ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「お帰りなさいませ王子」
城の自分の部屋に戻ると、ばあやが掃除をしていた。
何故『ばあや』と言うのかと言うと、今お市は『ばあや』の姿だからだ。
「あなたが何を仰りたいか分かります。『何故また変装しているのか?』ですよね?」
「ああ・・。けどあのままの姿でいたら侵入者と間違われちまうからな。仕方がねえ」
「その通りです。色々説明するのも面倒くさいですしね。もう少し、今までと同じ生活が続きそうです」
「まあそれは良いさ。それより、アルスの情報を教えてくれ」
「・・と言う事は、覚悟を決めたと言う事ですね?」
「ああ」
「よろしいでしょう。では・・」
一瞬、煙みたいな物が見えたかと思うと、ばあやの手の上に巻物が現れた。
「その巻物は?」
「ここに、たくさんの情報が書かれております。娘も同じ物を持っております。私達が殺される時には、この巻物は確実に処分しなければなりません。敵に渡す訳には参りませんから」
「それほど重要なんだな?」
「はい、そう言う事です。それではアルスについてお教えしましょう」
ばあやが巻物を開いた。
「アルス。男。23歳。ピドナ少佐。ピドナ国王ルートヴィッヒの亡くなった兄の息子・・つまり、ルートヴィッヒのおいと言われているが・・」
「言われているが・・?」
「実際の所は不明。もしかすると、ルートヴィッヒの弟では無いか?と言う説も」
「なに?ルートヴィッヒとアルスでは、かなり歳の差があるんじゃ・・?」
「ルートヴィッヒ39歳、アルス23歳。そうですね。確かに歳は離れています。ですので、この説が正しいとすれば、ルートヴィッヒの父が愛人に生ませた可能性が高いです。だから、あんなに性格がひん曲がっているのですね」
「う~ん・・」
(そこまで言うか・・)
「そう言う理由があるなら、多少は同情の余地があるかも知れんな。父親の愛情をちゃんと受けていないかも知れないと考えれば」
「あら、あなたも同じではありませんか?あなた自身も、父親の愛情を受けていないと思っていたはず」
「そ・・それは・・」
「でも、あなたはしっかりと成長なされた。そして、リーケル王子と言う唯一無二の親友も見つけられた。つまり、『父親の愛情を受けられなかったから』と言うのは理由にならないのです。歪んで成長したのは、彼自身が原因です」
「そうかもな」
「彼は軍所属でありながら、団体行動を極端に嫌います。まあ部下としては、彼と一緒に行動したくないと言うのが本音なので、それに関しては助かっているみたいですが」
「なるほどな・・」
「では、次に彼の装備についてです」
武器 ドビーの弓 スパイダーソード
防具 白銀の鎧 羅刹のベルト シェルブレーサー ラバーソウル
耐性 毒 睡眠 麻痺 混乱 即死 誘惑 音波 雷
「何でこんなに耐性があるんだ?」
「分かりません。音波は白銀の鎧、雷はラバーソウルの耐性ですが、その他は彼に元々備わっている耐性のようです」
「信じられんな・・。アイツ本当に人間なのか・・?」
「人間・・だと思いますけどね・・。私も自信を持って言えません」
「武器もなぁ・・。ドビーの弓とスパイダーソード?スパイダーソードは少年に向けた奴か?ドビーの弓は名前だけは聞いた事あるけど・・」
「どちらも非売品です。モンスターしか持っていません。ドビーの弓は『ドビー』もしくは『マスタードビー』が、『スパイダーソード』は『リザードマン』が持っています」
「そいつらを倒して奪ったって事か・・」
「そう思います」
「以上か?」
「いいえ。最後に重要な情報があります」
「おっ、何だ?」
「アイツは『死ね矢』と言う即死技を得意としています。あなたのお父上も、この技で殺されました。名前の通り、当たれば即死です。それは、体のどこに当たってもです」
「それはやばいな・・」
「ですがご安心を。アイツが『死ね矢』で狙うのは、心臓もしくは心臓がある場所の背中部分だけです。あなたのお父上も心臓がある場所の背中側に矢が刺さっていました」
「そうか・・。それじゃあその部分だけしっかり守れば・・」
「ええ。必ず勝てると言う事です」
「分かった。肝に銘じておこう。ああそうだ」
「何でしょう?」
「彼女と良い再会が出来た。ありがとう」
「いいえ、どういたしまして。ネビユさんが仰っていた通り、あまり良い状況での再会ではありませんでしたが・・」
「そうでも無い。変わらない彼女を見られた。それだけで今は満足さ」
「それならば良かったです」
「まあ一つだけ、アイツも間違っていた事を言っていたがな」
「ああ・・。『お互いが誰かを認識していない』と言う事ですね?」
「ああそうだ。けど、オレは彼女を認識していた」
「それは『私』がいたからですよ。『私』があなたの未来を変えたのです」
「ははは!なるほどな!!なら、オレはアルスに負ける心配も無いな。ついさっき、お前から対策を聞いたんだから」
「ええそうです」
「よし!後はタイミングだが・・」
「タイミングは彼らがスタンレーから引き上げる時・・ですね。おそらく、『彼女』が協力してくれるはずです」
「どんな風にだ?」
「いずれ分かります」
「分かった。じゃあその時を待とう」
オレはしばらく部屋で待機する事にした。