ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「どうやら自分の課題が分かったようだな」
「えっ?」
「そうだ。お前が今思った通り、オレは小剣技の全てを知っている。お前が今使えないのは『ファイナルレター』ぐらいだろうが、オレはその技に関しても熟知している。だから、お前自身の独自技が無いと、小剣でオレには勝てないぞ?つまり、剣でオレに勝つには、これよりさらに自分を磨かなくてはならないと言う事だ」
「そう・・ですよね・・」
「まあ、オレが剣の稽古をしない理由はそこにあるんだ。技に慣れすぎると、その技に対する知識が凝り固まって新しい感覚が湧いて来なくなるんだ。だから、頭だけでしっかり理解し、色々応用出来るかどうかを考えるようにするんだ」
「なるほど。船での特訓は、そう言う事だったのですか。納得です」
「そうだ。とは言え、ここまでやれるのは分かった。とりあえず合格だな」
「合格?」
「今日はもう辺りが暗くなっちまったからな。ここまでにしよう」
「あっ・・」
全然気づかなかった。
自分で言うのも何だけと、集中しまくってたなぁ・・。
「夕飯を食って部屋に戻ったら、お前の母について話してやる」
「ほ・・本当ですか!?」
「ああ。合格したご褒美って所だな」
「や・・やったぁ!!」
ついにオイラのお母さんの事が分かるんだ!
オイラはいてもたってもいられず、大急ぎで食事を摂った。
そのせいで、味が全く分からなかった・・。
そこは要反省だな。
「おいおい・・。もっとゆっくり食えないのか?」
「ご・・ごめんなさい」
「フッ・・。まあ気持ちは分からないでも無いがな。そんなに焦らんでも、情報は逃げやしないさ」
「は・・はい・・」
食べる速度は落としたけど、結局、味は分からなかった・・。
コックさん、ゴメンナサイ!
オイラ達は部屋に入った。
部屋の中にテーブルと、向かい合う二つの椅子があったので、そこに向き合って座った。
それから少しして、ハリードさんがようやく口を開いた。
「お前の母親の名は、まあ・・、お前も名前だけは聞いた事があるかも知れん。『ファティーマ』と言う名前だ」
「ファティーマ・・。シャールさんから名前は聞いた事があります。確かナジュ王国の姫だと」
「ああそうだ。そして、オレの幼馴染でもある」
「ええ!?そうなのですか?」
「ああ」
「どんな人でした?」
「とても優しい人だったよ。さっきも言ったが、戦いがひどく嫌いでね。とにかく、人を傷つける行為が嫌だった。とは言え、自分の身は自分で守らなきゃいけなくなる時もある。そう言う理由で、小剣を使えるようになっていた。何せ彼女の父親は『カムシーン』の使い手となるほどの剣の使い手だったからな。彼女にも素質が無い訳じゃ無かったんだろう」
オイラの小剣の素質は、お母さんがくれた物だったんだ・・。
「それで、お母さんはどんな風に亡くなったのですか?」
「分からん。もしかしたら死んでいないかも知れん」
「そうなのですか?!」
「あまり期待を持たせたくは無いんだが、何も分からんのだ。ただ、オレ達が神王教団に追われている時、ルートヴィッヒに彼女を任せ、オレは追手を食い止めていたんだが、結局、ルートヴィッヒもやられてしまい、彼女は神王教団に連れ去られたと言う事なんだ」
「そうだったんですか・・」
ルートヴィッヒと色々あったって、これの事だったんだ・・。
「その後の消息は不明。先の戦いの時、神王教団の長ティベリウスと少しだけ旅をした事があるが、その時に聞けば良かったんだがな~」
「何故、訊かなかったのですか?」
「怖かったのさ。真実を知る事が・・な」
「ハリードさん・・」
ハリードさんはまさか、お母さんの事を・・。
でも、とても訊けるタイミングじゃ無い・・。
ハリードさんもこんな気持ちだったのかな・・?
「まあ。オレから話せる事は、こんな所かな」
「ありがとうございました。少しですが、母の事が分かって良かったです」
「それなら良かったぜ」
「あの、オイラのお父さんの事は・・?」
「お前の父は、オレも確信がある訳じゃ無いが、『コイツ』だと思える人物がいる。それはもう少しお前が成長してからにしよう」
「分かりました」
いずれ分かるなら良いや。
オイラにはシャールさんもいるし、ハリードさんもいる。
寂しくなんか無いから。
その日、オイラはぐっすりと眠る事が出来た。