ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「あの二人、ご機嫌だったな」
ルートヴィッヒがニヤリとした。
「結構な大役を任されましたからな。無理も無いかも知れません。うまくやれば二人とも昇進のチャンスでしょうし」
「そうだな」
ヴォルフ元帥の言葉に、ルートヴィッヒが頷いた。
「俺はまだ出発しなくて良いんだな?」
「はい。中将が出発するのは、両国の陣営が出来てからです。連絡はあの二人にお任せしてありますので、それまでは城で待機していてください」
「分かった」
「それではルートヴィッヒ様。私は自分の家に帰ります」
「ようやく休養を取るか」
「まあ、そうですね。今日は昼食も夕食も一人で部屋で摂ります。そして、明日朝から行動を再開します」
「ウム。ご苦労だった。気を付けてな」
「はい。それでは失礼します」
ガモリーはルートヴィッヒに頭を下げて、玉座の間を出て行った。
「おい、ガモリー!!」
イードが声をかけたが、ガモリーは気づかなかったのか、そのまま行ってしまった。
「何かあったのかな・・?」
「そうね・・」
「その辺りの事は私にはどうしようも無いからな。ガモリーの心のケアは二人に任せたぞ」
「はっ!お任せを!!」
ルートヴィッヒに命じられ、イードとメリアは勢いよく返事をした。
≪軍師殿、良いかぁ?≫
ガモリーが自分の部屋で夕食を摂った後に、トランシーバーに通信があった。
まずはガリン中佐の方だ。
「はい、どうぞ」
≪無事傭兵になれたぜ。今は用意された自分の部屋で寛いでいる最中だ。軍師殿の予想通りに事が進んで、国王の直属の護衛の一人にも抜擢されたぜ≫
「ありがとうございます。引き続き、よろしくお願いします」
≪了解した≫
数分後、もう一台のトランシーバーに通信が入った。
≪軍師殿、応答願います≫
「どうぞアルス少佐」
≪無事に傭兵になれました。軍師殿の予想通り、国王の直属の護衛の一人に選ばれましたよ≫
「良かったです。それでは引き続き、よろしくお願いします」
≪了解しました≫
通信が切れた。
お二人ともご機嫌のようで何よりです。
さてと・・。
そろそろ外に出ますか。
ガモリーは自分の部屋から出た。
「あっ・・」
ガモリーはイードの部屋のそばで、自分の部屋に入ろうとしているイードと遭遇した。
ガモリーは昼食も夕食も自分の部屋で一人で摂ったので、玉座の間で会って以来、一度も顔を合わせていなかったのだ。
「よ・・ようガモリー。どうかしたのか?」
「ちょうど良かったです。あなたと話がしたくて」
「えっ?」
イードは心臓の鼓動が速くなった。
「どうしたんだ急に?」
「嫌・・ですか?」
イードはブルブルと首を振った。
「何言ってるんだ!嫌な訳無いだろう」
「良かったです。それじゃあバルコニーに行きましょう」
「あ、ああ」
二人は連れだってバルコニーに向かった。
外はもう完全に暗くなっており、星と月の光と、町の光だけがほのかに輝いていた。
正面にはピドナ城も見える。
二人は並んでピドナ城を眺めた。
「それで・・、俺に話って?」
「イードさんは・・」
ガモリーはそこで言葉を切った。
イードは次の言葉を辛抱強く待った。
「イードさんは、友人に嫌われた事がありますか?」
「友人に・・嫌われた事?」
(コイツは穏やかじゃないぞ)
「もちろんあるさ。皆が皆、俺と気が合う訳じゃ無いからな」
「嫌われた時、どう思いましたか?」
「そりゃ辛かったさ。けど、さっきも言ったように、皆が皆、俺と気が合う訳じゃない。お互い謝って仲直りした奴もいたが、喧嘩してからそれっきり何も話さなくなった奴もいる。何にせよ、いつまでも引きずってたって事は無かったな。まあそんな事は言ってみたものの、ソイツらは今はいないがね。皆死んじまったから」
「強いんですね、イードさんは」
「へっ・・。何言ってる。俺は強くない。それはお前が良く知っているはずだ」
「でも・・」
「ガモリー。お前がそんな話をするって事は、友人に嫌われたって事か?」
「・・はい」
「それはどうかな?お前が友人だと思えるほどの奴はそうそういない。それだけお前は、信用出来る人間を見極める厳しい目を持っている。そんなお前に友人だと認められた奴が、簡単にお前を嫌いになると思うか?俺はそうは思わない。何故なら、俺や姉貴がそうだからだ」
「イードさん・・」
「俺は別に、お前を慰めるために嘘を言っている訳じゃ無いぜ?今までお前を見て来て、お前のその目は決して節穴じゃ無いって事を知ってるから言うんだ。ガモリー、お前は嫌われちゃいない。大丈夫だ。俺を信じろ」
「・・はい。信じます」
ガモリーがイードの胸に頭を持たせかけた。
「お・・おい・・」
「少しだけ、少しだけで良いので、このままでいさせてください」
「す・・少しと言わず・・ずっとでも・・良いんだぜ?」
イードは体温が上がって行くのを感じた。
「すごく落ち着きます。イードさんが私の弟みたいな存在だからでしょうか?」
「お・・弟・・?」
イードは膝ががくっとなりそうなのを必死で堪えた。
(頑張れイード!)
(まだまだ戦いはこれからよ!!)
陰からこっそりと見ていたメリアが、イードに対して心の中で声援を送った。