の方が悲惨なことになることが多いいけどな」
「ふーん」
興味なさげな返事をしながら相変わらずスナイパーごっこをしている
「何してんだよ…」
「こんなシチュエーションそうそうないからね」
学校襲撃…確かにそうそうない、そして誰しもが妄想の中で考えるシュチェーションだ
「俺殺し回るからな」
「残しておいてよ」
「おー努力するー」
軽く手を振り学園内に戻る
ーー
学園の廊下を歩く、すぐに黒ずくめの男と出会う
「おいお前この学園は我ら、しゃどー…シャドウガーデン?が占拠しっぐ」
ちゃんとシャドウガーデンの名前を覚えてないらしい男を殴る
地面に転がり立ち上がろうとする男の髪を掴み、窓ガラスに叩きつける
ガラスや枠組みが破れ、壊れるまでつづける
「やめ、や」
「なぁ…首謀者は誰だ?」
「し、知らない!俺は雇われただけで!」
涙と血で顔がぐちゃぐちゃの男は下っ端らしく情報を持っていない
「そ」
「命だけは」
「もういらねぇ」
「へ」
掴んでいた男の頭を勢いのまま、割れたガラスに叩きつける
「運が良かったら生き延びれるぜ」
痙攣している男を見ずに呑気な声で話しかける
ーー
数十人テロリスト達に首謀者を聞き回ったが知っている奴は1人もいなかった、簡単に倒せるほどに弱く、寄せ集めの集団にため息をつき飽きてきていた
怪我をしたわけではない
もう飽きたので寝ることにした
夜までやることがない
寝台が仕切られる、カーテンを閉めてダイブする
目を閉じ頭の中を空っぽにする
何も考えなければ案外簡単に寝れる、それまでが難しいのだが
ーーーー
好きな子がいた
黒い髪に黒目の女の子
前世の名前が女の子っぽいという理由で同じ学年の男子達に揶揄われていたところを助けれてくれた
栞ちゃんという子は俺の名前をかっこいいって言ってくれた
嬉しかった、クラスメイトには名前で揶揄われて親からは女の子だと思ってたから仕方ないと言われて、初めて認められたような気がした
「はーくん」
春、女の子っぽい名前で呼ばれたがらないのを知ってかそう呼ばれるようになった
片方だけがそう呼んでは気遣われているとわかるから俺も
「しーちゃん」
そう呼ぶようになった
しーちゃんは強い子だった、転んでも泣かないしいつも笑顔で眩しくって、年上だからクラスは違って休み時間の時とかにあったり放課後遊んだりしていた
中3の夏、しーちゃんが自殺したとしーちゃんのお母さんから聞いた
おかしな話だと思った、だって昨日まで笑って話していたんだ、昨日しーちゃんとゲームしてたんだ、なのにおかしい
いじめられていたらしい
しーちゃんは高校生で学校も違うから知る由もなかった、いや知っていいはずだった、ずっと一緒にいたなのに気づかなきゃいけないはずだったのに
俺は助けてもらったのに助けられなかった
そんな失望感を抱えながら3年間過ごしたとある夏の日
高校三年生の夏交通事故で俺は死んだ
果たせない後悔を抱えて
解消できなかった初恋を抱えて
俺は女になった
それはもう現実逃避した
使うことなく消えた元相棒にお別れも告げれず
そして恋愛対象が女の子のまま
ふと思った、もし今この女の状態でしーちゃんに会ってしまったらあの子は気づいてくれるのだろうか?
きっと気づかない…
あの子に気づいて欲しいから、そして俺の無念を叶えるために俺は男に戻りたい
きっとあの時の後悔を男に戻ると言う目的に置き換えて現実から目を逸らしているのだろうきっと
ーー
「起きてください」
誰かの声がかすかに聞こえる
「メーデン様」
聞き覚えのない女の声
かすかに目を開ければ茶髪の年上の女性
「…しーちゃん?」
「ぇ?」
働かない頭で考えたせいか無意識に出た言葉にすぐに失言だと気づく
「…いや悪い気にするな」
起き上がり改めて姿を見れば、ガンマのところで見た記憶がある女性だった
「メーデン様準備が整いました。シャドウ様がお呼びです」
「そうか、助かる…っと」
「ニューです」
「そうか助かった」
寝台から降り、シドがいそうなところに向かう
「変な夢見た気がする」
頭を抑えながら血痕が所々ある廊下に出る
ーーー
ガンマ様からお話は聞いていた
メーデン様は病弱なのに我々のために身を削っていると、何かを隠していると
「しーちゃん?」
メーデン様がそのような呼び方をする人物は知らない、メーデン様とは親しいわけでも会話をする中でもない、なんなら会話なんてしたことない、だがしーちゃんなどと親しい呼び方をするのはきっとシャドウガーデン外の人物だと分かってしまう
去っていく背を見つめる
男子生徒の制服からメーデン様の服に変わっていく
その背が少しだけ儚く見えた
「…」
声をかけることもなにもできないその背中をただ見つめる
調べればメーデン様が言っていた人物がわかるのだろうか
ーー
大聖堂の屋上
失態だったな
先のことを思い出しフード越しに頭を掻く
何処となく雰囲気は似てるけれども顔の作りとか違うのに間違えるなんて、ニューにも失礼だし…
ため息を一つこぼして考えるのをやめることにした
「メーデン」
「分かってる」
その言葉の後シャドウは大聖堂の天井の窓を破り中に入った
それに続いて入る
シャドウは真っ先に黒ずくめの男に斬り殺されそうになっていた金髪の女子生徒の元に行き、男を切った
「見事だ、美しき剣を振るう者よ……」
落下中に銃で生徒を切ろうとしている男達を撃つ
「我が名はシャドウ」
着地をし、シャドウの方に銃を構える
「わ、私はローズ。ローズ・オリアナ……です…っ!危ない!」
それに気づいたのかローズがシャドウを庇おうとするが、シャドウは一歩も動かず逆に片手をあげローズを止めた
「がっ」
引き金を引いて弾丸が貫いたのはシャドウに斬りかかろうとしていた男だった
「呑気に喋ってんな、全部俺が狩るぞ」
「それは困るな」
ローズからみてこの2人は異様な存在感を放っていた
まるで全ての角度に目があるかのように動き敵の動きを読み、時には見ずに一撃で仕留めていく
万全な状態のローズでもこの数の敵を前に勝利を確信できはしない、だが弄ぶかのように余裕を持ちながら2人はこの場を赤に染めていく
「強い」
漏れ出た言葉
言葉を放たず、まるでお互いの未来の行動が見えているかのように連携していく姿にただ魅了されていく
生徒の避難誘導などをしなければいけないというのに、2人の剣から目が離せなかった
ーー
「珍しいな」
首謀者を追いかけ、そして倒したであろうシャドウに向かって声をかける
「…そうかな」
そう呟く声はいつもよりワントーン低い
「珍しいさ、お前がキレるなんてな」
「そりゃメーデンと違って毎日カルシウム取ってるからね」
「俺だって取ってるわ」
呆れるように言い放ったシャドウにキレ気味で返す
「…はぁアリバイ作りしなきゃな」
「あ」
「急げよ、騎士団も来てるんだからな」
ジャドウガーデンメンバーが周りにいないことを確認してスライムスーツを解除してアリバイ作りをするために動く
「聞かないんだ」
「今忙しい、暇な時にでも話せ」
珍しく感情的になっていることについての質問だと思いそれだけ返せば、笑い声が聞こえる
「僕、エルザのそういうところ好きだよ」
「野朗に好かれたってなぁ」
ため息混じりに言葉をこぼす
ーー
この後突入してきたアイリスやアレクシアにトイレに行っていたら大変なことになっていて、後から連れてかれたのでクラスメイトは知らないと、説明すれば納得していた
「ぐるしい、しぬ」
「うるさいわね…心配させたんだからいいでしょ」
アレクシアに首をがっちりホールドされている
アイリスは見ているだけ
これ俺じゃなきゃ死ぬからね?
名前しか出てこないけれどもオリジナルヒロインのタグをつけた方がいいですか?