ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「大丈夫ですメリアさん。私は別に困ってなどいません」
「そう?でも、困った時はいつでも私に言ってね?弟はすぐ調子に乗るんだから」
そう言うと、メリアさんはイードさんの頭をポカっと殴りました。
今思うと、日常的に殴っているような気がします。
私は、暴力は反対です。
「痛ってぇ!何でお前はすぐに俺の『頭』を殴るんだよ!」
「分からないの?その『頭』が悪いからよ」
「自分だって大して変わらない『頭』の癖に!」
「何ですって!?」
この姉弟は良く喧嘩をします。
私は喧嘩をする事も反対なのですが、『喧嘩するほど仲が良い』と言われるので、少し羨ましい気もします。
と言うのも、私には喧嘩をするような親しい人がいないからです。
私には過去の記憶がありません。
記憶が無いので、自分の年齢も分かりません。
私が先ほど、イードさんは私と同い年『ぐらい』と言ったのもこのためです。
ですが、自分の名前だけは『辛うじて』憶えていました。
私の記憶の始まりは2年前、ピドナの西にある山から始まりました。
それから、私は当ても無く歩きました。
そして、すぐに空腹で倒れてしまいました。
目が覚めた時、私はピドナにいました。
私が倒れた所に、ピドナの国王であるルートヴィッヒ様がたまたまいらっしゃったとの事です。
そして私はピドナで介抱されました。
恩返しがしたい私は、何とかピドナで働けないかと懇願しました。
当然そんな事が許させるはずもなく、と思いましたが、何と、ルートヴィッヒ様は二つ返事で許可してくださいました。
まず私は住む所を与えられました。
ルートヴィッヒ様の右腕であるヴォルフ様のお屋敷に住む事を許されたのです。
それと言うのも、『私の年齢に近い子供達がいるから』との事でした。
それが、イードさんとメリアさんです。
私が自己紹介をした時のイードさんの言葉を、今でもはっきりと憶えています。
『変な名前だな』と。
確かに、『ガモリ―』って変な名前ですよね。
私も、何か違うかな?とも思うのですが仕方がありません。
だって、『辛うじて憶えていた名前』なのですから。
「なあガモリ―」
メリアさんとの喧嘩が終わったみたいで、イードさんが私に尋ねました。
「その作戦って、7年前にルートヴィッヒ様が考えた作戦とほぼ同じだぜ?その時はファルスを怒らせてスタンレーに攻撃を仕掛けるって作戦で、今回はスタンレーを怒らせてファルスに攻撃を仕掛けるって違いはあるけど」
「ええ。私もそう聞いています」
「それなのに、同じ作戦が通用するかねぇ?」
「します。私はピドナに来て、ルートヴィッヒ様から『世界統一を目指す』と言われてから今までの間、世界中の情報を得てきました。もちろんスタンレーの国王ジェイスンとファルスの国王クラックスについてもです。はっきり言いますと二人とも単純です。『ルートヴィッヒ様が同じ作戦を使うようなバカではない』と考える人達です。よって、この作戦が成功する確率はほぼ100%です」
「なるほど・・。ルートヴィッヒ様が賢い事を逆に利用する訳ね?」
「そうですメリアさん」
「でも、それが成功したとしても、スタンレーがファルスに攻撃を仕掛けるかしら?兵力は相変わらずスタンレーの1・6倍ぐらいあるのに」
「大丈夫です。スタンレーは7年前の大勝利の事を憶えています。あれ以来、スタンレー軍団には自信が満ち溢れています。『前に勝てたのだから、次も絶対に勝てる』と思っているでしょう。ですがあの勝利は、謎の人物の作戦のおかげだと言うのに。その人物がいなければ、スタンレーに勝利は絶対にありませんでした」
謎の人物。
確かに一般の方にとっては謎の人物でしょう。
ですが私にとっては謎でも何でもありません。
七英雄の誰かである事は間違いありません。
作戦一つだけで小国が大国に勝利する。
そんな事ができるなんて、本当に七英雄はすごい人達です。