ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「ふう・・」
「姫様!大丈夫ですか?」
じいやが私の元に走って来た。
「大丈夫・・なのかな・・?かなり疲れたよ」
「それはそうでしょう。多くの秘女の魂を憑依させたのですから」
「でも、これで終わりなんだ。これでもう、秘女なんて存在にもピリオドを打つ事ができた」
「失礼ですが姫様・・。それは本当に、秘女達が願った事なのですか?」
「そうだよ。母も『これで最後に』って言ってたし。皆、そうしたかったんだよ」
「そうですか・・。皆、無理をなさっていたのですね」
「うん。どんなに辛くても、誰も言わなかった。町の皆のためにね。自分さえ犠牲になれば・・そんな想いを持っている人ばかりだった。私だって最初はそうだった。けど、母の言葉を聞いて分かったの。私も『幸せ』になりたいんだって」
「そうですか・・」
じいやはホッとしたような、もしくは残念そうな、複雑な表情をした。
「じいやはさ、母の一代前の秘女の事を知ってる?」
「もちろんですよ。彼女達は、私の同級生でしたから」
「あ、そうだったんだ」
「しかも、その・・。『彼女』は私の初恋の人でして・・」
「えっ?どっち?どっちが?」
「当時、『彼女が亡くなった』と聞いて、私は皆が見ていない所で思い切り泣いた物です」
「そうだったんだ・・」
ウキウキ気分が飛んでっちゃった・・。
「でも、蘇ったんだよね?私にも妹さん・・アイさんの記憶が残ってる」
「どんな記憶ですか?」
「姉は儀式を終えた帰りにモンスターに襲われて、間違いなく殺された。でも、自分が姉を殺したモンスターと戦って倒した時には、姉の遺体がどこにも無かった」
「当時アイが言っていた事と一致しますね」
「そして数日後、姉がフラッと戻って来た。何があったのか訊いてみたけど、『生と死の狭間の世界に行った』とか言って要領を得ない。あげく、『もう秘女にはなりたくない!』と言って町から逃げてしまった。それから、二度と帰って来る事は無かった。これで合ってるよね?」
「ええ。元々彼女は亡くなった者と思っていましたから、特に残念そうな人はいませんでした」
「じいやは?」
「私は・・当然残念でしたよ。本当なら一緒に附いて行きたかったぐらいです」
「どうして行かなかったの?」
「さあ、どうしてでしょう。体が動きませんでした」
「そっか」
ゴメン・・。
心の中の声が聞こえちゃったよ・・。
彼女よりも大切な人を見つけたんだね・・。
優しい人だったんだ。
じいやが双子のお姉ちゃんの事を好きなのを知ってて、じいやが悲しんでいる時に慰めてくれた。
それが、私のおばあちゃん・・か。
私はそれ以上、この件について話すのをやめた。
妹さんの名前は出したのに、何故、お姉さんの名前を出さなかったのかを聞かれると困るからだ。
だって・・。
何故か『アイツ』と同じ名前だから・・。
確かに、女性でも男性でもいる名前だとは思うけど、こんな偶然って、ある?
「あ、そうだ!秘女に正夢を見る能力なんてある?」
「あると思います。娘も良く見たと言ってましたから」
「そうなんだ・・。う~ん・・」
「どうかしましたか?」
「いや、それがね・・」
私はファルスとスタンレーの国王が暗殺された夢を見た事を話した。
「なるほど・・。それはありうるかも知れませんな」
「でしょ?でも、ここにいたら情報はしばらく来そうに無いなぁ・・」
「そうですね・・。ここは世界の端っこと言っても過言ではありませんからな」
「・・仕方が無い。行くか!!」
「えっ?どこへ?」
「ピドナ。ここから船で行けるし」
「ファルスとスタンレーの情報を聞きに行くためだけにですか?」
「もちろん、それだけじゃないよ。ファルスとスタンレーの戦いが終わったとすれば、次の戦いが始まる」
「ああ・・。そう言えば、『おそらく、ピドナとロアーヌ・ツヴァイク両国との戦争が始まる』と、ガモリー様が仰っていましたね」
「うん。その戦いを見届けるためだよ」
そう・・。
『ユウとガモリーの戦い』を見届けるため・・。
「かなり危険そうですが・・」
「大丈夫。戦争に参加する訳じゃ無いから」
「迷いが無い目をしていますな・・。仕方がありません。ただし、必ず生きて戻って来る事!これは必ず約束してください」
「私を誰だと思ってるの?秘女なんだよ?簡単に死ぬ訳ないじゃない!」
「それは確かに。無用な心配でしたな」
「けど、ありがとうね。必ず生きて帰ってくるって約束するから」
「ええ。では、行ってらっしゃいませ」
「うん!」
こうして、私はピドナに出発した。