ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「ただ奴を追いかけるために荷主と離れた訳じゃないよな?」
馬で野盗の足跡を追跡中に、イードさんが私に尋ねました。
「もちろんですよ。私の部下がそろそろ野盗のアジトを壊滅している頃です。荷主と離れたのは、それに気づかせないためです」
「じゃあ、逃げた奴は・・」
「アジトに戻った瞬間、部下に狩られますね」
「ちぇ・・。俺の手で倒したかったのに・・。まあ良いか」
(お前と二人っきりでいられるなら・・)
イードさんが何だか嬉しそうな顔をしています。
「にしても、そこまで計算しているとは・・。ユーステルムに先に行ったのは、部下が野盗のアジトを壊滅した頃を見計らってヤーマスに行くためか」
「はい。その通りです」
「全く・・。恐れ入るよ。お前の行動の全てに理由があるんだな」
そんな話をしている内に、足跡が続いていた洞窟までたどり着きました。
私達は、洞窟のそばの木に馬を縄で繋いでから洞窟内へと入りました。
「静かだな」
「ええ」
イードさんが先に行くと言うので、任せる事にしました。
「誰だそこにいるのは!?」
奥の方から声がしました。
それから、部下の顔が少しずつ見えてきました。
「これはイード様!ガモリ―様!!」
「お疲れ様です。無事に野盗のアジトを制圧しましたね」
「はっ!リーダーがいなかったため、楽に制圧する事が出来ました」
「リーダーは外に出てきていましたので、こちらで処理しました」
「そうでしたか」
「なあ、今さっき野盗の一人がここに来なかったか?」
「はっ!慌てて入ってきましたが、我々の姿を見て面食らったようでした。逃げようとしたので、こちらで処理させて頂きました」
「そうか~・・。まあそうなるよな」
「イード様、いかがなされましたか?」
「いや、何でも無い。気にするな」
「はぁ」
「ところで、ここでしばらく暮らせて行けそうですか?」
「はっ!ここはかなり住みやすくしてあるので、何の問題もありません!!」
「それは良かったです。ですが、無理は決してなさらないでください。あまり長居をすると、討伐令が出される可能性もあります。危険だと判断したら、速やかにピドナに帰還してください」
「はっ!お心遣いありがとうございます!我々は上司に恵まれて本当に良かったです」
「それを聞くと、嫌な上司もいると言う事ですか?」
「はっ!『奴ら』は・・」
どうやら部下はしゃべりすぎたと思ったようで、言葉が途中で途切れてしまいました。
「失礼しました。余計な事を話してしまいました」
「いいえ、大丈夫です。では、引き続きよろしくお願いしますね」
「はっ!お任せを!!」
私達は洞窟から出ました。
「私が見た限りでは、『嫌な上司』と言われるような方はピドナ軍にはいませんでしたが・・」
「いるんだな、これが」
メリアさん達と合流する間に、イードさんに上司の事を訊くと、このような返答でした。
「それは誰ですか?部下は『奴ら』と言っていたので、二人以上いる事になりますが」
「お前がピドナに来る前に、ルートヴィッヒ様の命令で全国行脚している奴らだよ」
「何故、そんな命令を?」
「表向きは『世界を知ってこい』って事だったけど、奴らは素行が悪かったからな。罰の意味合いもあったんだと思う」
「素行が悪いのですか。どんな人達なのか楽しみですね」
「冗談じゃない。あんな奴ら、二度と会いたくないぜ」
イードさんは、かなりその人達が嫌いなようです。
「ガモリ―!イード!」
「姉貴!!」
反対方向から、メリアさんとランスの荷主の馬車がやって来ました。
「それで、どうでしたか?野盗のアジトの方は?」
「残念ながら野盗はすでにいませんでした」
(なるほどな)
(確かに野盗はいなかった)
(いたのはガモリ―の部下だけだ)
イードさんが何やら頷いています。
「そうでしたか・・。それは残念です」
「ですが、かなりの大打撃を与えましたので、もはや再起不能では無いかと思います」
「ええ、そりゃあもう。力の差を見せつけてましたからね」
ランス陸送隊の方は大変満足しているみたいです。
「それでは参りましょうか。ヤーマスまで後少しですね」
「はい。引き続き、護衛をお願いします」
「お任せください」
私達は再びヤーマスへと向かいました。