ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
昨日は変な夢を見た。
リーケルとルネの父親・・すなわち、ファルスとスタンレーの国王が何者かに暗殺されたんだ。
私は二人にお会いした事が無い。
なのに、お二人の顔を今でもはっきりと憶えてる。
これももしかして、私が『秘女』の能力を受け継いだおかげなのかな?
とりあえず、今はその事を考えないようにしている。
何故なら、今は神託の儀式の途中だからだ。
昨日、『秘女』の力を受け継いだばかりだけど、私がじいやに自ら儀式を行うように頼んだんだ。
グレートアーチの祭壇の周りに、人が集まっている。
全部で20人ぐらいかな?
私の神託の儀式を見に来た人達だ。
私だけは祭壇の前で祈りを捧げている。
中には、私の二世代前の秘女・・つまり、『私の』『母の』『前の』『秘女の』『神託の儀式』(5連携)を見ている人もいるみたい。
それだけ秘女の力を信じてるって訳。
その人は、神託を信じたおかげで一財産得たみたいだけど・・。
私は、自分を含めたここの全ての人達を守りたい!
だから・・。
これで最後に・・。
私の体の中に、何かが憑依するのを感じた。
私は誰かの意志によってゆっくりと目を開け、集まっている人達を見ながら口を開けた。
「皆さん、今日はよくぞお越しくださいました。それでは、私達の『最後』の神託をお伝えしましょう」
『最後?』と言う声が聞こえた。
でも、私は構わなかった。
今の私に自分の意思は無いけれど、自分の口から聞こえてくる声が、自分の声では無い事だけは分かる。
その声が続けた。
「あなた方は自由です。もう、『私達の』神託を聞く必要はありません。これからは、あなた方自身が決めて行くのです。何故なら、皆が主人公なのですから。何かやりたい事があるでしょう。夢があるでしょう。なりたい自分があるでしょう。自由にやってください。無理な事なんて何一つありません。最初から諦めて良い事なんて何もありません。自分を信じてください。例えその夢が叶わなかったとしても、経験した事は必ずあなたの糧になります。そして成長するのです。もう一度言います。あなた方は自由です。自分の思うがままに生きるのです。そして、『今を生きている事』を実感してください」
「ちょ・・ちょっと待ってよ!!」
さっき私が言った、『私の二世代前の秘女の儀式』も見ているお婆さんが言った。
お婆さんなのに、まだまだ元気一杯だ。
「何でしょう?」
「『神託を聞く必要が無い』だの、『自由にやれ』だの、あなたは何の権利があって、そんな事を言うの?」
「権利?おかしいですね。『私達』には神託を伝える権利があり、今それを伝えているに過ぎませんが?」
「それのどこが神託なのよ!?ただ、『あなたの』想いを告げているだけでしょ?!」
「『私の』ではありません。『私達の』です。私達は民衆のために犠牲になりすぎました。もう十分でしょう。私達にも幸せになる権利があるはずです」
「あなたの母親は十分に幸せだったはずでしょ!?結婚して子供も産んで・・。それの何が気に入らないの?!」
「私の母は確かに幸せでした。でも、母の前の秘女はどうだったでしょうか?本来なら彼女の双子の姉が秘女になるはずだった。それが、儀式を二人で無事終えて帰ってくる途中で、その姉がモンスターに殺され、何故か復活して戻って来たけれど、秘女と言う存在が嫌になって逃げ出して、結局、妹さんが秘女になりました。姉妹ともに幸せだったでしょうか?私にはそうは思えません」
「そ・・それは・・」
「あなたなら分かるはずでしょう?お二人とも、あなたの親友だったのですから」
「ううう・・」
流石に、この一言でお婆さんは黙った。
「これはあなたの親友の意思でもあります。その事をお忘れなきよう」
「は・・はい・・」
「もう二度とお会いする事も無いでしょう。それでは皆さん、ごきげんよう」
私の体の中から、何かが去って行った。
今度は私の意志で目を開けた。
周りにいた人達は、それぞれ散り散りになっていた。
笑顔の人も多い。
どうやら、『私達』の神託に満足してくれたみたい。
『私達』は間違ってなかったんだな・・。