ロマンシングサガ3-2 REVIVE OF THE SIX 作:日加利有亮
「それはあなたが使って。そうしないと戦えないでしょう?もうあたしが教えられる技は全部教えたし」
「えっ?でもそれじゃあエレンさんだって戦えないんじゃ・・」
「今まで恥ずかしかったから言わなかったけど、実はね、あたしが一番得意な武器は『これ』なんだよ」
そう言って、右手のこぶしを前に押し出した。
「体術・・ですか?」
「その通り」
「えええええ!!!???」
なんて驚いてるけど、実はさっきの洞窟で、エレンさんの心の中で『体術』を強くイメージしていたから、心が読めたので知っていたのだ。
この能力って、ある意味反則だよね・・。
まあ、だからこそ色々な人に気持ち悪がられた訳だけど。
「やっぱり驚く?」
「ええ!だって、エレンさんみたいな美人が体術を好むのって予想外で・・」
これは本音だ。
「あはは!お世辞が得意だね」
「お世辞なんかじゃありませんよ。でも、別に恥ずかしがる必要なんて無いと思います」
「どうして?」
「エレンさんが体術が得意なのには、色々理由があった訳ですよね?自分を強くしないと出来ない事もたくさんあるので」
それは、サラさんを守る事だ。
「そう!そう!そうなのよ!!」
エレンさんは嬉しそうに答えた。
「やっぱりネビユは話が分かるね。本当に助かるよ」
「そうですか?むしろ今まではずっと気持ち悪がられてましたけど」
「気持ち悪がられる?それはそいつらの見る目が無いんだよ。あたしは実際、あなたの能力に助けられたし」
「僕もさ」
セイマさんもエレンさんと同じ気持ちだったみたい。
「あれ?セイマだけじゃなくてお姉ちゃんも?じゃあ、私もネビユと話してみたいなぁ。良い?お姉ちゃん」
どうやらサラさんは、セイマさんからアタシの事を聞いていたようだ。
「良いわよ。さっきも言ったけど、ネビユにはあたしの技を全て伝授したから。使ってないのは後一つだけね。まあ、技のレベルがちょっと違うから簡単には使えないだろうけど」
「やったぁ!」
「って、ネビユ本人からまだ許可得て無いじゃない」
「あっ!そうだった」
「もちろんOKですよ、サラさん」
「ありがとう、ネビユ」
「よし。それじゃあ次の洞窟に向かおうか」
セイマさんに言われて、アタシ達は洞窟を出る事にした。
「それで、お話と言うのは・・?」
サラさんに尋ねた。
今度は、エレンさんとセイマさんが少し前を歩いている。
エレンさんとサラさん、サラさんとセイマさんのペアは分かるけど、この二人はどんな話をするのか想像がつかない。
まあ、サラさんとセイマさんが結婚すれば、エレンさんはセイマさんの義姉になる訳だから、いくらでも話す事はあるか。
「セイマを救ってくれてありがとう」
サラさんがそう言ってぺこりと頭を下げた。
「いえ・・そんな!別にアタシは思った通りの事を言っただけで・・」
「それが重要なのよ。特にセイマにはね」
「はあ・・」
「今まで、セイマの事を理解できる人は私しかいなかった。いいえ。私だって、完全にセイマの事を理解できた訳じゃ無かった。けど、あなたは違った。あなたはセイマに必要なアドバイスをしてくれた。彼、すごく感謝してたよ?あんなに嬉しそうなセイマを見たのは初めてだった」
「そうでしたか。それなら良かったです」
「ふふ・・。謙遜するんだね。あんまり見ないタイプかな。普通はその能力を見せびらかしそうな物だけれど」
「そんな事しません。あまり良い思い出も無いですから」
「そっか。じゃあ、むしろそれが良かったのかもね。まあ、特殊な能力を持ってて良い思い出が無いって言うのは、私も同じだけど」
「セイマさんは生まれてすぐにモンスターに連れ去られたりしたそうですが、サラさんはどうだったのですか?」
「私はモンスターに連れ去られた記憶は無いなぁ。お母さんに拾われて育てられた訳だけど、それまでの記憶も一切無いから、どんな人が本当の両親なのかとか全然分からないし、お母さんも私の過去の事は一度も言わなかった。それに、お姉ちゃんも他の皆も普通に私と接してくれてたから、私が特別な存在だなんてこれっぽっちも思わなかった」
「自分が『宿命の子』って分かって、どう思いましたか?」
サラさんの表情が曇った。
まあ、宿命の子で良かったなんて思う人は一人もいないだろうな。