ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「まだ明るいじゃないか。てっきりもう夜かと思っていたのに」
リーケルが周りを見回しながら言った。
「約半日で終わったって事か。丸一日はかかってると思ったけどな」
「うんうん。確かに!」
ルネの意見にウナガが同意した。
「ねえねえ。せっかくだし、皆で水平線に浮かぶ夕日を見て行かない?」
「おっ!良いねえネビユちゃん!私は賛成しますよ!!」
「まあ、オレもたまには良いか」
「オイラも!ユウは?」
「そうだな・・。俺もそれほど慌ててはいない。行くか」
「おっ!そう来なくちゃ!!」
ネビユは、全員が行くと聞いて素直に喜んだ。
「キレイ・・」
水平線に浮かぶ夕日を見ると、ネビユがうっとりした。
「でも、君の方が・・」
「リーケル、そう言う気障な言葉を言うのはやめておけ。絶対に失敗するからよ」
「ルネがそう言うのなら、素直に従っておきます・・」
どうやらリーケルは、ネビユが『ルネを見習え』と言ったのを憶えていたようだ。
「ところでユウ」
「何だネビユ?」
(おっ!)
(何か普通に名前で呼んでもらえるようになった!)
(これは嬉しいぞ!!)
「本当に大丈夫なの?これからヴァンパイア伯爵の所に行くんでしょ?」
「何が『大丈夫』なんだ?」
「だってヴァンパイアに噛まれたら、噛まれた本人もヴァンパイアになるんでしょ?」
「それはそうなんだが、レオニード伯爵は女性の血しか吸わないみたいだからな。それに、ミカエル様の友人でもあるお方だ。そんな方が滅多な事はしないだろう」
「そっか。それじゃあそれを信じる事にするよ」
「そう言えば、皆はこれからどうするんだ?」
「アタシはグレートアーチに戻って母の魂を解放しなきゃいけないの」
ネビユはその件について詳しく説明した。
「それは辛いな・・」
男性陣は沈鬱な表情になった。
「それがネビユちゃんとガモリーさんがしなければならない事かい?」
「そ。母の魂を解放するには、『妖刀龍光』って言う大剣で『退魔神剣』って言う技を使うしか無いんだって!だからまずは、その『妖刀龍光』をもらうために、ピドナに行かなきゃならない」
「それでガモリーの力が必要なのか。納得だな」
ルネが頷いた。
「ネビユはいつ出発するんだ?」
「明日。今日ピドナに向かっても武器屋は閉まってるだろうからね。それに、船の揺れとかで眠るのはキツそうでしょ?そうなってくると、肌にダメージがありそうで怖いし」
「そうなのか・・。怖いのは肌へのダメージなのか・・」
「女にとっては重要だよ?」
「ああ、分かってる。それで、他の皆は?」
「オレとリーケルとウナガは、今日ここで一泊してから、スタンレーの近くにある洞窟に行く予定だ。金はリーケルが払ってくれる。何せ1000オーラムがユウのおかげで291000オーラムに化けたんだからな」
「よっしゃ!どんなもんだ!!」
リーケルは得意そうだ。
「スタンレーの近くにある洞窟?そこに何かあるのか?」
「以前そこで俺達がハリードさんと会ってな。ウナガがハリードさんに会いたがってるから、もしかしたらまたそこで会えるかと思って」
「そうか・・。ウナガ、もしそこでハリードさんと会ったら、そこで戦うつもりなのか?」
「う~ん・・。まだ分からないや。今のオイラじゃまだ勝てないと思うから」
「そうだな。焦らずじっくり挑んだ方が良い」
「うん!」
「となると、俺はここでお別れだな。俺は今からポドールイまで行き、そこの宿で一泊するから」
「そうか・・。本当は今日一日一緒にいたかったんだが、仕方が無いか・・」
リーケルがユウに右手を出してきた。
「ユウ、絶対にまた会おうな!」
「ああ!」
ユウとリーケルが握手をした。
それからルネ、ウナガとも握手をして、最後にネビユの番になった。
(ちょっと照れるな・・)
ネビユは顔が火照っているのを感じた。
(けど・・)
(こんなチャンス滅多に無いし・・)
「ア・・アタシも・・良いかな?」
「ん?ああ。もちろん」
ユウとネビユも握手をかわした。
(手と手が触れ合っているのに)
(心が全く読めない・・)
(悔しいなぁ)
(けど)
(いつかあなたの心の中を)
(全部読んでやるんだから!)
ネビユがユウに微笑みかけた時、ネビユは一瞬だけ恐ろしいイメージを見た。
(い・・今のは・・?)
「どうしたネビユ?」
「えっ?!あ、いや、何でもない」
ネビユは手を離した。
「何か疲れてるみたい・・」
「そうか。まあそうだろうな。今日はゆっくり休むと良い」
「うん・・。ありがと」
「それじゃあここでお別れだ。皆、元気で」
「ああ!お前もな!!」
リーケル、ルネ、ウナガの三人は、離れて行くユウに対して大きく手を振った。
ネビユだけは小さく手を振った。
さっきのイメージが頭から離れないのだ。
「さて・・と。それじゃあオレ達もホテルに行きますか」
「よっしゃ!!」
「行こう行こう!!」
男三人はホテルに向けて動き出したが、ネビユはその場にとどまったままだ。
「どうしたネビユ?行かないのか?」
「えっ?もちろん行くよ!」
ようやくネビユもゆっくりと動き出した。
(あれは何だったの・・?)
(ユウとガモリーが戦ってて)
(そ・・そして・・)
(ユウが・・)
ネビユは体の震えが止まらなかった・・。