【書籍化】男女比が壊れた世界でギスギスする話(書籍タイトル:恋奪の教室) 作:月島しいる
六月上旬。
日本列島全域に、強い雨が降っていた。
「今日は
「そ、そうか」
扉を開けて出迎えた
「どうぞ」
「あ、ああ」
中に入ると、奥のリビングから監視するように見つめている
頭を下げ、いつも通り手前の寝室に向かう。
「
腰を下ろすと同時に、
タオルから
「所属している
半分、嘘だった。
こうして二人きりの時間を作りたいが為、いつも走って一本早い電車に乗っていた。
「そ、そろそろ特別プログラムの時期だな」
「そうだね。結局、何をやるんだろう」
「地区担当官がどこの出身かで内容が左右されるらしい。元軍人なら、軍事系のプログラムになる事が多い」
「そうなると、
屈託のない笑みを向けられ、
「わ、私は剣を修めているだけだ。軍事全般に明るいわけではない」
「そうなの?」
「そうなると、頼りになるのは
「そういえば
「ああ……
言いながら、タオルで髪を拭う。
もう拭う必要もなかったが、なんだか手持ち無沙汰だった。
「そっか。じゃあ
「もちろんある」
「夏休みに行く事になってるんだけど、どんなところなの?」
「昔ながらの大きい屋敷だ。大きさには少し驚くかもしれない。ご当主様は厳しい方だが、
夏休みには、
泊まりで何かを期待している自分が恥ずかしくなり、
そこで、チャイムが鳴った。
「あ、誰かきた。ちょっと出てくるね」
「ああ」
残された
足音が聞こえ、慌ててタオルを離す。
「こんばんは」
入ってきたのは
「お茶もってくるね」
「ああ、すまない」
そのまま
玄関で貰ったのだろうタオルで髪を拭いながら、
「……」
気まずい沈黙が落ちた。
所属しているグループも異なる事から、学校でも話す機会はない。
それに何となく、
既にコロニー入りしている
「雨ばかりで嫌になるな」
「うん……」
やはり、会話は長く続かなかった。
無言のまま、
「おまたせ」
三人分のコップを持った
それでようやく、張りつめていた空気が解けた。
「ありがとう」
肩を並べ、そのまま体重を預けるように密着する。
「……」
「時間がもったいない。先に始めるとしよう」
「うん、そうだね」
しかし、
「
「ううん。
「……」
そこでまた、チャイムが鳴る。
「出てくるね」
渋々といった様子で
「
また、沈黙が落ちた。
(このグループ、意外と仲良くないんだな)
美弥が見る限り、
お互い、口数が少ないタイプなのもあるのだろう。
(もしも今回の試験で
勉強はできないし、体育祭でも大した活躍はしなかった。
元は北海道の名家らしいが、没落していて家格も高いとは言えない。
しかし、グループにとっては欠かせない存在となっている。
「……」
そう考えた時、
「はい、どうぞ」
お茶菓子がテーブルに並べられる。
その時、再びチャイムが鳴った。
部屋の中はやはり、沈黙が続いた。
◇◆◇
「そういえば、六月の遺伝子提供の補助は決められましたか?」
勉強会の休憩中、
「えっと……」
「試験結果が出てからにしようと思ってるんだけど……」
「なるほど。公平性を期すには一番かもしれません」
確かに、公平性の面で見れば、正しい選択だった。
お手付きをされた者は、順位に関係なくトレードの候補から外れる。
ルールが発表された後にお手付きをすれば、不和が生じる。
(しかし……
補欠合格だったことを明かしている
現状、トレード候補としては最も危うい立場にある。
近しいグループにいる
「公平性って言っても、男子がする事に異議を唱える者はいないと思うが」
「だから
「うん……でも、出ていきたい人もいるかもしれないから」
ああ、と納得する。
以前、
クラスから出ていきたい女子が一人もいなかった事も、まだ知らない。
現状、Kクラスから"自主的に"出ていく予定は
そして試験の下位5人が、自主的な選択なのか実力なのか、
「
今後、コロニーには
その時、間を取り持つ人物が必要で、
「
「だが、その前に特別プログラムも頑張らなければな」
党員適正を測る特別プログラム。
例年とは異なり、まだ詳細が明かされていない。
それが、間近に迫っていた。