「
「うう……ちょっと痛いけど……効いてる気がする」
「普段からもっと運動しないとダメだね……」
「半年前まで入院していたのですから、仕方ありません」
うつ伏せになった
「
「独学で勉強いたしました。リハビリに役立てばいいと思いまして」
目を瞑りながら、
その時、スマホから通知音が聞こえた。
「ん」
スマホに手を伸ばすと、
『おうち、遊びに行ってもいいですか? もしも忙しかったら返事しなくて大丈夫です』
すぐに返信を打ち込む。
『ちょうど暇だったから大丈夫だよ』
『じゃあ向かいます!』
スマホを枕の横に置くと、
「どなたからですか?」
「
「……」
指圧がとまった。
「
首元に、熱い吐息がかかる。
同時に上から覆いかぶさるように抱きしめられた。
珍しく、甘えるような動作だった。
「
問いかけると、抱きしめる力が強くなった。
「しばらくこうすることをお許しください」
「……うん」
うつ伏せになったまま、もぞもぞと動く
マッサージを受けていたせいで、少し眠気があった。
「……
「いえ、コロニーの拡大は立派なお役目です」
ただ、と
「たまに怒りが抑えきれないことがあります」
「怒り?」
予想していない言葉だった。
「私は白雪の出身です。そして補佐官という仕事を通して、平均的な女よりも男性について詳しいつもりです」
「うん」
「ですから、
「奉仕活動の義務をちゃんと守ってこなかったし、それはボクが悪いだけだよ」
立場のせいか、
「クラス分けについては、制度の問題と割り切ることもできます。しかしクラスの女子について、あまりよく思っていないのも事実です」
「どうして?」
「
「うーん……人を理解するのには時間がかかるから仕方ないと思うし、そもそも
「買い被りなどではありません。
「そうなれたらいいんだけど……」
上に覆いかぶさっていた
「
クラスメイトについて
前から気になっていたことについて、少し踏み込むことにする。
「
「真面目な女だと思います。しかし、首席クラスを目指す上では役に立ちません」
「Aクラスを目指そうとは思ってるけど、そこを中心に人間関係を考えるのはよくないと思う。だから、
「……承知しました」
コロニー内の人間関係は、デリケートな問題である。
女性同士の関係性に、瑞樹自身がどれだけ関与するべきかもまだ未知数だった。
手探りで、これ以上の干渉は今のところ不要だと判断する。
その時、ドアチャイムが鳴った。
「あ、
ベッドから起き上がり、玄関に向かう。
ドアを開けると、私服姿の
「い、いきなりごめんね。迷惑かなって思ったんだけど……会いたくなっちゃって」
「ちょうど暇してたところだから大丈夫だよ。あがって」
お茶を用意しようとするが、
「どうしよう。せっかくだし、二人でどこか行く?」
「えっと……お部屋で映画を見たりとか……したいかも」
ちょうど、
「どうぞ」
抑揚のない声で、
「……ありがとうございます」
「じゃあ、これ食べたらボクの部屋に行こうか」
「う、うん!」
「
「そ、そうなんだ。ホラーは好きなほうだよ」
随分と大きく膨らんだリュックを見て、
「夜までいっぱい見ようね」
待ちきれないように、
◇◆◇
『いま、
「
リビングに一人残されてしばらくしてから、
通話相手は
『それは本当に映画を鑑賞されているだけでしょうか?』
「……」
冷たい声に、思わず黙り込む。
『いえ、本題から逸れました。縁巡りのことですね」
「はい」
『交流先は
『奇妙なことに、北方軍の
「以前に一度、党のパーティーで
『十八家の人間がさらにコロニー入りするなら、
そこで、少し
『ところで、
「はい」
『
「見つけ次第、すぐに」
『では、また』
通話が切れる。
いつも通りの短い報告だった。
客人用のフレーバーティーを準備しながら、久しぶりだな、と思う。
それが中学生の不登校をきっかけに途切れてしまい、こうして客人のもてなしをすることはなくなってしまった。
再び昔のように友人が遊びにくるようになったのは、きっと
そう考えながら準備を終え、
「
ノックとともに声をかけると、部屋の中から慌ただしい物音がした。
「……」