ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
コツコツと、窓を叩く音が聞こえた。
どうやら、ロボ鷹が来たようだ。
「ご苦労さん」
俺は窓を開けた。
日差しが眩しい。
そろそろ昼食の時間だ。
ロボ鷹が部屋に入ってくると、ロボ鷹は何となく嬉しそうに見えた。
ロボだから感情なんて無いのだが。
名前もまだ無い。
ロボを名前で呼ぶ必要性があるかどうか。
これが分からない。
「さてと、今回の内容は・・」
俺はロボ鷹の足から手紙を取って読んだ。
拝啓 リーケル様
以下略
ルネ
そんな事になっていたのか。
確かに、最近城の様子がおかしかった。
兵士がやけにアタフタしていたし、父上も何だか上の空って感じだった。
まさか本当にファルス軍の誰かが・・?
今思うと、そう思っても不思議では無い感じだったが、最近誰かがファルス軍を抜けたと言う話は聞かない。
おまけに、誰かがエンブレムを無くしたと言う話も聞かない。
よって、これはファルス軍の仕業では無いと言う事になる。
エンブレムは偽物か、はたまた昔に死んだファルス兵から奪い取った物なのだろう。
何故奪ったか?
7年前と同じようにファルスとスタンレーが戦争するように仕向けるためだ。
7年前のはピドナのルートヴィッヒの仕業だと分かった。
今回もそうなのか?
前回とやってる事が同じだからだ。
前回と違うのは、ターゲットがファルスからスタンレーに変わった事だけだ。
普通の奴なら、『ルートヴィッヒほどの奴が、同じ作戦を使うとは考えにくい』と考える。
俺もそうだ。
この作戦を実行させたのはルートヴィッヒじゃない。
俺は、『この作戦は、ピドナ軍の誰かが考えた物だ』と考える。
何故そう考えるのか?
ただのカンさ。
けど、俺のカンを侮ってはいけない。
この事は今知ったばかりだから、情報が圧倒的に不足しているだけだ。
情報さえ得られれば、すぐにこの根拠を言ってやる。
問題は、情報をある程度得ている父上がどう考えているのか。
父上は俺と同じ考えなのだろうか・・?
まもなく昼食だ。
まずはそこで父上から話を聞いてみる事にしよう。
俺はまだ子ども扱いされてるから、望み薄ではあるけどな。
「リーケル様、昼食の準備が整いました」
「分かった」
メイドが俺を呼びに来た。
「今日こそ一緒に食べない?」
「いいえ。遠慮しておきます」
「ははは・・。残念」
この若くて美人なメイドもそうだが、俺は女性をナンパしても一度たりとも成功した事が無い。
父上に附いて俺がスタンレーに行ったり、ルネが父親と共にファルスに来た時に、父親同士の話が終わるまで遊んでいたんだが、その時に何度かナンパした結果、ルネが一緒にいた場合はナンパ成功率100%だった。
と言っても、その女性達は全員ルネ狙いだったのだが。
ああ切ない・・。
本当なら、今頃は好きな女性とロボ鷹を使って文通を楽しんでいた頃だったのに・・。
俺に、ルネのカッコよさの十分の一でもあれば・・。
食事は父上と二人で摂っている。
母上は俺が幼い頃に亡くなったから、ほとんど記憶は残っていない。
ルネも同じだ。
だから、ルネと馬が合ったのかも知れない。
「父上」
「何だ?」
「昨日部下と共に外出した時に、妙な噂を聞いたのですが」
俺は部下と一緒なら外出する事を許可されている。
ルネも元々はそうだったのだが、何年か前に部下を撒いてどこかに一人で行って以来、色々な条件がついてしまい、全然外出出来なくなったとの事だ。
これは文通によって得た情報だ。
ちなみに、ルネと文通している事は秘密にしている。
だから、『昨日部下と共に外出した時に聞いた』ことにしているんだ。
「ほう?どんな噂だ?」
「何でも、ランスからスタンレーへの積荷が襲われたらしいですが、積荷を襲った奴らが、『ファルス軍のエンブレム』を身に着けていたとか・・」
この話を聞くと、一瞬だけ父上の目の色が変わった。
が、すぐに元に戻った。
流石は一国の主と言った所か。
簡単には感情を表に出さない。
「そんな噂をする奴が街中にいるとはな。嘆かわしい事だ」
「では、こんな話は無いと?」
「あるはずが無い。何故ファルスがスタンレーを弱体化させるような行動をする必要がある?そんな事をしなくとも、スタンレーなぞファルスの敵では無い」
「その、『敵では無い』国に負けたのはどこの国でしたっけ?」
「ぐっ・・」
父上は返答に窮した。
無理もない。
今もそうだが、ファルス軍は兵力4000、スタンレー軍は2500。
これでどうやって負けると言うんだ?
まあ、どうやら『謎の人物』が暗躍していたみたいだが・・。
その『謎の人物』がスタンレーの傭兵に志願した結果、スタンレーが勝利する事になった。
これも、ルネから聞いた事だ。
「まあ良いですよ。私も本当の事を話してもらえるとは思ってませんから。ですが、これだけは言っておきます」
「何だ?」
「この事が原因でスタンレーと戦争でもしよう物なら、それは『どこかの誰かさん』の思うつぼです。ですから、スタンレーの王と良く話をしておいてください」
「だから、そんな話は無いと言っているだろう」
「分かりました」
(さて・・)
(これで少しは状況が好転するか?)
この話はここで終わり、黙々と昼食を摂る事になった。