ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
次の日になりました。
私は朝早くに船でリブロフにやって来ました。
もちろん一人です。
イードさんはヴォルフ元帥に、『自分も一緒に行く』と直訴したそうですが、やはり顔を知られているからダメとの事でした。
ここにある、モンスターに対する結界を発しているアイテムは『銀の手』です。
身に着けると、身に着けた方の手も利き腕と同様の力が得られると言う優れた防具です。
私はリブロフに着くとすぐに入口に向かいました。
入口の正面にはパブ(シェヘラザーデ)があります。
左右には階段があり、入り口側から見て右側の階段を上ると、その先は空き地になっていて、たまに『グレートフェイクショー』などのイベントをやる事があります。
左側の階段を上ると、さらに正面に階段があります。
それを上ると、正面に『ホテルリブロフ』の3~5階の部分が見えます。
7年前の戦いが終わってから増築した模様です。
ホテルリブロフの入口は正面の階段を下りた所にあります。
そして、さらにその道を真っすぐ行くと、リブロフ城へたどり着きます。
私は頭の中でイメージしました。
私達が城からの帰り道に狙われるとしたら、間違いなく『パブの目の前』であると。
城からの帰り道、町の入口への道、空き地への道と、三方向から完全に囲む事が出来るからです。
対する私達は、この『段差』を利用しない手はありません。
私が出来る対策は、『ホテルリブロフ』と『シェヘラザーデ』をどうにかする事で初めて進める事が出来ます。
と言う訳で、まずは『ホテルリブロフ』を所有している『ラザイエフ商会』へと向かいました。
「いらっしゃいませ」
私がラザイエフ商会に入ると、店員が挨拶をしました。
店の中では店員の他に、20代前半ぐらいの赤い髪の派手な格好をした女性と、20代後半ぐらいの茶髪で眼鏡をかけた聡明そうな男性が話をしています。
「済みません。ラザイエフ商会の社長さんはいらっしゃいますか?」
「ん?ラザイエフ商会の社長は私だよ?」
と、先ほど確認した20代前半の女性が言いました。
「えっ、あなたがですか?確か、現ラザイエフ商会の社長は『タチアナ』さんとお聞きしましたが」
「うん、そうだよ。私が、『タチアナ・ラザイエフ』」
「えっ?えっ?こんなに若いお方なのですか?」
「信じられない?」
「確認できたのは名前だけで、年齢までは確認していないので」
「彼女が言っている事は本当の事だよ」
それまで黙っていた茶髪の青年がようやく話に参加してきました。
「そうでしたか。失礼しました」
「いやぁ、別に謝らなくても良いよ。私が年齢を非公開にしているのが悪いんだから」
「何故非公開に?」
「そりゃあ、『若い女』ってだけで舐められるからね。年齢知られてると、会議とかに最初から代理を寄越す奴もいるし」
「ああ、なるほど。それは確かに」
「でしょ?って訳で、私は年齢を公開して無いの。直接会って話してもらえば、私が社長だって事は納得してもらえるだろうから」
「社長になってから、どのくらいになりますか?」
「もう5年になるかな。お父様が亡くなって、ニコライ兄さんが社長を継いだのだけれど、病気で倒れてしまって・・。それ以来は私が社長としてラザイエフ商会を支えているの」
「そうなのですか。それは大変でしたね」
私が調べた所によると、タチアナさんは以前、血を分けた実の姉兄に命を狙われていたそうです。
ですがこの事は表には公にされていないので、私も黙っている事にします。
「まあね。けど、私には経営の才能があるみたいで、何とかやって来れたんだ。ところであなたは、今日は何の用でここに来たの?」
「あ、そうでしたね。失礼しました。実は、『ホテルリブロフ』と『シェヘラザーデ』を今日一日貸していただきたいのです」
「へっ?『ホテルリブロフ』は確かにラザイエフ商会の管理物件だけど、『シェヘラザーデ』は違うよ?」
「そうなのですか?どうしても今日一日貸していただきたいのですが、何とか出来ないでしょうか?」
「何とかって言われても・・」
「タチアナ。この話の続きは私がしよう。まず君の名前と、『ホテルリブロフ』と『シェヘラザーデ』を貸してほしい理由を話してくれるかな?君はかなり真剣な目をしているから、生半可な理由じゃ無い事ぐらいは分かるけどね」
やはり言わなければなりませんね。
「私はガモリーと申します。ピドナ軍の者です」
「ピドナ軍の?」
タチアナさんと眼鏡の青年が目を合わせました。
やっぱり警戒されたのでしょうか?
「続けて」
「『ホテルリブロフ』と『シェヘラザーデ』を貸してほしい理由は、リブロフをピドナの勢力下に収めるためです。しかも、犠牲者無しでです」
「犠牲者無しでリブロフを・・?」
眼鏡の青年の目に光が宿ったように見えます。
興味を持ってくれたのでしょうか。
「一体どんな風に『ホテルリブロフ』と『シェヘラザーデ』を利用するのか分からないけど、本当にそんな事が出来るなら物凄い事だよ」
「必ずやり遂げて見せます!ですが、ピドナの勢力下になるのは嫌では無いのですか?」
「私はリブロフの人間じゃ無いからね。タチアナはどう?」
「うーん・・。私も別に良いかなぁ?リブロフ軍とはほとんど関係ないし。それに『犠牲者無し』って事は、当然リブロフの住人の犠牲者も出ないって事だよね?」
「もちろんです」
「それなら全然OKだよ」
「よし。話はまとまったね。それじゃあ本題に入ろうか。『シェヘラザーデ』は、ピドナに本社がある『トーマスカンパニー』の管理物件だよ」
「『トーマス』って、もしかして七英雄の一人であるトーマス・ベントさんですか?」
「うん。そうだよ」
「そうだったのですか!それはすごいです。あなたはトーマスさんについて何かご存じなのですか?」
「それはもちろん。私がその『トーマス』だからね」
「えっ?」
これは予想外でした。
でもラッキーです。