ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「この二つの武器をお前にやる。私達からの餞別だ」
「えっ?何で二つも?」
「当面の間の武器は『グラディウス』になるだろう。お前が今使っているレイピアもそうだが、これは小剣でありながら剣技を扱う事も出来る優れ物だ。しかもレイピアよりも威力が高い。ノーラの工房の武器は本当に質が高いよ」
「そうさ。けど私の所の強力な武器は、ほぼ軍に持ってかれちまった。もちろん全部有料だけどね。『ファルシオン』に関しては『曲刀』は軍に合わないだとか言って難を逃れたけど、『グラディウス』は持って行かれた。その『グラディウス』は、女神さんのために残しておいた最後の一本だ」
「何故、ミューズ様のために?」
「『クラウディウス家』と『グラディウス』。名前が似てるだろう?理由はそれだけ」
「はあ・・」
「けど、そのおかげでアンタに渡す事が出来た。アンタは小剣技と剣技の両方を扱えるんだろう?なら、この武器はぴったりだ」
「それはそうですが、では『ファルシオン』は何故オイラに?」
「それは対ハリード用だ。『ファルシオン』では『カムシーン』に太刀打ち出来るはずが無いが、『目には目を』で勝たないと意味が無いからな。そこはお前の技量次第と言う訳だ」
「シャールさん・・。まさかそのためにオイラに剣技を?」
「そうだ」
「そうでしたか・・。やっと合点がいきました。オイラが優遇されていたのは、そう言う理由だったんですね」
「別に優遇していた訳では無いのだが、そう見られても仕方がないか。済まない・・」
「いえ!別に気にしてはいません。むしろ嬉しかったです」
オイラはぺこりと頭を下げた。
「じゃあシャールさんは、オイラに剣技を教え始めた時点で、ハリードさんからオイラの事を聞いていた事になりますが・・」
「そうだな」
「じゃあ何故、もっと早く教えてくれなかったのですか?」
「簡単な事だ。一つ目は、お前がまだ若すぎたと言う事。若すぎるために、戦いの基礎すら出来ていない。これでは旅に出た所で、すぐに死んでしまっただろう。もう一つは、これを早く教えてしまうと、ゴンよりもお前が先に旅に出てしまう事になる。それはゴンにとって失礼だと思ったからだ。何故なら、ゴンが旅立つ日はずっと前から決まっていたし、ゴンはお前の兄貴分だからな」
「そうですね。それなら納得できます」
「よし。分かってくれて助かる」
シャールさんはホッとため息を吐いた。
もしかしたら、オイラが文句を言うのかと思っていたのかも知れない。
「さて・・。大分話が長くなってしまったな。ウナガよ。お前には今すぐに旅だってもらいたい」
「そうか・・。そう言う事でしたか。それでミッチを買い物に行かせたのですね?ミッチの泣き顔をオイラに見せないために」
「そうだ。余計なお世話だったか?」
「いいえ。助かります。オイラも、アイツの涙はもう見たくありませんから・・。ただ・・」
「何だ?」
「ミューズ様と別れの挨拶が出来ないのがちょっと残念だな・・と」
「そうだな。それに関しては済まないと思っている」
「まあ良いですよ。ミューズ様とミッチには今度帰って来た時に、数百倍成長したオイラを見せて驚かせてやりますから!」
「ふっ・・。それは私も驚くな」
「ははっ!!私も驚くね!」
シャールさんとノーラさんが嬉しそうに笑った。
「じゃあこの武器は遠慮なくもらっていきますね」
「ああ。そうしてくれ」
オイラはファルシオンとグラディウスを持った。
両方とも、腰の鞘に収めた。
が、その後、肝心な事に思い至った。
「で・・。オイラは一体どこに行けば・・」
「これを持っていけ」
シャールさんは、ゴンに渡したのと同じように乗船券と2000オーラムをくれた。
ただ、乗船券の行先は『ツヴァイク』となっている。
「ツヴァイク?」
「そうだ。もうそろそろ『ツヴァイク武闘会』が開かれる。お前もそれに出場しろ」
「まさか、ハリードさんが出るんですか!?」
「アイツはそう言うのには興味がない。アイツが興味があるのは金だけだからな。アイツがいなくとも、世界各地の強豪が出場する。今のお前でどこまで行けるのか、試してみる価値は十分にあると思う」
「でも、ゴブリン一匹相手でも、オイラ達三人で協力してやっと倒せたぐらいなのに・・」
「その時は『三人いたから協力した』のだろう?お前一人の場合でも、ゴブリンなら余裕で倒せる。私がお前を鍛えたのだからな。間違いない」
「シャールさんがそこまで言うのならやってみます!」
シャールさんから太鼓判をもらえた。
これは喜んで良いのだろうな。
「よし!それじゃあ行ってきます!」
「ああ。行ってこい!」
シャールさんと握手をかわし、ノーラさんとも握手をかわすと、オイラは家を出て行った。
港へ向かう途中の道でミューズ様やミッチに会う事は無かった。
正直ホッとした。
必ず成長して戻るから、待っててくれよ!!
こうしてオイラは、ツヴァイクへと出発した・・。