その転生レッドは如何にしてアローラに伝説を作ったか   作:勇(気無い)者

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お待たせして申し訳ないです……。


11.アーカラ島へ

「おおう! あっぱれ!」

 

 島キングである、ハラの最後の手持ちのポケモン、マケンカニが倒れた。

 ここはリリィタウンの中央、舞台の上。

 ハラの手持ちであるマケンカニの前には、コウミの手持ちポケモンである()()()()()が立っていた。

 カヒリの試練が終わった翌日、ニャビーはニャヒートに進化していたのだ。

 そして、メレメレ島の試練を全て突破したコウミは、たった今島キングの大試練━━ポケモンバトルに勝利したところである。

 

「か、勝った……?」

 

 信じられないといった様子のコウミ。

 彼女の手持ちはニャヒート以外全て倒されており、残ったニャヒートも満身創痍の状態で、文字通り死力を尽くしての勝利だったのだ。

 

「決して番狂わせなどではない、なんと…… よいトレーナー! そして、よいポケモンたちですな!」

「ハラさん……」

 

 島キングであるハラの言葉に、コウミは段々と勝利の実感が湧いてくる。

 

「やった……! やった! 勝った! 私が勝ったんだ!」

 

 そのまま走り出し、ニャヒートに抱きついて。

 

「やった! 私たちやったんだよ! 私たちが勝ったんだよ、ニャヒート!」

「にゃお〜ん」

 

 ゴロゴロと喉を鳴らしながら、ニャヒートはコウミの頬に顔を擦り付ける。

 バトルに勝った事は、確かにニャヒートにとっても嬉しい事だ。

 しかし、それよりも━━何よりも、自分のマスターであるコウミが喜んでくれている。

 ニャヒートにとっては、それが一番嬉しい事だった。

 

「コウミさん、おめでとうございます!」

「リーリエちゃん……!」

 

 リーリエも駆け寄ってきて、コウミを祝福した。

 ポケモンバトルが苦手な彼女も、心が動かされるほどのバトルだったのだ。

 ハラもコウミも二人のポケモンたちも、誰もがバトルに真剣で、楽しんでいた事がリーリエにも伝わった。

 だからこそ、リーリエは素直にコウミを祝福する事ができたのだ。

 

「凄かったです……! 本当に……言葉にならないくらいに……!」

「ありがとう、リーリエちゃん!」

 

 抱き合う二人を、レッドは舞台の外から優しく見守っている。

 それからコウミはハラからかくとうゼットを受け取り、その場はお開きとなった。

 ハラはレッドとも戦いたそうにしていたが、レッドはその誘いを蹴る。

 島めぐりの主役は、あくまでコウミ。今の彼女のバトルに水をさしたくないという理由から、とても戦う気にはならなかったのだ。

 ……決して、かくとうゼットを手に入れても意味がないから、という理由ではない。断じて。

 

 

 

 

 

 

 翌日、三人はメレメレ島から船に乗り、アーカラ島を目指した。

 

「私、船なんて初めて乗ったよ」

「コウミさんは、アローラまで飛行機で来られたんでしたね」

「え、アローラまでの船って出てるの?」

「ええ、母はクルーズ船でアローラまで来たと言っていました。……わたくしは、まだ生まれる前でしたが」

「そうなんだ……船旅かー、ちょっと憧れちゃうかも」

「うふふ、そうですね。いつか大人になったら、ミヅキさんと三人で船旅するのも良いかもしれませんね」

「えへへ、そうだね」

 

 そんな感じで、二人は楽しく話していたのだが、急にコウミが吐き気を訴えだした。

 船酔いである。未来の船旅の話は、ミヅキに話す前に潰えた。……コウミの船酔いが治らない限りは。

 

「うー……気持ち悪いよー……」

「コウミさん、しっかりしてください。もう間もなくアーカラ島に着きますから……!」

 

 ソファで横になっているコウミを励ますリーリエ。

 彼女の言う通り、すぐに舟員のおじさんがアーカラ島に着いたことを教えてくれた。

 

「コウミさん、立てますか……?」

「うぅ……うぷっ……!」

 

 体を起こしたものの、猛烈な吐き気に口元を押さえる。

 レッドの手前、絶対にリバースしたくないコウミは何とか我慢しているものの、症状はかなり深刻なようだ。

 何より、船は動いてなくても波で揺れる。このまま座っていても、良くなる事はないだろう。

 

「どうしましょう……! ……レッドさん?」

「ひゃっ……!?」

 

 見兼ねたレッドが、コウミを抱きかかえた。お姫様抱っこというヤツである。

 

「レッドさん…………うぷっ」

 

 感激のあまり、一瞬は吐き気を忘れたコウミであるが、回復とまではいかなかったようだ。

 が、もし今リバースしてしまったら、コウミはそのまま海に身投げしたくなってしまうので、死ぬ気で吐き気を抑えた。

 

「……ピィーカ」

 

 レッドがコウミを運んでいる時、ピカチュウがレッドの肩に乗ってコウミに手を触れる。

 すると、不思議なことにコウミの吐き気は少しだけ良くなった。

 

「あ、ありがと、ピカチュウ……」

「ピカッ」

「それに、レッドさんも……すみません……」

 

 謝るコウミに、レッドは全く気にしていないと伝える。

 それから船を降りた一行は、フェリーターミナルの適当なベンチにコウミを寝かせた。

 

「大丈夫ですか、コウミさん……」

「う、うん……大丈夫だよ、リーリエちゃん……」

 

 声も顔色も何もかもが大丈夫ではないが、気丈に振る舞うコウミ。

 レッドはリーリエに何か飲み物を何本か買って来るよう指示し、小銭を渡した。

 

「分かりました、行ってまいります……!」

 

 リーリエが近くの自販機に小走りで駆けて行く。

 それを見送ったレッドは、サーナイトをボールから出した。

 彼女はコウミを見るなり状況を理解し、「いやしのはどう」を使用。優しい色のオーラがコウミを包み、顔色が見る見る内に良くなってゆく。

 

「……? あ、アレ……? すごく楽になった……」

 

 グロッキーだったコウミは、体を起こせるほど元気になった。

 戻ってきたリーリエも驚いている。

 

「コウミさん……!? 起き上がって大丈夫なのですか……!?」

「あ、うん……なんだかすごく楽になったよ……」

 

 そう言いながらコウミが顔を上げると、そこにはサーナイトの姿が。

 

「……もしかして、レッドさんが?」

 

 コウミの言葉に、レッドはサーナイトの「いやしのはどう」で回復させた事を話した。

 本来、外傷にしか効果がないものではあるが、看護資格を取れるぐらいには知識があり、人体構造の本を読んだ事のあるサーナイトにとっては、何ら難しい事ではない。

 

「……サーナイト、それにレッドさんも、ありがとうございまっ━━!?」

 

 立ち上がりながらお礼を述べるコウミは、足がもつれてレッドの方に倒れ込んだ。

 ぼすんっ、と優しい感触にコウミは受け止められる。

 顔を上げてみれば、使えないはずの「こわいかお」をしているサーナイトの顔がそこにはあった。

 

「ひぇっ!? ごご、ごめんなさいっ!!」

「コウミさん……?」

 

 慌ててサーナイトから離れるコウミ。角度的に見えなかったので、不思議そうに見ているリーリエ。

 しかし、サーナイトは興味なさげにコウミから視線を外すと、レッドに抱きついて甘えだした。

 優しくサーナイトの頭を撫でるレッド。

 そして、コウミの方に横顔を向け、勝ち誇ったような表情を浮かべるサーナイト。

 そもそもにして、コウミがあのまま転んでいたら間違いなくレッドに抱きつく形になっていた。

 それをサーナイトは、わざと間に入って阻止したのである。

 

「う、うぅ……なんか負けた気分……」

 

 助けてもらった手前、何も言えないコウミ。

 そんな彼女とサーナイトを何度も交互に見て、リーリエは何も察せず疑問符を浮かべる。

 

「……あ、コウミさん。おいしいみずとサイコソーダ、どちらが良いですか?」

「……サイコソーダ」

 

 コウミはサイコソーダを飲みながら、サーナイトを複雑な表情で見る事しかできないのであった。

 

 

 

 

 

 

 それから一行はフェリーターミナルを出て、カイタイシティへと足を踏み入れた。

 この街には「ホテルしおさい」や「空間研究所」などの施設がある。

 今日はまだ泊まるような時間でもないし、ククイ博士からバーネット博士に口利きしてもらっていないので、空間研究所に立ち寄る訳にもいかない。

 しかし、ショッピングエリアでコウミが足を止めた。

 

「あ、ブティックだ」

「ブティック……コウミさんは、自分で服を選んでいるのですか?」

「え? うん、そうだよ」

「普通、そうですよね……わたくし、母が選んだ服だけを着ていて……自分にどんな服が似合うのか、よく分かっていないのです……」

「そうなんだ……じゃあ、ちょっと寄っていこうよ!」

「えっ……でも、あの……」

「一緒に服見よ! レッドさんにも選んでもらおうよ! ……あ、レッドさん、ブティックに寄っても良いですか?」

 

 コウミの言葉に、レッドは力強く親指を立てて肯定。三人はブティックへと入った。

 それからリーリエとコウミによるファッションショーが小一時間ほど開催されたものの、いつもの服が一番だな、というレッドの一言で終了。

 一応、レッドも真剣に服選びをしていたし、水着の試着時にはスマホで写真を撮ったほどである。

 ……リーリエに怒られたので、写真は泣く泣く消すハメにはなったが。まぁ、勝手に撮ったので当然である。

 しかし、何も買わずに店を出るのも悪いので、レッドはネックレスを二人のために購入。

 

「ちょっ、レッドさん!? それ三十万円もするヤツ……! あっ……」

「……え!? わたくしにも、ですか……!? そんな、悪いです……! あっ……」

 

 断る間もなく、レッドは二人にネックレスを着けた。

 コウミには、ガオガエンをモチーフにしたものを。

 リーリエには、アローラロコンとアローラキュウコンをモチーフにしたものをプレゼントした。

 かなり高価だが、レッドにとっては大した金額でもなかったりする。

 彼は無冠のチャンピオンではあるものの、カントーリーグを制覇して以降、公式戦に出るだけで少なくない報酬が入っていたし、リーグ優勝賞金はさらに桁一つ違う金額が手に入る。

 元々ポケモンを鍛える以外の趣味もなく、一年以上シロガネ山でお金を使わない生活をしていたので、貯金は凄まじい額なっていたりするのだ。

 

「……ありがとうございます、レッドさん! 私、一生の家宝にして大事にします……!!」

「わたくしも必ず大事にいたします……こんな素敵なものを……ありがとうございます!」

 

 結果的に、二人はレッドの贈り物を喜んでいた。




 おそろしく早い(サーナイトの)移動……俺でなきゃ見逃しちゃうね。
 あの近距離なら風圧とか凄そう。多分、未来予知で先に動いたのかもしれない。知らんけど。
 そしてイリマに続いてハラカット。後のことを考えると、この二人不遇すぎる……。すまん。

 少し期間が空いてしまいましたが、サンでアーカラ島を攻略してまして。
 やりながら話考えてたら、キャプテン三人でそれぞれ書けそうなので、アイデアが消える前にとプロット書き殴ってました。
 ナマコブシ投げやりたかったので、そこまで進めたかったんですよね。
 サンムーンの服は何しろ高い。なんでハウオリシティに15万円の服売ってんねん……買えんがな。
 きりたん(主人公の名前)にオシャレさせたいので、お金欲しいんです。……どうでもいいですね。

 てか、レッドとグリーンの勝負の話を書こうとしてたのに、キャッキャウフフイチャイチャしただけで終わったやんけ。
 相変わらずのクオリティですが、次回こそレッドvsグリーンを書きますので、よろしくお願いします。
 以下Q&A。


Q.ムーン版のぬしポケはアローララッタなので問題なかった
A.ソーナノ!?
 ソーナンス!
 調べたらサン=デカグース、ムーン=アローララッタとご指摘いただいた通りでした。だからツッコミ無かったんですね……勉強不足でした。
 教えて頂いてありがとうございます。
 「交代制でもいいと思います」とのこと。
 なるほど。なら、ミヅキの相手をしたのはアローララッタだったという事で……コウミとは違う洞窟に案内されたのかな。
 グリーン? グリーンは、ガチイリマの手持ちとバトルじゃないですかね。

Q.ルザミーネが船でアローラに来た。
A.チャリ船で来た。
 という事になった。
 ルザミーネたちが他所の地方出身なのは知ってるんですが、いつ来たんですかね?
 リーリエが産まれる前? 産まれた後?
 多分、産まれる前なんじゃないかと思ってリーリエにそう言わせてるんですが、違ったらなんかごめんなさい……。
 言及させない方が良かったか……。
 そういや、メガピジョットは二週間飛び続けられるらしいし、レッドのリザードンも頑張ればアローラに飛んでくぐらい訳なさそうだな。

Q.ネックレスについて。
A.調べたら片方は実在した。
 アローラロコン&キュウコンの方です。実在したというか、書く前に調べたら出て来た、が正しいですが。
 一番高いプラチナで¥143,000。
 ……おや? レッドさん、ぼったくられてないですか?
 ガオガエンは無かったけど、まぁアローラ地方ならあってもおかしくないかな、と。
 特にガオガエンはロイヤルマスクの相棒なので、ジュナイパーやアシレーヌよりはあってもおかしくない。
 ……フィーリングで御三家選んだけど、理由の後付けができてラッキーだった。
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