その転生レッドは如何にしてアローラに伝説を作ったか 作:勇(気無い)者
「なんというトレーナーでしょう! ボクが鍛えに鍛えあげた、ぬしポケモンを倒すだなんて……!」
メレメレ島のキャプテンである少年、イリマは驚きの声をあげた。
その場には、コウミとパートナーポケモンのニャビー、その後ろで見ていたイリマ。
そして、コウミとニャビーの前に倒れる、通常よりも倍以上は大きいデカグースが地面にのびていた。
コウミは既にリリィタウンでゼットリングを受け取っており、たった今イリマの試練であるぬしポケモンとの勝負に勝ったところだ。
「ポケモンと力を合わせ、イリマの試練の達成! 目覚ましいトレーナーです! コウミさん、おめでとうございます、ですね!」
「ありがとうございます、イリマさん!」
「さあ、台座のゼットクリスタルを!」
イリマが指差す先には、台座に安置されたクリスタルが輝いていた。
コウミが台座のクリスタル━━ノーマルゼットのクリスタルを手に取り、それを自分の左腕にあるゼットリングに装着。
「はい! とてもよくお似合いですよ! 今手に入れたそれは、ノーマルタイプのゼットクリスタル、ノーマルゼットです! それをリングに装着した状態で━━」
イリマはノーマルゼットに対応するゼンリョクポーズを披露した。
「━━このようにエレガントなポーズをする事で、ノーマルタイプである『ウルトラダッシュアタック』を始めとする、強力なゼットワザを放つ事ができます! ぜひバトルで役立ててください!」
基本的に、ゼットワザは元になったポケモンの技を強化する、という仕組みである。
例えば、「おいわい」という戦闘中に使うと、使用したポケモンがトレーナーを祝ってくれるという特に意味の無い技がゲームにはある。
これを元にゼットワザを放つと、使用したポケモンの能力が全て一段階上がるという、破格の変化技に変貌するのだ。
使用する技によって効果が変わったりするのが、ゼットワザの面白いところである。
「さて! 試練を終えた事を、島キング……ハラさんに報告しておいてくださいね」
「はい、分かりました!」
「はい! 良いお返事ですね! それでは、ボクは失礼します」
そう言い残すと、イリマはこの場から去って行った。
コウミはゼットリングにセットされたノーマルゼットを撫でながら。
「……えへへ。レッドさん、褒めてくれるかなぁ」
一人、ニヤニヤしながら呟いていた。
ちなみに、ぬしポケモンのデカグースは二人が話している間に起き上がり、自分の巣に戻っている。
それからコウミはレッド達と合流するべく、洞窟から出たのだが。
「こっちです! こっちの方から異常に高いオーラが計測されています!」
「ウルトラビーストのものか!?」
「波形が少し変わっていますが……それよりももっと強力です!」
女性と男性の声が聞こえてきた。
そちらに目を向けると、白と青を基調としたSFチックなスーツを身に纏った男女が走っていた。
ヘルメットで口元以外の頭部を覆っているので分かりづらいが、声や体つきから妙齢の女性と中年の男性。男性の方は髭を蓄えており、二人とも肌の色は青白い。
二人が走ってゆく先を見ると、そこにはレッドとリーリエが居た。
「……ッ! この少年です! この少年……と、足元のポケモンから、とてつもないオーラが……キャッ!」
女性が持っていた機械が、ボンッと音を立てて煙を噴き始める。故障したらしい。
「な、なんだ……! どうしたというんだ!?」
「わ、分かりません……もしかしたら、彼らのオーラが強大過ぎて壊れたのかもしれません……」
「そ、そんな事があるというのか……!? 相手はアローラの人とポケモンだぞ……!?」
「な、な、な、何ですか……!?」
慌てふためく男性と女性。レッドの陰に隠れて怯えるリーリエ。
その間に立つレッドは、二人の男女をボーッと眺めていた。
彼は前世の知識から、二人が敵ではない事を知っているのだ。
……ゲームでは主人公にバトルを仕掛けていたが。
レッドのポケモンに太刀打ちできないであろう事を考えれば、違う意味でも敵ではない。
「レッドさーん!」
「あ、コウミさん……!」
リーリエの表情が少しだけ明るくなる。変質者二人が現れた手前、顔見知りが増えて安心感が増したのかもしれない。
仮に伝説のポケモンが暴れようが、レッドの近くに居れば世界一安全なのだが、リーリエはバトルのバの字も知らないので、そんな事は分からないだろう。
「レッドさん、この変質者達は何者ですか!?」
「へ、変質者!?」
「失礼だな、君は!」
コウミの中々に失礼な一言に、二人組が憤慨する。
「私はミリンと申します! 変質者ではありません!」
「シオニラという! ワレワレは変質者ではないぞ!」
「ひぇっ……ごめんなさい……」
なんとも言えぬ気迫に押されて、コウミは謝ってしまう。
そんな彼女はさて置き、男性の方はシオニラ、女性の方はミリンというらしい。
調味料みたいな名前だな、と心の中で呟きながらレッドも名乗り返した。
怯えているリーリエと後ずさったコウミ、そして相棒であるピカチュウも紹介する。
「ピカチュッ!」
「う、うむ……こちらでは、アローラと挨拶するのだったな」
「……それで、シオニラさん……と、ミリンさんは何をしにここへ?」
ちゃっかりレッドの後ろに隠れながら、コウミが訊ねた。
リーリエは右から、コウミは左から顔を出している。
「うむ、そうだな……ワレワレは、アローラで普段見かけないような生物の調査をしている」
かなり言葉を選んだな、とレッドは思ったが、その辺りの通行人に踏み込んだ事を話すわけがないか、と思い直す。
無論、それは前提としてあるが、何よりもレッドの強力過ぎる得体の知れないオーラを彼らは警戒していた。
シオニラに次いで、ミリンも口を開く。
「あなた達は、この辺りで見た事もない変わった生物の目撃情報などを聞いたりしてませんか?」
「いえ、聞いた事ないです……」
「わたくしも聞いてないです……」
コウミとリーリエの言葉にレッドも同意する。
「そうか、それならばいいが……」
シオニラはそう言いながら、レッドをまじまじと観察している。隣のミリンもだ。
無遠慮な視線にレッド自身は何も思わなかった……というか、原作キャラである二人をレッドも観察していたので、何も言わなかった。
しかし、コウミはレッドへの態度が癇に障ったようで、威嚇するように口を開く。
「な、なんですか……! レッドさんは世界で一番強いトレーナーなんですよ! どんな相手だって、レッドさんには敵わないんですからね! あと、アローラじゃなくてカントー出身ですからね!」
「なに!? おぬしはアローラの人ではないのか!?」
「アローラの人ではないのに、あれほどのオーラを……」
「いや、しかし言われてみれば、あの施設で研究を仕切っていた
「確かに、
レッドが眉を顰める。
アローラ地方において、明確にカントー出身者だと言われているのは、ゲームの主人公だけ……つまり、この世界ではミヅキとコウミだけのハズだ。
強いて言えば、出身地についての言及は無い、オーキド博士の従兄弟であるナリヤ博士が怪しい。
ゲームにおいては、ナリヤ博士とシオニラ達は接点が無さそうだったが、この世界では面識があるのか。
あの施設、というのもふんわりし過ぎてイマイチ分からない。
と、レッドは数秒ほど熟考に熟考を重ねたが、結局のところ何も分からないので思考を放棄した。
シオニラとミリンも話し合いが終わったのか、レッドの方へと向き直る。
「んんっ! 失礼した。先ほど、世界で一番強いトレーナーと言っていたが、それは本当か?」
「そ、そうですよ! それがどうしたんですか!?」
相変わらず小動物のように威嚇するコウミを尻目に、イッシュ地方もカロス地方もガラル地方もまだ行ってないのに世界最強はどうだろう、とレッドは思っていた。
しかし、複数のポケモンリーグを制覇したトレーナーがそもそも彼以外に存在しないので、世間的にも世界で一番強いトレーナーはレッドであると認識されている。
……彼が心の中で思った地方には、そう思っていない者も少なからず存在しているようだが。
「それが本当なら……そうだな。ワレワレにはやるべき事があり、それは非常に困難な道……もしもおぬしさえ良ければ、是非とも力を貸してもらいたい」
そんなシオニラの言葉に、レッドは二つ返事で了承した。
コウミとリーリエが驚いた顔でレッドを見ている。
「うむ、助かる」
「ありがとうございます。とは言っても、現状は特に困り事もありませんので、いずれ連絡させてもらいます。スマホはお持ちですか?」
ミリンに言われてレッドがスマホを取り出すと、彼女はスマホとは違った機械を取り出し、連絡先の交換を行った。
ゲームでもシオニラには「なんでも科学力で解決しようとするワレワレと違って立派なものだな」というセリフが存在する通り、彼らの科学力は相当に高度なものらしい。
スマホとは違った機器でスマホと連絡するとは、どれほどの科学力があれば可能になるのか。
「それでは、ワレワレは調査を続けるので失礼させてもらう」
シオニラがそう言い、ミリンはペコリとお辞儀すると、二人はこの場から去って行った。
「……レッドさん、そんな安易に引き受けて良かったんですか? あんな変な格好の人たち、出会ってすぐ信用しない方が良い気がしますけど……」
「人を見掛けで判断するのは気が引けますが……わたくしもコウミさんと同じ意見です……」
中々に酷い言われようだが、実際シオニラとミリンはかなり浮いた格好なので、何を言われても仕方ない部分はある。
が、レッドとしても彼らを信用した訳ではない。
ゲームでの彼らは、確かに敵として登場するキャラクターではなかった。……ポケモンバトルを挑んでくる事は別として。
しかし、ゲームとアニメの設定がゴチャゴチャになり、更にレッドが滅茶苦茶した事で全くゲーム通りに進んでいない、この世界線でも味方だとは限らない。
だから、協力を引き受けて泳がせた。
そして、それはシオニラ達も同じである。
得体の知れないレッドをかなり警戒しており、目の届く範囲で監視するつもりのようだ。
と言っても実際に尾行したりする訳ではなく、レッドのスマホにGPSプログラムを仕込んでおり、それで行動を観察するつもりらしい。
連絡先交換の時に仕込まれたのだが、さすがのレッドも気付いてはいない。
……そんな思惑を話す気はなく、レッドは二人だけは何があっても守る、とだけ答えた。
「レッドさん……!」
流されるコウミ。チョロい女である。
リーリエはレッドに何か考えがありそうだ、と感じたのでそれ以上は何も言わなかった。
ガッツリカットされるイリマさん。まイリマしたね。
魔界に行ったらきっとモテモテですよ。それは入間くんか。
……イリマファンの皆さん、ごめんなさい。
でも、チンタラやってたら話進まないんですよ……まぁ、今回中身スカスカな気がしますが。
今後の試練もほとんど真面目に描写はしないつもりです。
なんか、レッドとリーリエが二人で待機してたって大丈夫かな……承太郎さんと康一君みたいに気まずい空気になってたりしないかな……。
「あのォ〜、その後……ポケモン捕まえたりしましたか?」
「ン? いや……別に……だな」
「あのォ〜、この後はどこへ行かれる予定なんですか?」
「ン……いや……別に……その辺だ……な」
「…………(まいりました……無口な方だから会話に困ります……コウミさん、早く戻ってきてください……!)」
みたいな。
まぁ、一緒にロコン捕まえに行った仲だし大丈夫か……。
ウルトラ調査隊のシオニラさんとミリンさん、登場。互いに警戒し合っております。
正直、最初は登場させる予定なかったけど、色々調べてて「そういやこんなヤツら居たなぁ……」と思って出演。
ちゃんと話に活かせるかどうかは私の塩梅次第……腕の見せどころやぞ!
でも期待はしないでくださいね……。スカウターの爆発みたいな事やらせてますし。
どうでもいいですが、何でもいいからポケモンやりたい気分。
ポケマス始めたけど、私がやりたいのは努力値振りとレベル上げなんだよなぁ……まぁ、これはこれで楽しいけど。
ウルトラじゃなくていいから、サンかムーン買ってこようかな……。ちょっと気になる事もあるし。
ウルトラしかやってないから、サンムーンの話知らないんですよね……カットされた国際警察の二人とか。
というか、シンオウからカロスまでの間も全部知らないけど。だからハンサムもよく知らない……。
以下Q&A。
Q.なんでダルスとアマモじゃないの?
A.私がウルトラムーンやってたから。
シオニラとミリンは記憶にあるけど、ダルスとアマモは全く記憶にない。
ウルトラムーンでは、ウルトラメガロポリスに出てくるらしいけど、本当に全然記憶にない。
なので、シオニラとミリンを出してます。ダルスとアマモは出す予定無いです……多分。
追記
イリマの試練のぬしポケモン、アローララッタじゃなくてデカグースじゃねーか!!
アローラコラッタ/ラッタはそういえば民家の食料を買い漁ったりする害獣だったわ。
それらに対処すべくヤングースが持ち込まれた……とかそんなだったっけ?
何にせよアホすぎますねw
本文は直しておきました。すいません……。