その転生レッドは如何にしてアローラに伝説を作ったか   作:勇(気無い)者

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 開幕サーバルちゃん……。


8.少女たちのガールズトーク

「「すっごーい……!」」

 

 リーリエの住む屋敷を見て、ミヅキとコウミは衝撃を受けた。

 まさしくお嬢様が住まう屋敷と、誰もが思う立派な造りである。

 庭の手入れも完璧に行き届いており、ある種の芸術といっても過言ではないレベルだ。

 

「お二人とも、わたくしのお部屋にご案内します」

 

 ミヅキとコウミはリーリエの後について屋敷に入り、二階にある彼女の部屋へと案内された。

 

「「おぉ〜……」」

 

 思ったよりもシックな部屋である。てっきり女の子らしくピンク色多めだったり、天蓋付きのベットがあったりするのかと思えばそんな事もない。

 まぁ、ベッドの枕元に並んだポケモン人形たちだけはとても女の子らしいが。パッと見ただけでも十体以上は並んでいる。

 

「それでは、私は紅茶を淹れてまいります」

 

 そう言ってジェイムズは静かに部屋を出ていった。

 

「それじゃあ、早速ですが情報の共有をしましょうか」

 

 リーリエが切り出し、三人はそれぞれ今回の島めぐり騒動について語り出した。

 と言っても、それぞれの現状を理解しているのはミヅキとリーリエだけだが。

 とりあえず、ミヅキがグリーンと話して決めた事を話し、リーリエはククイ博士に言われた事を話した。

 島めぐりには、ミヅキにグリーンが付き添い、コウミにレッドが付き添うこと。

 島めぐりが終わった後、ミヅキとコウミが勝負すること。

 リーリエが言われたのは、レッドの島めぐりに付き添い、最後にレポートを提出することである。

 まぁ、コウミの島めぐりに付き添うレッドに付き添うという構図にはなってしまったが。

 

「なるほど、そういう事だったんだね……」

 

 コウミが納得したようにつぶやく。

 彼女はほぼ巻き込まれただけのカタチとなったが、憧れのレッドと島めぐりができるという事で、一切の不満はなかった。

 それから三人は他愛のない雑談をし、ジェイムズが音もなく紅茶を持ってきて再びミヅキとコウミが叫ぶなどありながら、友情を深めていった。

 

「「えぇーっ!? レッド(グリーン)さんのこと知らないのー!?」」

 

 リーリエがレッドとグリーンのことを知らなかったと言うと、ミヅキとコウミは声を揃えた。

 

「す、すみません……わたくし、ポケモンさんは好きですが、バトルの方は苦手でして……」

「そうなんだ……」

「でも、初めて見たよ……イマ◯ニは知ってて、レッドさんとグリーンさんは知らない人……」

「イ◯クニさんは『ポケモン言えるかな』を歌っていらっしゃいますから……」

「結構古い曲だけどね……」

「でも、リーリエちゃんがグリーンさんのこと知らないなら、私が解説してあげるわ! まず、グリーンさんはカントー地方のマサラタウン出身で、あの有名なオーキド博士のお孫さんで━━」

「私もレッドさんについて語りたい!」

 

 そんな風に話が弾むので、あっという間に時間が過ぎて夕暮れ時に。

 それから二人は帰宅して、翌日にはポケモンスクールへ。

 その日も三人は行動を共にし、島めぐりについて図書室で調べたり、他のトレーナーやキャプテンをしている者と話して情報収集を行った。

 無論、普通の授業も受けており、三人は夕暮れまでスクールで時を過ごした。

 

 それから再びリーリエの屋敷へ遊びに行き、その日はミヅキもコウミも泊まっていくことに。

 当然ながら、二人とも母親に連絡済みである。

 三人は楽しく過ごして、翌日。

 

「せっかくだから、三人で歩いて行こうよ!」

 

 リーリエはいつも使用人に車で送迎してもらっているのだが、それを聞いたミヅキが徒歩でスクールに行く事を提案。

 

「ですが、野生のポケモンさんも出てきますし……」

「大丈夫だよ! 私は授業でグリーンさんにバトルのコツや大事なことを教わってるし!」

「私もレッドさんに色々教えてもらったよ!」

 

 レジェンド二人に教わったせいか、気が大きくなっている二人。

 アローラでは街道沿いで野生のポケモンが襲い掛かってくることも少ないので、それほど警戒しなくとも大丈夫ではあるが。

 

「それに、歩いてたら野生のポケモンの意外な行動を見られる時があるって、レッドさんも言ってたよ!」

「そうなのですか?」

 

 ポケモンの事には食いつくリーリエ。

 結局、三人は歩いてスクールまで行くことになった。

 

「ところで、リーリエちゃんはポケモン持たないの?」

「え……そう、ですね……はい……」

「どうして? ポケモンと一緒だと楽しいよ?」

「……わたくしは…………」

 

 リーリエはポケモンを持たない理由を話したが、ポケモンを持たなければバトルをしなくて済むからであった。

 ククイ博士が予想したとおりである。

 

「うーん、ポケモンがいるからって必ずバトルしなきゃいけない訳でもないと思うよ?」

「そうそう、大人で何年もポケモンと一緒だけど、一回もバトルしたことないって人も今は多いらしいよ」

「そうなのでしょうか……」

「そうだよ! リーリエちゃんは、ポケモン欲しくない?」

「それは、その……」

 

 否定せず言い淀むあたり、自分だけのポケモンが欲しいとは思っているようだ。

 ミヅキがアシマリを出し、コウミがニャビーを出した。

 

「ほら見て、私のアシマリ! 可愛いでしょ?」

「私のニャビーも! もふもふで、いつもしっかりブラッシングしてるから毛もツヤツヤだよ!」

「う、うぅ……」

 

 自分のポケモンを抱きしめてはしゃぐ二人を見ながら、リーリエは羨ましそうに見ている。

 

「ほら、リーリエちゃんも私のアシマリ抱っこしてみて!」

「私のニャビーも!」

「あ、あぁ……っ!」

 

 二人からアシマリとニャビーを渡されて、両方抱っこするリーリエの表情はとろけきっていた。

 彼女は本当に、ポケモンのことが大好きなのである。

 

「ほら、リーリエちゃん。自分だけのポケモン、欲しくなってきたでしょ?」

 

 ミヅキがリーリエの耳元で囁く。

 

「自分だけのポケモンと、毎日一緒にいられるんだよ? 楽しいよ?」

 

 コウミも反対の耳元で囁く。

 

「う、うぅ……わ、わたくしも…………です……」

「え、なぁに?」

「はっきり言ってくれないと、分からないよぉ」

「わたくしも、本当は自分だけのポケモンが欲しいです……!」

 

 リーリエは自分の本心を吐露した。

 子供の頃から、母親のポケモンの世話をさせてもらって育った事。

 兄は早くから特別なポケモンと過ごしていて、バトルにも積極的な事。

 母も兄もバトルはとても強い事。

 まだ幼い頃、ポケモンバトルを初めて見た時から、互いに傷つけ合うバトルが怖く感じてしまった事など。

 今まで誰にも話せなかった事を、ミヅキとコウミに全て話した。

 そんなリーリエを、二人は優しく抱きしめながら話を聞いていた。

 

「……決めました! わたくしも、自分だけのポケモンを持とうと思います!」

 

 ミヅキとコウミによる悪魔の囁きで、リーリエは自分のポケモンを持つ事を決めたようだ。

 ククイ博士が悩んでいたのはなんだったのか。

 まぁ、リーリエが悩みを打ち明けたのも、ミヅキとコウミ両名ともわずか三日で親友と呼んで差し支えないほど、急速に仲が深まったからであるが。

 スクールではリーリエにも友達は居たが、親友と呼べるほど仲が良い生徒もいなかったのだ。

 

「……でも、リーリエちゃんの初めてのポケモンかぁ」

「なにが似合うかな……? リーリエちゃんは、好きなポケモンとかいる?」

「好きなポケモン、ですか……。うーん、どのポケモンさんも可愛らしくて好きです……」

「んー……じゃあ例えばアシマリ、ニャビー、モクローの中なら誰がいい?」

「えっと、そうですね……うーん……」

 

 リーリエは悩みに悩んだが、答えは出なかった。

 

「まぁ、焦ることないよ! とりあえず、他の人にも相談したらいいんじゃないかな」

「そうだね、家族でもいいし、ククイ博士もきちんと相談に乗ってくれそう」

「はい、そうしてみます」

 

 そんな風に雑談しながら街道を歩いていると、不意に左右の茂みから同時にポケモンが飛び出してきた。

 こいぬポケモンのイワンコである。

 唐突なことで三人が驚いたのも束の間、数瞬遅れてさらに茂みから飛び出す影が左右同時に現れた。レッドとグリーンである。

 彼らが同時にモンスターボールを投げると、それぞれのイワンコに直撃。

 二三度ボールは揺れ動いたが、どちらのイワンコも飛び出してくることなく捕獲された。

 

「レッドさん!?」

「グリーンさん!?」

 

 まさか茂みから現れるなどと思っていなかったので、ミヅキとコウミは驚きながら叫んだ。

 

「おー、ミヅキたちか。奇遇だな、こんなところで」

 

 グリーンがボールを拾いながらミヅキたちに話しかけた。

 レッドもボールを拾って三人に歩み寄る。

 

「お二人とも、どうして茂みから……?」

「あー、せっかくアローラに来たから、ここにしかいないポケモンを捕まえてたんだよ。どうやら、レッドも同じ理由みたいだがな」

 

 同時に現れたレッドとグリーンであるが、行動を共にしていた訳ではない。

 示し合わせたという訳でもなく、二人が同じ行動をして同じ場所にたどり着いたのは、本当に偶然である。

 島めぐりについては、レッドが元々持っていた知識を上手い具合に披露したことで時間短縮に繋がったので、二人はトレーナー魂が疼いてアローラならではのポケモンを捕獲していた。

 

「レッドは何匹捕まえた?」

 

 グリーンの問いに、レッドはツツケラ・アゴジムシ・イワンコ・ピチューの四匹だと答える。

 

「ん? ピチュー? ピチューはアローラじゃなくても捕まえられるだろ?」

 

 グリーンの疑問は尤もであり、ピチューもピカチュウもカントー地方では普通に見かけるポケモンだ。

 しかし、ピカチュウがアローラで進化すると、なぜかリージョンフォームを起こしてアローラライチュウとなる。

 ……なお、ピカチュウがレッドの足をビシバシと殴っていた。自分が居るのにピチューを捕まえたのが気に入らないらしい。

 無論、手加減というか本当に怒ったりしている訳ではなく、軽くペチペチしているだけだ。本気で殴られていたら、鍛え抜かれた頑丈なレッドの足もへし折れかねない。

 

「なるほどな……ま、ピチューは捕まえてねえけど、俺は黒いコラッタも捕まえたぜ。アローラのリージョンフォームで姿が変わったタイプだろ、これ?」

 

 レッドは頷き、タイプもあく・ノーマルに変わっていると補足した。

 

「捕まえてもねえのによく知ってんなお前……それも本で読んだのか?」

 

 そう言われて、レッドは『ポケモンだいすき! アローラ観光ガイド』なる本を取り出した。

 表紙には二人のお姉さん、ポケモン大好きクラブのレナとエマが載っている。

 そこにはアローラの観光スポットだけでなく、アローラならではのポケモンを紹介するページも載っていた。

 二人は会話もそこそこに、レッドとグリーンもミヅキたちと共にスクールまで行く事にしたようだ。

 そして、ミヅキはリーリエの初めてのポケモンは何が良いのか、二人にも相談した。

 

「━━という訳なんです。リーリエちゃんの初めてのポケモンは何が良いと思いますか?」

 

 結局のところ、本人の気持ち次第としか言えないので、グリーンは当たり障りない事を答えようとした。

 しかし、レッドはそれよりも先に断言した━━アローラロコン以外ありえない、と。

 ゲームでのリーリエは、ピッピやアブリボン、キュワワーを使っている。

 しかし、アニメ版準拠らしいこの世界に合わせて、レッドはアローラロコンを提案した。

 

「アローラロコン、ですか……?」

「アローラって付いてるって事は、リージョンフォームした姿が居るって事か?」

 

 リーリエとグリーンの疑問に、レッドはコクリと頷く。

 とはいえ、環境厳しく野生のポケモンも比較的強いラナキラマウンテン周辺にしか出現しないためか、観光ガイドにも載っていない。

 代わりにスマホから図鑑を開き、カントー地方のロコンをリーリエたちに見せ、タイプや色合い、リージョンフォームによって変化したタイプなどを話した。

 

「可愛いです……!」

 

 リーリエもひと目で気に入った様子であり、レッドはリザードンを出して、今から捕まえに行こうと提案。

 

「えっ……!? い、今からですか……!?」

「待て、レッド」

 

 リザードンの背にリーリエを乗せるレッドに、グリーンが待ったを掛ける。

 

「俺も欲しいから一緒に行くぞ」

「あ……! レッドさん、私も一緒に行かせてください!」

「あ、私も行きたいです!」

 

 コウミとミヅキも便乗しようとしたが、レッドは却下した。

 これから島めぐりをする都合上、彼女たちは色々なところを立ち寄ることになるので、自力で行くようにという理由からだ。

 

「おっしゃ、行くぜ!」

 

 グリーンはピジョットを出して背に乗り、レッドはリーリエの返事も待たずにリザードンの背に乗せて、否応なく拉致していった。

 それからリーリエはレッドの手厚いサポートによって、無事にアローラロコンをゲット。

 ……したのはよかったものの、雪が降っているような気温のラナキラマウンテンに、ノースリーブのワンピースという格好で連れて行った結果。

 リーリエは風邪を拗らせてしまい、島めぐりは数日ほど延期になった━━というのは余談である。




ジェイムズ「クセになっております、気配を消して動くのが」
 若い頃は暗殺業とかしてたのかもしれない。
 イマ◯ニさんをさん付けで呼ばない失礼な主人公ちゃんズ。人のこと言えない私。

 ポケマスやってて気になったんですが、ポケモン世界では旅立つ年齢が十一歳なんですかね。
 それともポケモンもらえるのが十一歳なんですかね。
 後者だとするなら、ポケモン世界にいる園児がポケモンバトル挑んでくるのはなんなのだろうか……。
 ポケモンを博士とかに貰える年齢が十一歳であって、親にもらったポケモンを連れているのはOK、とかそういう事なのか……? トレーナー資格とかいう設定はどうなっているんだ?
 謎はフカマルばかりである……。

 そういえば、ポケマスのグリーンがピジョットはマッハ2で飛ぶって言ってた。
 マッハ2……マッハ2……?
 マッハ2って……200キロのことだっけ?
 マッハ1は時速一千キロじゃなかったか……?

 まぁギャロップは東京タワーを飛び越える脚力があるというし、そんなもの……なのか……?
 そう考えると、本作のレッドが大したことない気がしてきた……。
 音を置き去りにする正拳突きでも打てなきゃ太刀打ちできないよ……。
 ポケモンはやはりバケモンだった……。
 以下Q&A。

Q.レッドが取り出した本について。
A.ポケモンだいすきクラブというサイトから。
 検索するとガチで出てきます。最初はレッドとグリーンがアローラ観光する方向性だったので、アローラ観光で調べたら出てきました。
 レナとエマはそこのキャラクターで、本作では彼女たちが出版した本、というカタチで出してます。
 まぁ、そこでアローラコラッタは紹介してませんでしたがね……。ぬしラッタは写真に居たけど。

Q.ピチューはカントーに居なくない?
A.君のような勘のいいガキは嫌いだよ……。
 というのは冗談ですが、普通に考えてタマゴから孵ったらピチューが生まれてくるのに、ピカチュウが生息しててピチューが居ないのはおかしくない?
 と思ったのでカントー地方にもピチューは居るハズ。設定上、どこかには。
 カントー図鑑がおかしくなるけど、全国図鑑基準でオーキド博士は研究しているという事で、ここはひとつ……。

Q.グリポ。
A.アロライは私も考えてました。
 ピカチュウより種族値高いし、エスパーで色々悪い事が出来そう(戦闘的な意味で)
 アレコレバトルシーンも考えたんですが、現地調達だとどうしてもピカチュウのスマブラ染みたテクニックとイカレた修行による身体能力の暴力に勝てない事に気付いて断念……。
 アロライ可愛いですよね。当時は旅パに入れてました。
 ……いや、いっそグリーンが秘密裏にピカチュウ育てていた事にして、アローラで進化させるのもアリか……?
 なんか悪くない気がしてきたぞ……?
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