ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「言い忘れていたが、オレの本当の名は『ハリード』だ」
「ハリード!?」
「ハリード!?」
二人は同時に叫んだ。
「じゃあな二人とも!この世界は任せたぜ!!」
ハリードは素早く部屋から去って行った。
何も訊かないでくれ・・と、背中で語っているようだった。
二人はハリードがいなくなった扉をしばらくの間呆然と見ていたが、やがてルネが言葉を発した。
「ハリード・・。七英雄の一人・・。ハリード」
「カムシーンのハリード・・。そうか・・。あの腰に差していたもう一本の刀がカムシーン・・。光輝いていた刀が、カムシーン・・」
リーケルは刀の事について触れようとした時の事を思い出していた。
ハリードは『斬れない』とか『お守り』とか言っていたが、とてもそうは見えなかった。
刀全体がまばゆい光を放っていたからだ。
何故ハリードはカムシーンを使わなかったのか?
結局、その理由は分からなかった。
次の日・・。
「なあルネ・・。昨日眠れたか?」
「眠れる訳ね~だろ・・。興奮してさぁ・・。オレ達、七英雄の一人と旅をしたんだぜ?おまけにアドバイスまでもらったんだからな」
「それだけじゃない。俺達は七英雄の一人に力を認めてもらったんだ。まるで夢でも見てるみたいだったよ」
「そうだな。もしかしたら、全部夢だったのかもな」
「・・試してみるか?」
「・・良いだろう」
二人はお互いのほっぺたを掴んだ。
「よっしゃ!じゃあ行くぞ!」
「おう!!」
「いででででで!!」
「あだだだだだ!!」
そして、同時にほっぺたを引っ張った。
間違いなく痛いと確認してお互い手を離した。
「夢じゃないな」
「ああ」
「そもそも、強くなった感じが残ってるからな」
「閃いた技も憶えてるしな」
「と言う事は、先生も現実の存在だったか」
「まあそうだな」
「なあルネ、俺思うんだけどさ」
「何だ?」
「聖王廟って聖王が造ったんだよな?」
「まあ、試練は聖王が残した物だってハリードさんが言ってたからな。聖王廟も聖王が造ったと考えて良いんじゃないか?」
「聖王が造った建物の中で唯一残ってる存在・・て言うと、やっぱり聖王なんじゃ無いかって俺は思うんだよな」
「そうだな。その意見にはオレも賛成だ。・・えっ?じゃあまさか・・」
「もちろん、先生が聖王そのものとは言わない。だけど、聖王の魂とか、そうした物が先生に宿っているのだとしたら?それだったら、他の存在は全て消えたのに、先生だけ残っている事の辻褄も合うと思うんだ」
「じゃあ聖王は、この世界に危機が迫っている事を知っているから成仏(?)しないで残ってくれている訳だな?」
「そうだ。そして、世界を救う存在として俺達を選んで修行をしてくれた」
「ちょっと待てよ!オレ達が先生に修行してもらえたのは、トルネ・・ハリードさんのおかげだろ?ハリードさんがオレ達を先生の元に連れて行ってくれたから・・」
「けど、先生が俺達を認めてくれなかったかも知れないだろ?認めてくれたからこそ修行してくれたんだ」
「それはそうだが・・」
「全ては偶然・・と言いたいのか?」
「そこまでは言わないが・・」
「なあルネ。俺はこの世に『偶然』なんて物は存在していないと考えているんだ」
「じゃあ何か?オレ達がハリードさんと出会ったのも、先生と修行できたのも、全て俺達の運命だったと言いたいのか?」
「ああ」
「そして、オレ達が世界を救う存在だって事も運命って事か・・?」
「そうだ」
「『運命』はお前が最も嫌っている言葉じゃ無いのか?だって、今までの事が全て運命だって言うなら、お前が女に振られまくったのも運命って事になるぜ?」
「がーーーーーーん!!!!そうだった・・」
「さっきの言葉を訂正するか?」
「いや!しない!!今まで俺を振ってきたのは、俺の運命の相手じゃ無かったからだ!それだけだ!うん」
「な・・何てポジティブシンキングなんだ・・。そこはマジで尊敬するぜ・・」
「へ・・へへへ・・」
「な・・何だよ急に・・。気持ち悪りいな・・。ついに壊れたのか?」
「いやさ・・。この世界には何億もの人がいるんだぞ?なのに、その中で、『俺達二人』が七英雄の一人や聖王らしき人(?)に選ばれたんだ。すごい事だと思わないか?」
「そりゃあな。すごすぎるさ。自分で自分が信じられないくらいさ。今でも夢だったんじゃ無いかって疑ってるぐらいだ。けど現実なんだ」
「夢だった方が良かったか?」
「まさか!だが、『夢だった方が良かった』と思う日が、いつか来るかも知れねえな」
「そうだな。周囲の期待に押しつぶされるかも知れないからな。けど・・」
「ん?」
「そうならないように、これから頑張って行こうぜ!」
「ああ!そうだな」
二人は握手をした。
「それじゃあそろそろ行くとするか」
「よっしゃ!ツヴァイクへ向けて、まずはユーステルムへGOだ!!」
こうして二人は、ツヴァイクへと出発した・・。