武神祭も迫っているこの頃
「指さんは暑いの嫌い?」
俺は指とお話ししていた
意味わからないと思う、俺も意味わかんない
でも聖地で拾い治した指は何故か意思を持ち動いている、なんならさっきの質問に、指を曲げうんと頷いているように見える
「指さんはなんで聖地の中にいたの?」
基本はい、いいえ、しか答えられないためこう言った質問は困ったようにしている
「…名前わかればいいのにね」
綺麗な指はただこちらを見つめているように動きを止めていた
「アルファなら何か知ってるのかな?」
シャドウの魔力の光により、結局アルファにこれを見せるのを忘てしまっていた
「?嫌なの?」
指を大きく横に振り嫌だだと言いたげなそれに目を向けて、嫌ならやめておくかと納得し、部屋を出ようとした
「えぇついてくるの?俺、指を持ち歩くのやだよ?手を持ち歩く殺人鬼みたいじゃん」
服にしがみつく指を優しく掴みため息をつき考える
「ポケットの中から出ないでね」
ふと幼い頃しーちゃんが見ていた魔法少女に出てくるお助け妖精のようなことをしてくる指に笑みが溢れる
「しーちゃんあれ好きだったな…」
よく一緒に見せられていたな…
誰に向けた物でもない、ただ初恋を永遠と引きずる女々しい独り言を聞いた指はただ何を考えているのか、動きを止めていた
ーー
指さんはアルファのことが苦手なのかもしれない
「と言う状況よ」
「そうなんだ」
アルファとの会話中ポケットの中で微かに震える指を振動越しに感じる
「どうかしたの?もしかして体調が…」
「いや平気だよ…少し驚いただけだ、ローズ・オリアナが婚約者を刺して逃げるなんてさ」
「ディアボス教団に彼女を渡すのは少し痛手になる…でも最終的な判断は」
「そこら辺は全部アイツだろ」
手を振り背を向けて歩き出す
ミツゴシの従業員しか存在を知らない陰の間と呼ばれる建物内の廊下を歩き回る
「指さんは…名前とかないの?」
自分で言っていてかなりヤバいやつ味を感じた
考えるような素振りをして横に振った
「そっか」
フードのポケットから第3関節だけを出して見ているような気がする指さんを見つめる
その姿はまるで名前をつけて欲しいと言っている気がして、悪い笑みを浮かべ口を開く
「…俺に名付けを頼むと適当なのになるぜ」
その言葉を聞き指さんはポケットの中に完全に入ってしまった
俺はシドよりネーミングセンスが無いからな
アルファ(部下A)と名づけるアホより酷いネーミングセンスではないと思ってるがあまり自信がない
「メーデン さーまー」
何かを引きずる音と共に名前を呼ばれるが振り返ることなく歩みを止める
「あ、メーデンさま」
見つかったらしい背後から聞こえた声を聞こえなかったことにして歩く
「何で逃げるの」
気だるげな声が聞こえるが、何か金属製のものを引きずる音は相変わらず聞こえてる
「なんで追いかけるんだよ、イータ」
「メーデン様が、逃げるから」
とうとう後ろを振り向き声をあげてしまった、今にも寝そうな眠たげな目を擦りあくびを抑えそう言ってくる
「悪いが俺はこのあと予定がある」
「すぐに終わるから、ちょっとでいいから」
イータが近づくたびに後ろに下がる
イータは会うたび何故か変な薬を飲ませたがる、やめて欲しい。毒への耐性はある、だがイータが作る薬は時々予想外の効果を発症させる
早足で歩き進める
指さんが心配そうに顔?指先を出して覗いてる?
この後イータからは逃げきれた!
ーーー
エルザとして街を歩いていた時、なんか知ってるけど知らない見た目の、地味な青年を見つけた
「…お前それ」
「フッ」
振り返りこちらを見たがすぐに正面を向いた
「どうやったんだ!?」
「さぁな、俺はただの通りすがりだ」
知りたかった、顔を変えるためでは無い
知りたかった、一部の人がが胸にシリコンを入れるようにもしかしたらと思ったら
そもそもイプシロンの胸を見て、この方法は考えていた、だが魔力操作がイプシロンやシャドウほど上手くは無い、そのためイプシロンみたく本物を再現できることはできないだからやらなかった、だがこの男が今体につけているスライムは大した魔力操作もなく本物の肌そっくりにできてるでは無いか
男のマントを掴む
「おい、まて」
「まだ用が」
「俺との約束覚えてるよな」
「…言うと思ったよ。」
それを使えば!
「…偽物って虚しく無いの?」
「クソが」
思考中時々頭を浮かんでいたことを言われマントを話し悪態をつく
「見た目だけ…あれば…む、虚しさも…」
「ぁあ、なんかごめん」
歯を食いしばり目を逸らす
「お、俺はに、にせもので、まんぞくしない」
「ごめんって」
動揺を隠しきれてないエルザに地味な青年は思わずそんな声が漏れる
帰ってしばらく泣いた
ーー
ローズ・オリアナが婚約者を刺して逃げた
そんな知らせをアレクシアから聞いた時、飲んでいた紅茶を綺麗に吹いた
本当に綺麗だった、漫画とかアニメで見るヤツだった、マジでびっくりするくらい綺麗に吹いた
「何やってんのよあの女は……」
アレクシア舌打ち混じりにそう呟いていた
「ローズ様は王都の北に逃亡したようです。おそらくまだ王都は出ていません」
そう事務的に教えてくれるのはナツメ・カフカことベータだ
なぜここに俺がいるか?アレクシアに引っ張られた、ちなみに胸あたりには紅茶を吹き出した時のシミがついてる
着替えさせてもくれなかった
「そんな話私が聞いてもいいので?」
「別にいいでしょ」
「いいのか…」
「私は気にしませんし」
「気にしようよ?」
ベータお前!それでいいのか!?俺エルザだぞ!今無関係の一般人!もしかして怪しんでる!こいつなんか教団ぽいなてきな!?待て待て待て俺まだベータのこと殺したくないぞ!?
そんなくだらないことを考えているうちに話は終盤らしく、アレクシアは扉の前にいた
「エルザも巻き込んだけど、何か分かったら教えなさいよ」
「はいはいアレクシア王女さまのおおせのままにー」
「ぶん殴るわよ」
「きゃーこわぁい」
殴られた
しかも2回も