ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
ん?
あれは・・。
俺が見た方角に、ガリンとイードらしき男と、女性が一人いる。
女性はガリンに腕を掴まれている所だった。
「何するんですか?!離して!!」
「おお・・。なかなかの美人じゃねえか。おいアンタ、今日一日、オレと附き合え。これは命令だ」
「いきなり何を言い出すの!?命令?ふざけないで!!」
アイツ!!
俺の国の民に何て事を!!
許さん!!
俺がダッシュすると、イードがガリンの肩を掴んだのが見えた。
「やめろガリン!ルートヴィッヒ様に報告するぞ!!」
「やれば良いさ。どうせルートヴィッヒ様はオレに口出しは出来やしない。オレを首にしたら、オレの派閥からピドナ軍に毎月支払われている金が入らなくなるんだからな」
「くっ・・!!」
「フン・・。付き人はそうやって大人しくしてりゃ良いんだよ」
「そこまでだ!!」
ガリンが再び女性に向き合おうとした時、俺は女性の手を掴んでいたガリンの手を掴んで離させた。
「早く逃げるんだ!」
「ありがとうございます!!」
女性は大急ぎで逃げて行った。
「俺の国で好き勝手させないぞ!!」
「誰かと思えば王子様じゃねえか。こんな事して良いのかなぁ?オレを怒らせたらどうなるか、教えてやろうか?」
「興味ないね」
俺は思い切りガリンを睨んだ。
正直、ルネとは比較にならないくらい穏やかな目つきだと思う。
それでも、俺の怒りを全てぶつけてやった。
それが功を制したのか、ガリンが怯むのが分かった。
「フン・・。後でどうなってもオレは知らねえからな」
そう言って、ガリンはさっさと歩いて行った。
「君がリーケル王子か?俺は・・」
「イード中尉・・だろ?」
「俺の事を知ってるのか?」
「まあ、ちょっとだけね。ガリンの奴を止めてくれてありがとう」
「それはこっちのセリフだ。俺だけじゃ止められなかったからな。本当は俺だけがファルスに来るはずだったのに、アイツが無理矢理行くなんて言い出したから・・」
「アイツは俺の父を殺した時の変装に自信を持ってる。だから、本人の姿で来ても誰にも気づかれない。そう思ったからファルスに来た・・だろ?」
「お・・お前、な・・何故そこまで・・?」
「じゃあ、やっぱりそうなんだな・・?」
「もう終わっちまった事だから言うけど、そうだよ」
クノちゃん・・。
全部君の言った通りだったよ・・。
「俺達の事・・恨むか?」
「父が殺された事をか?まさか。ピドナの作戦に気づかなかった父が悪い。いや・・。もしかしたら気づいていたかも知れないが、何も対策をしなかったからな。結局、父が悪かったんだ」
「もしかしたら、俺がお前の父を殺していたかも知れない。それでも・・か?」
「それでも・・さ。まさか、俺の事気にしてくれてるのか?良い奴だな。それは嬉しいが、気にしなくて良い。むしろ犠牲者が父一人で済んで良かったと思っているよ」
「そうか・・」
「けど、アイツの事は絶対に許さない。アイツは『俺の国の民』に手を出した。そして傷つけた。放っておくと、同じ事を繰り返すだろう。だから許さない、絶対」
「アイツを・・殺すのか?」
言葉が出てこなかった。
人一人を殺す。
それはつまり、一つの存在をこの世界から完全に抹消する事でもある。
簡単に出来る奴もいるが、俺には出来ない。
出来ればやりたくない・・。
それが本音だ。
俺が無言でいると、イードが再び口を開いた。
「じゃあ、言葉を変えよう。アイツを『殺してくれ』」
「良いのか?仲間なんだろう?」
「仲間・・ねぇ・・。アイツは俺達の事を仲間だなんて思って無いし、『俺達』もアイツの事を仲間だとは思っていない。さっきアイツが言ってた事が聞こえてたかも知れないが、アイツの派閥が軍に払ってる金が重要なだけで、あいつ自身は軍にとって全然重要な存在じゃ無いんだ」
「弱いのか?」
「いや、そんな事は無い。腐っても中佐だからな。それなりの力はある。とは言え、俺はほとんどアイツの力を知らないからな。アドバイスできる事は何も無い」
「その点は大丈夫さ。ファルスには、お前の事も調べている優秀な部下がいるからな。彼女に訊く事にするよ」
「彼女?って事は女なのか?ピドナにもすごい女がいるが、ファルスにもいるんだな」
「そうなのか?」
「ああ。一人は俺の姉だがな。そしてもう一人が、さらにとんでも無くすごくてな」
「『美人軍師』の事だな」
「美人軍師・・。まあ、当たってるな。あの銀髪のストレートヘアは何度見ても惚れ惚れするぜ・・」
(銀髪のストレートヘア・・?)
(どこかで見たような・・)
「彼女の事が好きなのか?」
「えっ!?あ、いや・・」
イードが黙ってしまったが、一呼吸置いてから意を決したように言った。
「ああ。大好きだ。もっとも、そいつは恋愛に疎いみたいだから、俺の気持ちに気づいていないみたいだけどな」
「そうか~・・。お互い大変だな」
「お互い?」
「俺もな、今話した子が好きなんだ。もっとも、俺の場合はおそらく俺の気持ちに気づいてるだろうけど、相手にされてないんだな~これが」
「そうなのか。ははは!!」
「わ・・笑うなよ!」
「いや、済まない。それじゃあ、お互い頑張ろうぜ!!」
「よっしゃ!!」
俺達は握手をして別れた。