ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「7年前のファルスとスタンレーの戦争か・・。あの時は傭兵として潜入していたハリード殿のおかげでスタンレー軍団が勝ち、その後は大した問題は起き無かったようだが、今回はハリード殿はいないだろうからな。ファルスが勝って力と勢いを付けたとすると、ロアーヌにも飛び火しかねないぞ」
「ラドム将軍が仰る事も一理ありますが、ファルスがロアーヌに戦争を仕掛ける理由が無いし、勝てるとは思わないでしょうから、まず無いと思われます。なので、何故ツヴァイクの使者はわざわざあんな物を持って来たのだろうか・・?」
蒼龍隊隊長のイドゥン様が言った。
後半は自分に言い聞かせているみたいだった。
重要な事しか言わない人なので、これは重要な事だと判断したんだろう。
実際、かなり重要な事だ。
「それはおそらく、ロアーヌも近い内に戦争をする事になると、ツヴァイク公が考えたからでしょう」
「なに?どう言う事だそれは?お前は何か知っているのか?」
「はい。その件が、俺が準決勝で戦った相手と繋がって来そうなのです」
「ほう・・」
ミカエル様は興味を持ったみたいだ。
「俺が準決勝で戦ったのは、『ガモリー』と言う、俺と『同世代』の女です」
「女か。おまけにお前と同世代で互角とは驚きだな・・」
「はっきり言いますと、俺よりもかなり実力が上です。それは間違いないです。ソイツは俺に余裕で勝てるはずだったのに、わざと負けました」
周囲がざわついた。
「そこまでの奴とは・・。一体ソイツは何者なのだ?」
「ツヴァイクのデータベースによると、『エデッサの自警団』とありました」
「エデッサ・・?ピドナの南にあるエデッサ島の事か・・。そんな所の自警団が、それほどの強さだと言うのか?」
「ツヴァイクのデータベースには、俺のデータも正しく記載されていました。なので、ガモリーの情報も『本来は』本物だったはずです。疑わなければならないのは、『ガモリーの情報が改ざんされた物かも知れない』と言う事です」
「改ざん?何故そんな事をしなければならないのだ?」
「自分の正体がバレると、後々色々と面倒な事になると思ったからです。ツヴァイク公も、ガモリーのデータが改ざんされている事、またはその可能性に気づいた。そして、ガモリーがデータを改ざんしてまで武闘大会に参加しなければならない理由が必ずあるとも考えた」
「その理由が『戦争』・・なの?」
「最終的なゴールはそこです、母上。実際の理由は、『自分の実力を確かめたい』とか、『ツヴァイクの技術がどの程度か偵察するため』などでしょうが。そのため、ツヴァイク公は部下に、大急ぎでロアーヌにヴァーチャルの技術を持って行かせた。これなら辻褄が合います」
「そこまでしてロアーヌと戦争したい国なんて、この世界には一つしか無いな」
「はい。間違いなく『ピドナ』です。ガモリーはピドナの軍人です」
周囲が静まり返った。
「ユウよ。その考えに確信がありそうだな」
「『以前』の俺のままだったなら、ここまでの確信は持てませんでした。でも、『今』の俺なら持てます。何故なら、ガモリーがどう言う考えを持っているのか、『今』の俺なら手に取るように分かるからです」
「どう言う事だ?『以前』のお前と、『今』のお前でどんな違いがあると言うのだ?」
「俺は伯爵から『魔導士』の名を聞いた時、『ほぼ』全ての記憶が蘇って来ました。ガモリーと俺は双子の姉弟です。そして俺達は、今から約600年前の存在です」
「ろ・・600年前・・?」
俺は、元は『アイム』と言う名前で、ガモリーは『グレモリー』と言う名前だった事、アイムとグレモリーと四魔貴族の4人を合わせた『六磨貴族』だった事も話した。
それから、魔導士達が六磨貴族を狙ってやって来た事。
俺とグレモリー以外が『魔貴族化』してしまった事。
そして、俺達が魔導士を封印した後、アイムとグレモリーがお互いを封印し、今に至る事を話した。
だが、一つだけ隠しておいた事がある。
それは、俺達もいつかは魔貴族化して、世界を攻撃するかも知れない事だ。
今は余計な心配をさせたくない。
その時が来たら皆に話し、そして俺を倒してもらおう。
それが一番良い。
俺がこの話をしている間、誰一人口を挟む者はいなかった。
俺の話が終わっても、なかなか言葉を発せなかったが、ようやくミカエル様が口を開いた。
「と言う事は、今の状況は四魔貴族が倒された事で、奴らが封印した魔導士が復活した・・と言う事で良いのだな?」
「はい」
「にわかには信じがたいが・・」
「ですが全て事実です」
「参ったわね・・。私はちょっと頭が痛くなってきちゃった」
カタリナ様が頭をかかえた。
「申し訳ありません」
「ああ、ごめんなさいね。あなたのせいじゃ無いわ。これは私のせい。だから気にしないで」
「分かりました。あの・・ミカエル様とカタリナ様にお聞きしたい事が・・」
「何だ?」
「何かしら?」
「俺の方がある意味大分年上ですけど、それでも父上・母上と呼んでも良いのでしょうか?」
ミカエル様とカタリナ様がお互いを見た。
そして、目で何かを合図したみたいだった。
「お前が良ければ・・な」
「あなたが良ければ・・ね」
二人が同時に言った。
俺は心の中のもやもやが浄化されて行く感じがした。