その転生レッドは如何にしてアローラに伝説を作ったか   作:勇(気無い)者

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7.少女たちのこれから

「何だか分からないが、ミヅキはグリーン君が。コウミはレッド君が島めぐりに同行する、という事でいいかな?」

 

 唐突すぎるグリーンの宣戦布告の直後。

 ククイ博士は、話の流れから状況を整理した。

 レッドもグリーンもそれを肯定する。

 この場において、話がイマイチ分かっていないのは、リーリエとコウミだけだろう。

 というか、レッドもグリーンも未だにミヅキとコウミの肩を抱いており、二人は顔を真っ赤にしたまま硬直していた。

 コウミなど、直前のグリーンの話など全て吹き飛んだであろう。

 ふと、リーリエが動いた。レッドの方へ真っ直ぐ歩いていく。

 

「あの、お怪我の手当てをさせてください」

 

 そう言いながら、肩に下げたモンスターボール柄のドラムバックから傷薬を出して、レッドの左腕に応急処置を施す。

 ゼットリングが破裂した際、レッドは腕を怪我していた。

 ポケモンにつかう「きずぐすり」ではなく、ちゃんと人間用のものであるが、やはりポケモン用きずぐすりで即効性のあるものを作っているためか、この世界の傷薬は人間用のものでも効き目はかなり早くなっている。

 ちなみに、コウミはレッドから解放されたのだが、その際「あっ……」と小さく残念そうに漏らしていた。

 

「……はい、終わりましたよ」

 

 笑顔でリーリエが言い、レッドは礼を返す。

 

「どういたしまして」

 

 またも笑顔で返すリーリエをよそに、レッドは彼女のバッグの中身をさり気なく盗み見た。

 虫除けスプレーと回復アイテムが大量に入っており、他には何も入らなさそうである。

 ほしぐもちゃんこと、コスモッグが入るスペースが無さそうだったので、やっぱりアニメ版準拠かな、などと考えていた。

 

「それにしても、カプ・コケコか……」

 

 レッドがコウミの島めぐりに付き合うと知って安堵したのか、ククイ博士は今さらながらカプ・コケコについて話し始めた。

 

「人前に姿を現すなんて、滅多にないんだが……よほどレッド君の事が気になるようだな」

「聞いた話だと、島キングや島クイーンを任命する時とか、重要な時に現れるみたいですね

 

 ククイ博士の言葉に、思考停止状態から戻ったミヅキが返す。

 しかし、ミヅキは未だグリーンの肩に抱かれたままであり、何なら自分からグリーンに抱きついていた。

 そんな様子を、コウミが恨めしそうに見ている。自分だけレッドから離れてしまい、かと言って理由もなく自分からもう一度抱きつくほどの度胸は無いので、悔しいらしい。

 グリーンはというと、ククイ博士の一言に考え込んでいた。

 レッドが島の守り神という特別な存在の目に留まったのが、親友として誇らしいような、そのライバルである自分には目もくれないのが悔しいような━━そんな心持ちである。

 そのせいで、未だにミヅキの肩を抱いたまま離していない。

 そんな中、リーリエが発言する。

 

「あの、わたくし本で読んだ事があります。カプ・コケコはとても好奇心旺盛で、昔から島の人たちにポケモンバトルやアローラ相撲を挑むことがあったと」

 

 今ではあまり人前で見かけなくなったが、その昔は今よりも姿を現していたらしい。

 

「あとは、イタズラ好きな一面もあるらしく、気になった相手の物を隠したりする事もあると」

「物を……? そういえば、カプ・コケコはどこからゼットリングを持ってきたんだ……?」

 

 ククイ博士の言葉に、グリーンとレッド以外がハッとした表情を浮かべた。

 ゼットリングは、かがやくいしという特別な素材を、島キング・島クイーンが加工する事によって製作される。

 つまりカプ・コケコが作って持ってきた訳ではなく、どこかから持ってきた物をレッドに渡したという事になるのだが。

 どこの誰が所持していた物か分からないうえに、レッドが使おうとして破壊してしまったのである。

 もしも、どこかのトレーナーの物を勝手に盗んで持ってきたのだとしたら。

 

「……とりあえず、ぼくの方でゼットリングが無くなった者がいないか調べてみるよ。みんなも、何かしらの手掛かりを見つけたり聞いたりしたら、ぼくに教えてくれ」

「分かりました!」

 

 ククイ博士の言葉にリーリエが返し、ミヅキとコウミも頷く。

 話を聞きながら、レッドは「恐らく島キングのハラのところから持ってきたのだろうな」と考えていた。

 アニメ版でも、サトシはカプ・コケコからゼットリングを受け取っており、それはハラの家からカプ・コケコが勝手に持っていった物だったのだ。

 まぁ、本当にそうだという確証もないし、本当にそうだったとしても話すわけにもいかないので、結局は黙っているしかないのだが。

 

「レッド」

「ぁ……」

 

 ふと、思案に耽っていたグリーンがレッドに呼びかけた。

 その際、グリーンはミヅキを引き離しており、彼女はコウミと全く同じ反応をしていた。

 

「俺はこれから島めぐりについて情報を集める」

 

 グリーンのたった一言でレッドは全てを理解し、一緒に行くと答えた。

 

「待ってください、私も一緒に行きます!」

「いや、ダメだ」

「えぇっ!?」

 

 ミヅキの提案をグリーンは即座に却下した。

 

「どうしてですか!?」

「俺とレッドは島めぐりについて調べた後、情報の共有をしてから出発になる。別に今すぐ島めぐりに出発する訳じゃあないんだぞ。それに、勝負の件は俺とミヅキだけで決めただろ? それについてコウミに話しておいてくれ」

「あっ、そうでした……」

 

 コウミの事を失念していたミヅキ。

 何ともいえないポンコツ感を醸し出しているが、恐らくグリーンが抱き寄せてトキメかせたせいである。これに関してはグリーンが悪い。

 

「レッド、情報収集は三日あれば良いよな」

 

 グリーンの言葉にレッドは頷く。

 

「ミヅキ、コウミ。二人とも家はどこだ?」

「あ、ポケモンスクールを出て左に少し行ったところにある家です。コウミちゃんもその隣で、二軒並んでるのですぐに分かると思います」

「分かった、なら三日後に直接家まで迎えに行くから、旅の支度をしておいてくれ。あとは、コウミと一緒に島めぐりについても調べておくんだぞ」

「私たちも、ですか?」

「当然だろ、島めぐりはお前たちの試練なんだからな。俺たちが何でもかんでもやってたら、お前たちの試練にならない。本で調べても良いし、誰かに聞いて情報を集めるのもいい。とにかく、自分で考えて行動するんだ、いいな」

 

 そう締めくくって歩き出そうとしたら、レッドがリザードンのボールを出してグリーンを見ていた。

 

「いや、町までそんな遠くないだろ……歩こうぜ、どうせ空飛んで町には入れないしな」

 

 レッドはボールをしまうと、グリーンと共に歩いていった。

 後に残されたのは、ククイ博士とリーリエ、ミヅキとコウミの四人のみ。

 

「ま、グリーン君の意見は至極真っ当だ。自分で色々な事を考えるようになると、頭の回転が早くなってバトルも優位になるかもな! ぼくも答えられる疑問には答えるから、二人とも頑張ろうぜ!」

「「はい!」」

 

 ククイ博士の言葉に、ミヅキとコウミは同時に元気よく答える。

 

「それじゃ、()()()よく話し合ってくれ」

 

 そう言い残すと、ククイ博士はスクールの中へと戻っていった。

 

「……ん? 三人?」

「あ……すみません、わたくしも含まれていると思います……レッドさんの島めぐりに同行するようにと、ククイ博士から言われまして……」

「……ククイ博士から?」

 

 ミヅキが首を傾げた。

 リーリエの事情を知っておるのはククイ博士とレッド、リーリエ本人のみであり、グリーンは全く知らない部分である。

 コウミが小さく挙手して口を開いた。

 

「私、実は何が何だか全然わかってないんだけど……とりあえず一度、三人で話し合った方がいいと思う。私かミヅキちゃんの家で」

「その方が良さそうだね。えっと、リーリエちゃんはこれから用事あったりする? 大丈夫そうなら今から私の家か、コウミちゃんの家でお話ししたいんだけど……」

「あ、はい。大丈夫ですが……家に帰るのが遅くなると連絡したいので、少し待っていただけますか?」

「それには及びませんぞ」

「「キャーーーッ!!」」

 

 突然の背後からの声に、ミヅキとコウミが悲鳴をあげた。

 リーリエも目を丸くして驚いてはいたが、それがよく知っている人物の声だったので、悲鳴まではあげなかったのである。

 ミヅキとコウミが抱き合いながら振り返れば、そこにはブラウン色の執事服に身を包んだ、初老の男性が立っていた。

 彼の名はジェイムズ。リーリエが暮らしている屋敷で、執事をしている者である。決して不審者ではない。

 

「もう……! ジェイムズったら、おどかさないでください!」

「ほっほっほ、申し訳ありませんリーリエお嬢様。おどかすつもりはなかったのですよ」

 

 朗らかな笑顔からはイタズラ心がありそうにも見えるが、彼は本当にその気はなかったらしい。

 気配を消して人に近づくのがクセになっているようだ。

 

「……はぁー、びっくりした」

「心臓止まるかと思った……」

 

 ミヅキとコウミが胸を撫で下ろす。

 

「……ところで、ジェイムズ。それには及ばないと言ってましたが、それはどういう事ですか……?」

「ええ、リーリエお嬢様。私の提案は、ミヅキお嬢様とコウミお嬢様をお屋敷に招待しては如何でしょうか、というものです。あちらにお車も用意してございます」

 

 彼が指し示す先にはリムジン車が停まっており、運転手と思しき男性がリーリエたちに向かってお辞儀をしている。

 そんな様子を見て、ミヅキとコウミは互いに顔を見合わせるのだった。




 なんか、ククイ博士から少し残念感が漂っている……やばいぞ、挽回しなきゃ……。
 はやくロイヤルドームいけ……そこで見せ場を作るのだ……私はそこが書きたいんじゃ……。
 でも書いとかなきゃいけない事もある……もどかしいのじゃ……。

 少し間が空いてしまい、申し訳ないです。
 ポケマス始めました。何か良いネタや設定が転がってないかな、という気持ちと、リーリエとリーリエしたい気持ちが重なって気づけばダウンロードしてました。ハハッ。
 実際、ちょっと参考になりました。
 ポケモンが進化するのか分からんとか、そもそも何をすべきなのか分からんとか、色々と分からんという感じですがね。
 まぁ、一番参考になったのは、数日前に上がってたギガス様のシルヴァディ解説動画でしたけどね。
 この動画のおかげでエーテルパラダイスで書こうとしてたネタがかなり固まりました。
 これから毎日レジギガスを崇めようと思います。……数日くらい。

 私の作風として地の文書きすぎじゃね?問題が挙げられます。
 今回は(中盤から)なるべくセリフが多くなるよう意識しました。多少は読みやすくなってたらイイナァ……。
 以下Q&A。

Q.初老という言葉について。
A.本来は四十歳の男性を指す言葉だったらしい。
 しかし、人間の寿命が伸びた現在では、六十から六十五歳くらいの男性を指す言葉に変わってきているそうですね。
 小説でこういう曖昧な言葉は読む人によって誤解を招きそうですね……ちなみにジェイムズは後者の意味で使ってます。
 アニポケのジェイムズをそのまま流用。……この人、ゲームにも出てたっけ? 記憶が……。

Q.レッドのゼットリング破損について。
A.本編中で話せるか分からないのでここで。
 レッドのエネルギーがあまりにも強すぎて、ゼットリングが受けきれずに自壊しました。
 つまり、彼はこの先どうやってもゼット技を撃つことはできません。
 まぁ、この膨大なエネルギーゆえにやらせる役目があるので、その辺は乞うご期待という事で。
 前話あった事なんだから前話の後書きで書けよ……。

Q.グリーンのポケ。
A.まだまだ募集中です。
 イーブイ……かなりアリな選択肢。というか、その線でサンダースにするか迷ってましたし。
 ピカチュウ版でグリーンの相棒であるイーブイは、レッドが二勝するとサンダースに、一勝一敗でブースターに、二敗するとシャワーズになるらしいですね。ほぼサンダースになるでしょうが。オリジンでパーティーに入ってたのはそういう原作リスペクトだったんでしょうか。レッドが使えないゼット技使わせてエボルブーストとか面白いかも。

エレキブル……こういう意外性のある意見は大歓迎。特性のでんきエンジンで電気は完全無効化できるからかなり面白い。許容を超えてダメージいきそうな気がしないでもないが……。

コイル……2ちゃんかなんかの悪ノリスレで人気投票第二位を掻っ攫ったポケモン。恐らく運営のテコ入れがあったのではと思われるピカチュウの票が異常に増えなければ本当に一位だった可能性も……。ピカチュウのホッペをつねって某漫画みたいなギャグ展開に持っていけば勝機が……?

ポリゴン……ああっ………目がっ…!目がぁぁぁぁあっ!!ああ、ああぁぁ……目がぁぁぁああああ〜〜〜!!

 まだまだ活動報告の方で募集してますので、よろしくお願いします。本当に意外なところから話を思いついたりするので、助かっております……ありがとうございます。
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