「きょ、今日はよろしくお願いしますっ!」
集合場所である白雪学園の校門前には、
いずれも今まであまり関わり合いがない少女たちだった。
「ほお……
興味深そうに口を開いたのは、
今日の
「学校外で会うの初めてだもんね。皆の私服もなんだか新鮮だよ」
そう言って、
とくに、たっぷりのフリルがついた黒いドレスを着ている
「これ、ゴスロリっていうの。どう? かわいい?」
そう言って一回転する
「うん、
それぞれが精一杯のお洒落をしているのが見るだけでわかった。
普段はメガネをかけている
「
次に、
心配になるほどの色白の肌に細い手足を持つ彼女は、一学期の間に何度も体調不良で欠席している。
「大丈夫です。今日はとても調子がよくて」
おっとりとした声で微笑む
「せっかくのハイキングですものね。途中でリタイアしないように、少し練習もしてきました」
今日の行先は、とある廃線跡だった。
川沿いに続く廃線を党が観光用に整備した場所で、途中には長いトンネルもあって景色に飽きづらく、初心者用のゆるいハイキングコースとして有名な場所でもある。
「ボクもあまり体力ないから、一緒にがんばろうね」
「はいっ」
五人の少女が明るく声を返す。
彼女たちのリーダーである
しかし、
「それで、席分けはどうしましょうか」
今日の
「じゃんけん?」
ほのかと
「そうですな。ここは一発、恨みっこなしでお願いしますぞ」
「まあ。とても緊張します」
異論もなく、五人の少女がじゃんけんを始める。
結果、
「おかしいですぞ……統計的には初手でグーを出す人が多く、パーを出せば勝てるはずだったのに……」
「データに頼ること自体が負けフラグだから……」
ぶつぶつ言いながら負けたほのか、
「ぶい」
「酔い止め、みんな大丈夫? 一応、全員分持ってきてるよ」
「おお、さすが
ミニバンが動き出してすぐに、
「
「医者と家族、補佐官以外の第三者が男性に薬の類を渡すことは禁止されています。ご注意ください」
運転席から
「ごめんね。受け取っちゃダメらしくて」
「あ……防犯的にそうに決まってますよね。ごめんなさい」
しゅん、と落ち込んでしまった
「
「そうですぞ。しっかり者でいつも助けられているところですな」
「私が体調悪いと、いつもすぐに
ほのかと
どうやら、グループ内で信頼されているようだった。
「前のテストもすごかった。私なんかほぼ最下位だったのに」
「まったく……トレードまで本当に紙一重だったんですからね」
「そんなに危なかったの?」
「正直、テストはあまりやる気なかった。
「ちょっと、
あっけらかんと白状する
しかし、
「約束通り、こうやって一緒に出掛けてくれるのはびっくりした。私もチャンスあるの?」
「えっと、そうだね。時間はかかるかもしれないけど、全員のこと知りたいと思ってるよ」
「全員? クラス全員ってこと?」
「うん、そうだね。今はちょっとずつだけど」
その時、慌てた様子で
「ごめんなさい!
「
おもわず、小学生時代の友人を思い出す。
中学時代の不登校を経て、疎遠になってしまった友人たち。
いつか連絡をとりたいと思っていたが、長い空白期間のせいで今はまだ勇気がでなかった。
「
視界の端で、
「ううん。そもそも、どの家が有名とかあまり詳しくないかも」
「じゃあ、ここの全員もチャンスある?」
「うん、お友達になりたいと思ってるよ」
「らしいよ。みんな、良かったね」
「……
諦めたようにほのかが溜め息をついた。
◇◆◇
「いきなり連絡がきて驚いたわ」
ファミレスの一角。
「それで。話って何なのよ」
「もちろん、
「まさか、嫌なニュースじゃないでしょうね。思想最適化が決まったとか?」
「安心して。良いニュースだから」
椿は手元のソフトドリンクをストローで混ぜながら、意味深に微笑んだ。
「私の通ってる
「……」
「いまは普通に学校に通えるようになったみたい。話を聞いている限り、思想最適化を受けた形跡もない」
「……」
「
沈黙が落ちた。
「……
「あら、どうしてかしら。私たち、
「私たちのせいで中学時代のトラウマを思い出すかもしれないじゃない。私は、
好きな男のために距離を取ろうとする彼女の想いは本物だった。
そして、こういう女を
「大丈夫よ。
「少し考えさせて。というか、文化祭まで待つなんて意外ね。あんただったら家まで押しかけそうだけど」
「私、あの補佐官に嫌われてるの。たぶん、取り次いで貰えないと思う。アポなしで男の子の家に近づくのって十分な排除理由になるし」
「
「さあ。どうしてかしらね。ところで、
「もちろん暗記してるわよ」
画面には、
「
「……」
「あまり悩んでる暇はないんじゃないかしら」
打ちのめされたようにスマホを掴む友人の姿を見て、
そして、そっと手を握る。
「ね? 私たちの
「……」
「私たち三人は、永遠の親友だもの。
「……」
「だから、二人で迎えにいきましょう」
「……」
なおも首を縦に振らない友人に、
「
「……そうね。あいつ、危なっかしいところあるし。私が近くで見ててあげないと……」
「そう、決断してくれてとても嬉しいわ」
文化祭に向けた計画は順調だった。
一人で会いにいくより、こうして小学校時代の友人も誘ったほうが
「私たち、
壊れた日常を、奪われた日常をかならず取り戻してみせる。