ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
なのに・・。
アタシだけが無事だった!
あの時、外出していたアタシだけが!!
何故なら、アタシは母に『買い物に行け』と言われたからだ。
『たまには夫婦水入らずでいたいじゃない?』と言われたら、誰だってそうするでしょ?
アタシも親孝行だと思ってそうしたのに・・。
戻ったら、町は火の海だった。
一体誰がこんな事を・・?
人間がやった事だとは到底思えない。
それほど火の勢いが強かったからだ。
アタシが買い物をして戻って来るまで1時間もかかっていない。
なのに、町は完全に消失していた。
まさか、モンスターの仕業?
確かに、ニシコは自治領土でモンスターを排除する結界も無かった。
けど、モンスターは全ていなくなったはずだ。
結局、今も犯人は分かっていない。
アタシは皆を呼んだ。
力の限り皆を呼び続けた。
でも、誰も答えてはくれなかった。
遺体さえ、一人も見つからなかった。
全て燃えつくしたのか、あるいは持っていかれたのか・・。
アタシはそれ以来、火が大嫌いになった。
火なんて見るのも嫌だ。
いずれにしろ、アタシは全てを失った。
その後、アタシはグレートアーチの町長をやっているじいやを頼った。
母方の父だ。
幸い、グレートアーチはそう遠くは無かったし、ニシコから徒歩で行ける場所にあった。
グレートアーチに着くと、じいやは何も言わずにアタシを受け入れてくれた。
じいやも母が『秘女』である事は知っていたので、もしかしたら母に何か聞いていたのかも知れない。
母には未来が見えるからだ。
でも、そうなると疑問も出てくる。
未来を知っているのなら、何故自分は逃げなかったのか?
何故、他の人達は逃がさなかったのか?
もう一度母に会えるのなら、訊いてみたい。
「アタシはもう、大切な人を失いたくない!じいや達も守りたいし、この町の人達だって守りたいんだ」
色々あったけど、アタシはニシコの皆が大好きだった。
そして、突然やって来たアタシを暖かく迎え入れてくれた、グレートアーチの人達も好きだ。
だから、今度こそ守りたいんだ。
「・・そこまで仰るのであれば、あなたの意志を尊重しましょう。それでは『秘女の儀』の説明をいたします」
「ありがとうじい。よろしく」
「これから姫には5つの洞窟へ、グレートアーチの北の洞窟から順に向かって頂きます。その内の4つの洞窟には、最後の洞窟に入るための鍵の一部分があります」
「つまり、4つの鍵を手に入れなければ、最後の洞窟には入れないって事だね?」
「その通りです。元々はニシコの5つの祭壇で行っていたのですが、今は全て無くなってますので・・」
「それは良いから、説明の続きを」
「失礼しました。各洞窟には、私が用意した式神がおります。それを倒す事で、式神が鍵の一部に変化するのです」
「式神・・って、じいやは『陰陽師』なの?!」
「いえいえ。少しばかり陰陽道をかじっている程度です。ですので、式神の力も大した事はありません。しかしながら、姫を鍛えると言う意味では十分な力を持っているでしょう」
「そうなんだ」
「そして、最後の洞窟にいる式神を倒す事で、秘女の資格を受け継ぐアイテムが手に入ります」
「儀式自体は単純なんだね」
「あまり複雑にしてもいけませんからな。ですが、秘女の資格を受け継ぐアイテムに触れると、姫は激痛に襲われるでしょう。ご注意ください」
「それが秘女の力を受け継ぐって事だもんね。大丈夫。覚悟は出来てるよ」
「よろしい。それでは早速出発・・と言いたい所ですが、そろそろやって来る頃でしょう」
「えっ?」
「おっ。やって来ましたな」
じいやが見た方向を見ると、若い女性が二人、男性が一人、こちらにやって来るのが見えた。