ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「はい。ご苦労様」
『シェヘラザーデ』の前にたどり着くと、正面からブラド氏と兵士達が現れました。
「見事に罠にかかってくれたな」
「・・果たしてそうかな?」
「ルートヴィッヒよ。これを見ても、そうやって強がっていられるのかな?」
入口の方からラザール氏と兵士達が現れました。
私達は完全に囲まれました。
「これは・・まずいですね・・」
クレティン大将が『ルーンの杖』を取り出しました。
この杖は殴るのには適しませんが、術の威力を高める事が出来ます。
「思い切り暴れてやる!」
グラフ中将が『バスターアクス』を持ちました。
攻撃力は『ブローヴァ』よりもやや劣りますが、グラフ中将はこちらの方が使いやすいとの事です。
「かかってくるが良い!」
ローファ少将が『獣人の槍』を持ちました。
これも『ブリッツランサー』よりも攻撃力がやや劣りますが、ローファ少将にとってはこちらの武器の方が使いやすいとの事です。
「やるしかない・・か」
ヴォルフ元帥が『トリプルソード』を持ちました。
これも『フランベルジュ』よりも攻撃力がやや劣りますが、特殊な技を使用する事が出来ます。
「さて・・と。どうなる・・?」
ルートヴィッヒ様が『降魔の剣』を取り出しました。
この武器だけは、私も良く分かりません。
「そちらの少女は武器を持っていないのかな?」
とバイヤール氏が尋ねてきたので、
「私の武器はこれです」
と言って、右手を挙げました。
その瞬間、『シェヘラザーデ』の2階と『ホテルリブロフ』の3~5階の窓が開き、たくさんの弓兵がこちらに向けて弓を構えています。
「な・・何ィ~!?」
「ば・・馬鹿な!!」
「ありえん!!何故、あんな所にピドナ兵が?!」
リブロフの三人組が驚きの声を上げました。
「動かないでください!動いたらその瞬間、弓兵が矢の嵐を降らせます!動かずに投降していただけたら、あなた達全員の命を保障します!」
「全員動くな!!」
バイヤール氏の声が響きました。
リブロフの兵士達は、石のように固まりました。
「ま・・まさか・・。この作戦を考えたのは、お前なのか?」
とヴラド氏が尋ねました。
「はい、そうです」
「それでさっき、『港は封鎖されているから入口に逃げよう』と言ったのだな?全く迷いが無いと思っていたが・・」
これはバイヤール氏です。
「その通りです」
「我々の動きを全て読んでいたと?」
これはラザール氏の質問です。
「はい。あなた方が『この位置』で私達を襲う所まで読んでいました」
「そうか・・。我々は最初から君の手の中で踊らされていた訳だ」
「そうですね」
「情けないな・・。どうするバイヤール?」
ラザール氏がバイヤール氏に尋ねました。
「さっき君は『私達全員の命を保障する』と言ったが、それは本当なのか?」
「はい、本当です。私は、敵味方関係なく犠牲者を一人たりとも出したくは無いのです」
「何故だ?」
「戦争で亡くなった人が一人しか出なかった場合、作戦を考えた人は称賛されるでしょう。ですが、亡くなったその一人にとっては、それが全てなのです。それで終わりなのです。その人が亡くなった事で、悲しむ人が必ずいます。私はそれが辛いのです」
「それは綺麗事だな。戦争で人が死ぬのは必然なのだ」
「綺麗事なのは分かっています。それでも私は、一人も犠牲者を出したくないのです!」
「お前はこの世の戦争全てを無くすつもりなのか?」
「それは無理です。この世界に異なる考えの人が一人でもいる限り、戦争は無くなりません」
「それではどうすると言うのだ?」
「戦争全てを無くすのは無理でも、私が介入する事で、犠牲者を無くす事は可能です!」
「今回のように・・か?」
「はい」
「だが、リブロフがピドナの支配下に入る事で、今後私達リブロフ軍は、ピドナ軍よりも死地に近い場所で戦い続ける事になる。そうなれば、今は犠牲者が出なくても、今後犠牲者が出る事になるのだぞ?」
「大丈夫です。リブロフがピドナの支配下に入っても、あなたやあなたの部下を不遇にしたりは決してしません」
「お前には出来まい。決めるのはルートヴィッヒだ」
「出来ます!この件に関しては、私がリーダーなのです。ルートヴィッヒ様も私に一任してくださっています」
バイヤール氏が少しの間、無言になりました。
「ルートヴィッヒよ。今の話は本当か?」
「ああ、本当だ。この件に関しては彼女がリーダーだ。だから私も彼女の意見に従う」
「そうか・・」
再びバイヤール氏が無言になりました。
少し手が痛くなってきました。
もう少しの辛抱です。
「ヴラド、ラザール。この件に関しての判断は、私に任せてもらって良いか?」
「ああ」
「もちろんだ」
「ありがとう。では、君の名前を教えてもらえるかな?」
「ガモリーと申します」
「ガモリー殿。リブロフはピドナの支配下に入ります。そしてあなたに、私と私の部下の命を預けます。一人の命も無駄にしないよう、どうかよろしくお願いします」
「あ・・ありがとうございます!!」
私はゆっくりと右手を下ろしました。
他の皆さんも同時に武器をしまいました。
自分と彼らを信じて本当に良かったです。