ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「どうかしましたか?」
「あ~・・うん・・。二人が倒されて魔導士が復活するのが先か、はたまた、あなた達が四魔貴族みたいに変化して世界を滅ぼすようになるのが先かと思って」
「そこまでご存じなのですか。そうですね・・。しかも記憶が戻った事で、そうなるのが少し早くなりそうです」
「えっ?何で?」
「私達は封印する時に力を制御しました。力を制御しなければ封印できませんから。その過程で記憶も消えたのです。封印すると言う事は、時を止めるのと同じ事です。時が止まったので、私達の『魔貴族化』も完全にストップしました。その後、封印が解けたので、制御していた力は元に戻りました。でも、記憶は自然に戻りません。記憶が戻っていない分、私はまだ完全なグレモリーでは無いため、私の『魔貴族化』はグレモリーの頃よりは遅くなっていました」
「その状況は、アイムも同じって事だね?」
「はい。アイムの記憶が私よりも早く戻っているのであれば、私よりも早く『魔貴族化』します」
(完全な『グレモリー』と完全な『アイム』)
(となると)
(アイムの記憶が戻っているのなら)
(ユウとガモリーのオーラは完全に一致する事になるけど)
(でもなぁ・・)
(ユウとガモリーの『魔貴族化』は見たくない)
(何とかならないのかな・・?)
「ねえガモリー、『魔貴族化』って止める方法は無いの?」
「そうですね・・。今の所は『無い』としか言えません」
「それじゃあ怖くないの?」
「覚悟はしていますが、正直言えば怖いです。どんな姿になるか想像もつきませんし、おそらく自分の意思なんて無い状態になるでしょうから」
「だよなぁ・・。失った記憶って、脳に何かしらの刺激を与えなければ戻らないと言われるね。所謂『トリガー』って奴だ」
「はい」
「そのトリガーが、『魔導士』だったって事?」
「はい、そうです」
「参ったね・・。まさか私が原因とは・・」
ネビユは頭をかいた。
「それは気にしなくても大丈夫です。どんな形であれ、いずれは知る事になるのでしょうから」
「まあそうか。この世界で悪さしてる奴らなんだから、いずれ名前を知る事にはなるか・・」
「ええ。ではこんな所でしょうか?」
「うん。訊きたい事は聞いたよ。ありがとう。あ、そうそう」
「何でしょうか?」
「そう言えば、アイムがリーダーをやりたがらなかった理由だけどね。誤解してると思うから一応言っておくね」
「あ、はい」
「本人は、『面倒くさいからってリーダーをあなたに押し付けた』って言ってたけど、実際は、『人の上に立ってあれこれ命令したくない。そんな権利は自分には無い』んだって。でも、あなたのリーダーっぷりを見て、そんなに命令しなくてもうまくやっていけそうって分かったから、今度はリーダーをやるって事だよ」
「そうだったのですね。それを知って少しは救われた気分です」
「そっか。良かった良かった」
二人は笑いあった。
「普通ならびっくりだよね。だってあなた達はこの時代の人間では無くて、少なくても600年以上昔の存在だって事なんだからさ。私が驚かないのは、私もそれぐらい前の『秘女』の記憶も受け継いでいるから」
「そんな昔から『秘女』はいらっしゃったのですね」
「うん。魔導士と同じ能力を持っているぐらいだからね。もしかしたら、私達の一族が魔導士になっていたかも知れない。そうなってたと思うと怖いや」
ネビユはブルブルっと震えた。
「魔導士と一緒に暮らしていた訳では無かったのですね?」
「うん。魔導士の一族はかなり異端だった。『六磨貴族』がそうだったように、彼らも私達には無い特殊な能力を持っていたみたい。そのためか知らないけど、自分達の力に絶対の自信があった。だから早い段階で、彼らは独自に動いたんだって」
「そうだったのですね」
「お互い、記憶を全部取り戻せたって事かな?まあ、私の場合は記憶を『手に入れた』って言った方が正しいか」
「そうですね」
少し間を開けてから、再びガモリーが口を開いた。
「私、正直言って、ネビユさんがいてくれて良かったです。理解者が誰もいなかったら、私はこの先どうなっていたか分かりませんでしたから」
「それはお互いさまだよ。私もね、ガモリーがいて良かった。ありがとうね」
「こちらこそ、ありがとうございます」
「ふふ・・。ねえガモリー、あなたはこれからどうするの?」
「とりあえず、仕事に戻ります」
「そっか。そうだよね。いつまでも一緒にいられる訳じゃ無いもんね。でも私達、ずっと友達だからね。それは忘れないでよ」
「はい!もちろんです!!」
ガモリーが再び、飛び切りの笑顔を見せた。
(この笑顔が)
(ガモリーの最大の魅力なのかも)
(私、勝てるのかな・・?)
(イケないイケない!!)
(今考えるのはやめよう)
「それじゃ、お休み」
「ええ。お休みなさい」
ネビユが目を瞑ると、すぐに規則正しい呼吸音が聞こえて来た。
それを見ると、ガモリーはすぐに部屋を出た。
「姫様は・・」
外に出ると、すぐにネビユの祖父が近づいてきて小声で尋ねた。
「試練を無事乗り越えて、今眠りに就きました」
「そうですか。良かったです」
ネビユの祖父はホッとため息を吐いた。
「やはり姫にとって、あなたはとても大きな存在のようですね」
「そうだと良いのですが」
「そうでしょうとも。今後とも、孫をよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ネビユの祖父が深々と頭を下げたので、ガモリーも同じように深々と頭を下げた。