ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX   作:日加利有亮

37 / 197
ウナガ編 第一章⑮

「この二つの武器をお前にやる。私達からの餞別だ」

「えっ?何で二つも?」

「当面の間の武器は『グラディウス』になるだろう。お前が今使っているレイピアもそうだが、これは小剣でありながら剣技を扱う事も出来る優れ物だ。しかもレイピアよりも威力が高い。ノーラの工房の武器は本当に質が高いよ」

「そうさ。けど私の所の強力な武器は、ほぼ軍に持ってかれちまった。もちろん全部有料だけどね。『ファルシオン』に関しては『曲刀』は軍に合わないだとか言って難を逃れたけど、『グラディウス』は持って行かれた。その『グラディウス』は、女神さんのために残しておいた最後の一本だ」

「何故、ミューズ様のために?」

「『クラウディウス家』と『グラディウス』。名前が似てるだろう?理由はそれだけ」

「はあ・・」

「けど、そのおかげでアンタに渡す事が出来た。アンタは小剣技と剣技の両方を扱えるんだろう?なら、この武器はぴったりだ」

「それはそうですが、では『ファルシオン』は何故オイラに?」

「それは対ハリード用だ。『ファルシオン』では『カムシーン』に太刀打ち出来るはずが無いが、『目には目を』で勝たないと意味が無いからな。そこはお前の技量次第と言う訳だ」

「シャールさん・・。まさかそのためにオイラに剣技を?」

「そうだ」

「そうでしたか・・。やっと合点がいきました。オイラが優遇されていたのは、そう言う理由だったんですね」

「別に優遇していた訳では無いのだが、そう見られても仕方がないか。済まない・・」

「いえ!別に気にしてはいません。むしろ嬉しかったです」

 

オイラはぺこりと頭を下げた。

 

「じゃあシャールさんは、オイラに剣技を教え始めた時点で、ハリードさんからオイラの事を聞いていた事になりますが・・」

「そうだな」

「じゃあ何故、もっと早く教えてくれなかったのですか?」

「簡単な事だ。一つ目は、お前がまだ若すぎたと言う事。若すぎるために、戦いの基礎すら出来ていない。これでは旅に出た所で、すぐに死んでしまっただろう。もう一つは、これを早く教えてしまうと、ゴンよりもお前が先に旅に出てしまう事になる。それはゴンにとって失礼だと思ったからだ。何故なら、ゴンが旅立つ日はずっと前から決まっていたし、ゴンはお前の兄貴分だからな」

「そうですね。それなら納得できます」

「よし。分かってくれて助かる」

 

シャールさんはホッとため息を吐いた。

もしかしたら、オイラが文句を言うのかと思っていたのかも知れない。

 

「さて・・。大分話が長くなってしまったな。ウナガよ。お前には今すぐに旅だってもらいたい」

「そうか・・。そう言う事でしたか。それでミッチを買い物に行かせたのですね?ミッチの泣き顔をオイラに見せないために」

「そうだ。余計なお世話だったか?」

「いいえ。助かります。オイラも、アイツの涙はもう見たくありませんから・・。ただ・・」

「何だ?」

「ミューズ様と別れの挨拶が出来ないのがちょっと残念だな・・と」

「そうだな。それに関しては済まないと思っている」

「まあ良いですよ。ミューズ様とミッチには今度帰って来た時に、数百倍成長したオイラを見せて驚かせてやりますから!」

「ふっ・・。それは私も驚くな」

「ははっ!!私も驚くね!」

 

シャールさんとノーラさんが嬉しそうに笑った。

 

「じゃあこの武器は遠慮なくもらっていきますね」

「ああ。そうしてくれ」

 

オイラはファルシオンとグラディウスを持った。

両方とも、腰の鞘に収めた。

が、その後、肝心な事に思い至った。

 

「で・・。オイラは一体どこに行けば・・」

「これを持っていけ」

 

シャールさんは、ゴンに渡したのと同じように乗船券と2000オーラムをくれた。

ただ、乗船券の行先は『ツヴァイク』となっている。

 

「ツヴァイク?」

「そうだ。もうそろそろ『ツヴァイク武闘会』が開かれる。お前もそれに出場しろ」

「まさか、ハリードさんが出るんですか!?」

「アイツはそう言うのには興味がない。アイツが興味があるのは金だけだからな。アイツがいなくとも、世界各地の強豪が出場する。今のお前でどこまで行けるのか、試してみる価値は十分にあると思う」

「でも、ゴブリン一匹相手でも、オイラ達三人で協力してやっと倒せたぐらいなのに・・」

「その時は『三人いたから協力した』のだろう?お前一人の場合でも、ゴブリンなら余裕で倒せる。私がお前を鍛えたのだからな。間違いない」

「シャールさんがそこまで言うのならやってみます!」

 

シャールさんから太鼓判をもらえた。

これは喜んで良いのだろうな。

 

「よし!それじゃあ行ってきます!」

「ああ。行ってこい!」

 

シャールさんと握手をかわし、ノーラさんとも握手をかわすと、オイラは家を出て行った。

 

港へ向かう途中の道でミューズ様やミッチに会う事は無かった。

正直ホッとした。

必ず成長して戻るから、待っててくれよ!!

 

こうしてオイラは、ツヴァイクへと出発した・・。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。