ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「ねえガモリー・・。アタシ達はどうする?」
ネビユがガモリーに恐る恐る尋ねた。
「私は一度城に戻って報告してきます」
「その後は?」
「自分の家に帰ります」
「あっ、そっか。ここガモリーの故郷なんだっけ」
「はい」
「それじゃあアタシは、ここにもう少しいさせてもらおうかな?お二人が良ければ・・ですけど」
「もちろん、歓迎いたしますわ」
「ありがとうございます」
「それでは、私はこれで。明日、ノーラさんの工房でお会いしましょう」
「うん。分かった」
「それではミューズ様、シャールさん、失礼します」
「ええ。またね」
「ちょっと待て」
ガモリーが出て行こうとすると、シャールが止めた。
ガモリーが振り返った。
「何でしょう?」
「先ほどは済まなかった。つい頭に血が上ってしまった」
「いえ。こちらこそ」
「だが、ルートヴィッヒへの想いは変わらん。例え、お前がアイツをどんな聖人だとみなしていようともな」
「分かりました。憶えておきます」
今度こそガモリーは外に出て行った。
「ふー・・」
ガモリーがいなくなると、シャールは大きく息を吐いた。
「ミューズ様、助かりました。正直言って、あそこで戦っていたら私は確実に殺されていたでしょう」
「それほど・・だったの?」
「ええ。アイツの実力は、とても私では太刀打ちできないほどでした。そして、アイツの殺意もとても強烈でした。ただ不思議なのは、その殺意には全く『悪意』が感じられなかった事です」
「悪意が無かった?それはつまり、彼女の殺意は完全な『善』から来たものだと?」
「はい、そうです」
「信じられないわね・・」
「私もそう思います。ですが、事実です」
「あ・・あの・・」
「ん?何だ?」
「アタシの友人がご迷惑をおかけしました」
ネビユが頭を下げると、シャールがネビユの方を向いた。
「幸せなムードをぶち壊してしまった事にもお詫びします」
「その事は私が原因だから気にするな。それよりも友人・・か。君はもしかして、アイツがあそこまでルートヴィッヒを庇う理由を知っているのか?」
「おおよそは。ガモリーはルートヴィッヒに命を助けてもらったので・・」
「なに?そうなのか?」
そこでネビユは、過去にガモリーに何があったのかを話した。
「記憶喪失で倒れていた所を偶然助けてもらった・・か」
「はい。それからと言うもの、ガモリーはルートヴィッヒの事を第一に考えるようになったのです。ですが・・」
「ん?何かあるのか?」
「はい。彼女は騙されているのです。ルートヴィッヒが、ガモリーが倒れている所に来たのは決して偶然では無く、必然だったのです。つまり、ルートヴィッヒはガモリーがそこにいる事を知っていたので、そこに向かったのです」
「何だと?何故そんな事を知っている?」
「アタシには見えたのです。その映像が。そしてアタシには聞こえたのです。その時のルートヴィッヒの心の声が。アタシはグレートアーチの・・いえ。元ニシコの秘女の一族です」
いつもなら『占い師』とごまかす所だが、ネビユは二人ならニシコの事を知っていて、かつ自分が心の声を読める事を知っても誰にも話さないだろうと考え、敢えて本当の事を話したのだ。
「ニシコ・・。確か、ここから西にあるガーター半島にあった町ですよね?」
「そうです。やはりご存じでしたか」
「ええ。子供の頃に、お父様から少しだけ話を聞いた事があります。未来を見通す事が出来る不思議な一族がいるとか」
「はい。それがアタシです。もう今は、アタシしか残っていません。遠縁はいるのですが、アタシと同じ能力を持つ者はいません」
「そうですか・・。それはお辛いですね」
「はい。ですが今は慣れました。今は友人もいますので」
「それはガモリーもか?」
「はい」
「そこまでアイツの事を想っているのに、何故さっき止めなかった?何故利用されている事を言わなかった?アイツも君が秘女である事は知っているのだろう?」
「はい、知っています」
「それならば何故?」
「それは・・」
ネビユはモウゼスの宿で見た、ガモリーの夢の中の映像の事を思い出していた。