ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
あれ?
気づいたら俺は、城のトイレの個室にいた。
確かに、ここなら安全だが・・。
もし、四天王も負けた後に同じ場所に来たんだとしたら、どうやってあんな短時間で戻って来たんだ???
まさかテレポートか?
・・そんな事より、俺がここにいるって事は、負けたって事か・・。
まあ、悔やんでも仕方がない。
ベストは尽くしたんだ。
胸を張って帰ろう!
約5分後に、俺はヴァーチャルの世界に戻って来た。
ミカエル様はそこにいた。
つまり、俺は間違いなく負けたって事だ。
「お帰りなさい、ユウ」
カタリナ様が優しく俺を迎えてくれた。
「ただ今戻りました」
「良い戦いだったわよ」
「私もそう思う。良い戦いが出来た。ありがとう」
ミカエル様が右手を差し出してきた。
俺も右手を出して握手した。
頼りがいのある大人の男性の手だ。
俺達は手を離した。
「良い戦いであっても、負けは負けです」
「そうかしら?正直言うと、あれは引き分けだったように思うけど・・。ねえ?」
カタリナ様が、ミカエル様以外に同意を求めると、皆が頷いた。
「どう言う事でしょう?」
「あなたの『黄龍剣』もミカエルには致命傷だったって事。でも、ミカエルは食いしばった。ただそれだけの話」
「く・・食いしばった???」
良く分からないな・・。
だが、ミカエル様もそれに同意しているようで、困った表情をしている。
「実はそうなのだ。あれは間違いなく引き分けだった。私も完全にやられたからな。だが私は、『負けたらロアーヌ王を引退する』と言う気持ちで戦っていたから、あの時食いしばる事が出来たのだ」
「つまり、気持ちで勝ったと?」
「簡単に言えばそうなるかな」
「それならば納得できます。俺は『後悔しないよう全力を尽くす』としか考えていませんでしたから」
「結果はどうだ?満足できたか?」
「はい。俺の全ての力を出せました」
「そうか。ならば訊きたいのだが、私とガモリー、どちらが強い?」
「!!そうですね・・」
そんな事聞かれるなんて思わなかったな。
だが、実際どちらが強い?
ガモリーの実力が武闘会の時の実力なら、間違いなくミカエル様だ。
だが、ガモリーはまだまだ力を隠している。
それがどの程度か分からない以上、簡単には答えられない・・。
「そうか・・。答えられないほど、ガモリーは強いと言う事だな?」
「・・はい」
「分かった。ならば今まで以上にしっかり鍛え上げねばならんな」
「えっ?」
「闘志は伝染する物だ。他の者も見てみるが良い」
俺は他の人達を見た。
「今日からこの場を使ってきっちりトレーニングしないとな!」
ゾーマ様がひどくやる気だ。
「ならば、各隊ごとに時間を決めてやろうでは無いか」
「そうですね。二部隊が同時に入れば、私達四天王もきっちり訓練が出来るのでは?」
「ふむ」
セト様、ラスタ様、イドゥン様も先を見据えて話し合いをしている。
「ラドム将軍、暇な時で良いので、私と剣の稽古を頼めますか?」
「大臣自ら私を誘ってくださるとは・・。喜んでお引き受けいたしましょう。私もあんな戦いを見せられたら黙ってはいられませんから!」
「カタリナ・・。お願いがあるの」
「分かっていますよモニカ様。久しぶりに剣の稽古をしましょうか。ですが以前とは違い、あなたも強力な戦士の一人です。なので、こちらも手加減は無しですよ?」
「ありがとうカタリナ!!」
「モニカ、たまには俺とも稽古をしよう」
「ユリアン、望む所ですわ」
ラドム将軍、ユリアン大臣、モニカ様、カタリナ様の4人も気合が入っている。
「フッ・・。モニカまでもか。これは予想以上の結果になったな」
「そうですね」
「ユウよ。これからも定期的にお前と稽古をしたいが、良いだろうか?」
「もちろん!望む所です!!」
「武器防具は、ピドナには全く歯が立たないからな。ならば肉体と技術を鍛えるのみだ」
こうして俺達は、毎日ヴァーチャルの世界を使った訓練に明け暮れた。
時間はどんどん過ぎていったが、俺は気づいていなかった。
ファルスとスタンレーの戦争が、始まる前から終っていた事に・・。