ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「お前のその身のこなし、お前は軍人なのか?」
「はい。ピドナの軍人です」
「あっ!それを言っちゃやばいって!!」
ノーラが止めたが遅かった。
それを聞いたシャールの顔が、見る見る内に鬼の形相に変わっていった。
ミューズも表情を固くしている。
「貴様・・。私達の事をルートヴィッヒから何も聞いていないのか・・?」
「聞いています。ですから、敢えてピドナの軍人であると明かしました」
「何だと!?知ってて敢えてだと?!」
「はい」
「何のためにだ?!私達をからかうためか!?」
「そんな事、私がすると思いますか?」
「お前がどんな奴か知らないからな。そんな事、分かるはずも無い」
「私がどんな人間か分からないのなら、当然、私があなた方をからかうためだけに、こんな事をしたかどうかも分からないですよね?」
「ぐっ・・」
シャールは一瞬返答に詰まった。
「では、何故こんな事をしたのかを聞こうか?」
「あなた方はルートヴィッヒ様を憎んでいます。そうですよね?」
「そうだ」
「では、何故憎んでいるのでしょう?クレメンスさんが殺されたからですか?ですが、クレメンスさんを殺したのはルートヴィッヒ様ではありません。神王教団の人達です。違いますか?」
「・・違わない」
「認めると言う事は、この事で憎んでいる訳では無いのですね。あなたはルートヴィッヒ様に利き手の筋を切られただけで済んだ。辱めを受けたからルートヴィッヒ様を憎んでいるのですか?」
「・・違う」
「この理由でも無い・・と。では、一体どんな理由なのですか?」
「貴様には分かるまいよ」
「分からないから聞いているのです。私はそれが知りたかったので、敢えて自分の身分を明かしたのです」
「貴様が知る必要は無い」
「クレメンスさんが殺されたのはルートヴィッヒ様のせいですか?違いますよね?クレメンスさんが殺されたのは、クレメンスさんの脇が甘かったからです。つまり、クレメンスさん本人の責任です」
「黙れ!クレメンス様を侮辱するな!!」
シャールがそばにあった槍を取り、ガモリーに向けて構えた。
「貴様、一体どんな権限があってクレメンス様を侮辱するんだ?!」
「その言葉、そっくりあなたにお返しします。一体何の権限があって、ルートヴィッヒ様を侮辱するのですか?」
「な・・何だと?」
「ルートヴィッヒ様を憎む確たる理由も無いのに、ルートヴィッヒ様を憎み続ける。これがルートヴィッヒ様に対する侮辱で無くて一体何だと仰るのですか?」
「ぐっ・・!くっ・・」
「何も言い返せないでしょう。それは当然です。私が言っているのは全て事実なのですから」
「だ・・黙れ!!それ以上言うと、貴様を殺す!!」
「ずいぶん乱暴な方ですね。では、身にかかる火の粉は払わねばなりません!!」
ガモリーも大剣を抜く構えをした。
(うわっ!!!!)
(ガモリーのオーラの量が一気に増えた!!)
(これがガモリーの全力・・なの?)
ネビユは先ほどから口を挟めないでいた。
それほどまでに、二人の間に流れる空気が緊迫した物だったのだ。
しばらくの間、沈黙が続いた。
「シャール!やめなさい!!」
沈黙を破ったのはミューズだった。
シャールは戦闘態勢を解いた。
ノーラとネビユは緊張を解かれホッとした。
「ごめんなさいねガモリー様。あなたの気持ちも知らないで。私達にとってお父様が大切な人であるのと同じように、あなたにとってルートヴィッヒは大切な人なのですね?」
「そうです」
「それならば、これ以上の争いはやめましょう。シャール、それで良いですね?」
「はっ・・」
シャールは槍を元の場所に置いた。
「ノーラ様、これを」
ミューズは自分の薬指からクリスナイフを外してノーラに渡した。
「これで妖刀龍光を強化してください。そして、ネビユ様のお母様の魂を成仏させてあげてください」
「まあ、私がやるんじゃないけどね。とりあえず分かったよ」
ノーラがネビユとガモリーの方を向いた。
「二人とも、明日また私の工房に来ておくれよ。それまでに必ず妖刀龍光を鍛えておくからさ」
「お願いします」
そう言って、ノーラは出て行った。