ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「ようやく、その『時』が来たかな・・?」
ばあやが呟いた。
「ん?何の話だ?」
「私はあなたが赤ん坊の頃からすでに『ばあや』だったのですよ?あれから17年経っています。それなのに、私はず~っと変わらず『ばあや』なのですよ?おかしいと思いませんでしたか?」
「あっ!!」
全然おかしいとは思わなかった。
だが確かにそうだ。
ばあやはオレが憶えている段階で、すでに見た目は60歳ぐらいだったはず。
それなのに、今も60代ぐらいじゃ無いか!
10年以上経っていて、外見が全然変わらないなんて明らかにおかしいぜ!!
「お前、一体、何者なんだ・・?」
「『ばあや』は仮の姿。本当の姿は・・これよ!」
ばあやが大きくジャンプすると、空中で一回転した。
そして地上に戻って来た時にはすでに変装が解かれ、オレの目の前には30台後半ぐらいの美人の女性がいた。
「おおおお!?何だ今のは???」
「これが『変化の術』&『早着替えの術』です!」
『ばあやだった人』が言った。
「『私達』は『忍びの者』・・つまり『忍者』です。王子は忍者をご存じですか?」
「確か歴史の本に載ってたと思う。『最強の諜報員』、『最強の破壊者』、『最強の暗殺者』、『最強の戦術者』だったが、今は絶滅したと・・」
「本にはそう書かれているでしょう。それも、私達が流した情報なのですから」
「すでに本にも嘘の情報を入れていたと言う事か?」
「そうです。その本の著者も私達の仲間です」
「な・・なるほど・・」
「そうやってこの世界に住む人達の心の中から、次第に『忍者』と言う存在を抹消して行きました」
「何故?」
「忍者の存在があまりにも大きくなると、その存在を疎ましく思う者が現れます。そして、その者に騙されて殺されてしまいます。実際、それで私達はかなり数を減らされてしまいました。同じ事は、『ニシコ』に住んでいた占い師にも言える事です」
「ああ・・。ネビユの事か・・」
「そうです。私達は、すでにネビユさんの情報も掴んでいます。ネビユさんの一族は私達よりもダメージが大きく、もはやネビユさんを残すのみとなってしまいました」
「それも、表舞台で活躍したせいだと言う事か?」
「はい。もっとも、ネビユさんの一族も、ランスに住む天文学者のヨハンネス氏と、その妹アンナ氏の父が『死食』を予想した後、風説の流布で火あぶりにされて以来、なるべく目立たないようにしていたのですが・・」
「かなり詳しいんだな」
「私達が生き延びる術は、この『情報』にあると言っても過言ではありません」
「で、そうやって忍者の事を人々の心から消してきたのに、何故今頃になって再び現れたんだ?」
「私達は、このままではいずれ絶滅してしまいます。ですから、そうなる前に手を打っておかなければなりません。まずは、絶対に信用出来る人を見つけ、その人と、その国全体と協力体制を整える必要があります」
「それがオレであり、スタンレーであると?」
「ええ。それと、リーケル王子とファルスも。あなた方は、絶対に自分の都合で『私達』を殺したりしないでしょうから」
「それはそうだ・・。ん?待てよ・・?そう言えばさっきも、『私達は忍びの者』って言ってたが、まさか、ファルスにも忍者がいるのか?」
「もちろんそうです。ファルスにいる忍者が、『リーケル王子とファルスなら信用できると判断したのです」
「何かさっきから『私達』って言うのを良く使ってるけど、その『ファルスにいる忍者』って言うのは、まさかばあやの・・じゃない・・。えっと・・。何て呼べば良い?」
「私の名前は『いち(市)』です『お市』と呼んでください」
「お市?お市な・・。ああ、分かった」
いきなりの事で頭がこんがらがっちまったな・・。
「で、その・・。さっきの続きだが、ファルスにいる忍者は、お市の家族か何かか?」
「はい。私の娘です」
「な・・な~にィ!?あっ!!」
オレは『娘』と聞いて、一人心当たりがあるのを思い出した。
「ま・・まさか・・。お市の娘って・・」
お市はイタズラっぽく笑った。