ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「消えた・・?」
三人は突然の事に驚いて動けなくなってしまったみたいだが、すぐに我に返った。
「ネビユ、大丈夫!?」
そしてエレンさんが、しゃがみこんで動けなくなったアタシの体を支えてくれた。
「これで儀式は成功・・じゃ無いよね?」
「はい・・。残念ながら・・」
「だよね・・」
「これは不測の事態なんだろうか?」
セイマさんが尋ねた。
正直、アタシにも良く分からないけど・・。
「・・だと思います」
「そうか」
「ところで、さっき母が言った事を聞きましたか・・?」
「えっ?何それ?何も聞いて無いけど?」
エレンさんがセイマさんとサラさんの方を見た。
二人とも首を振った。
「何て言ってたの?」
「『呪われた一族』・・と」
「うーん・・。『呪われた一族』・・か。今は何も分からないね。とにかく、急いでグレートアーチに戻ろう?それで、おじいさんに全部聞いてみよう?」
「そうだね。お姉ちゃんの言う通り、それが一番良さそうだよ」
「はい・・。そうしましょう・・」
「大丈夫?歩ける?良ければ肩を貸すよ?」
「あっ、じゃあ私も」
「ありがとうございます。エレンさん、サラさん」
エレンさんとサラさんが両サイドからアタシを支えてくれた。
そのおかげでアタシはようやく歩く事が出来た。
「お礼なんて良いよ。むしろ、こんな時に回復術の一つも使えないあたし達が悪いんだから」
「ごめん」
「ごめんね」
セイマさんとサラさんが立て続けに謝った。
「そんな事・・。気にしなくても大丈夫です。これでもアタシの体は頑丈ですから」
「体はそうかも知れないけど、心の方は大丈夫?」
「正直、ちょっと良く分かりません。突然の出来事でしたので」
「そうだよね・・」
アタシ達が洞窟から出ると、すっかり夕方になっていた。
何とか暗くなる前に、グレートアーチにたどり着くことが出来た。
「ひ・・姫!!大丈夫ですか?!」
じいやが血相変えて走って来た。
無理もない。
アタシの体はボロボロなのだから・・。
でも、じいやに回復呪文をかけてもらって、すっかり元気になった。
「私の式神にやられた・・訳では無さそうですね」
「うん・・。実は・・」
アタシは最後の洞窟で起きた事を話した。
「娘が・・?」
じいやが今まで見た事が無いほどの驚きの表情を見せた。
「うん。オーラは間違いなくお母さんのだった・・」
「そうですか・・」
「儀式は失敗だよね?」
「はい・・。残念ながら・・。まあ、本来は姫が18歳になってからやる儀式ですので、その時にまたやれば良いのですが」
「そっか・・。ねえじい、お母さんについて何か知っている事があったら話して?」
「そうですね・・。ですがその前に・・」
じいやはエレンさん、サラさん、セイマさんの方を向いた。
「ありがとうございました。これは今回の謝礼でございます」
そう言って、エレンさんに封筒を渡した。
「あたし達にも、ネビユのお母さんの事、教えてくれませんか?」
「それは構いませんが、お時間は大丈夫ですか?」
「ここまで付き合っておいて、途中でおさらばなんて出来ないよ。ね?皆?」
サラさんとセイマさんが頷いた。
「それにあたし達からも、何かアドバイスが出来るかも知れない。伊達に地獄を潜り抜けてないからね!」
「そうですね。分かりました」
じいやは腕を組んだ。
どう話そうか思案しているようだ。
「と言っても、私も全てを知っている訳では無いのです。娘には霊魂を残しておく能力があると言うだけで・・」
「そんな事が・・。でも何故か、後姿を見ただけではお母さんだと判断できなかったし、おまけにオーラも見えなかった。振り向いた瞬間、オーラが見えるようになったのだけれど」
「それは、霊魂自体が何者か分かっていなかったからでしょう。姫様に声をかけられて、ようやく自分を娘だと認識した。それで、オーラが見えるようになった訳です」
「すごい能力・・。アタシにも出来るのかな?」
「それは無理でしょう。この能力は娘にだけ与えられた特殊な能力ですので。霊魂を残した理由は、死してなお、娘には絶対に伝えなければならない特別な想いがあったからでしょう」
「『伝えなければならない特別な想い』・・か」
「娘は何か言っていましたか?」
「『呪われた一族』って言ってた。しかもアタシにしか聞こえなかったみたい」
「呪われた一族ですか・・。それは娘の一族、つまり私や姫様の事を言ったのでしょう」
「でも、どうして・・?」
「相手の心が読めたり、洞窟に仕掛けを造ったり、強力な式神を用意する能力があるのだから、『呪われた一族』と言われても仕方ないかもね」
エレンさんが口を出した。
「仰る通りです。我々の一族は、男子が『試練を課す』、女子が『試練を受ける』と言う役割があり、それに適した能力を持っています。何故我々にこんな能力があるのか・・。一説によると、聖王十二将の中にこうした能力を持った人がいて、その人の子孫が我々であると言われています」
「名前は知らないのですか?」
「おそらく本人が名前を伏せたのでしょう。こんな能力を持っている者が後世にも現れる事を知られると悪用されませんから」
「それは確かに」
「娘が我々の事を『呪われた一族』と言って何を求めているのかは分かりません。滅ぼすべきなのか、それとも他に何か・・」
じいやが首を振った。
「私が知っている事は以上です。何か質問はありますかな?」
「最後の式神は何だったのでしょうか?ネビユのお母さんに倒されてしまったようなので確認できませんでしたが、『トーチャー』よりも強い奴なのですよね?」
セイマさんが尋ねた。
「いいえ。あれ以上強い式神は流石に私では用意できません。トーチャーだってかなり無理をしましたからね。ですから、最後に用意したのは『鬼火』でした。もうここまで来たならば、姫様は火への恐怖を克服できたと思いますので、強い式神は必要ないと判断しました」
「なるほど。納得の答えですね」
「ねえじいや・・」
「何ですかな?」
「お母さんはどうしたら良いの?消えたとは言え、霊魂は多分あそこに漂ったままだよ?あのまま放っておくの?」
「そうですね・・。私にもどうしたら良いか」
「あの・・。ちょっと良いですか?」
セイマさんがちょっと言いにくそうに尋ねた。