「ほらほら! 山っす! 川っす! すごいっす!」
真っ先に車から降りた
駐車場のすぐ傍に、川が流れていた。
「わあ、遠くのドームみたいなのが泊まるところ?」
「とりあえず荷物置きに行こうよ」
「ああ、まずは受付に行かないとな」
駐車場から小さな橋を渡って、白いドームテントが並んでいる宿泊エリアに向かう。
手前にひとつだけログハウスがあり、それが管理棟のようだった。
「ここだな」
「はぁ。クーラーが涼しいっす」
「受付してくるから待ってろ」
中は売店も兼ねているようで、様々な商品が並んでいる。
「へえ。マシュマロとかあるよ。焚火で焼けるんじゃない?」
「ドリンクサーバーもあるっす。飲み放題っすよ」
「思ったより快適そうじゃん」
小奇麗なログハウスに、女子たちがはしゃぐ。
「花火! 花火ありますよ!
中を見て回ってる間に、受付を終えた
手にはカードキーが二つ。
「二つ借りてきた。こっち、
「テントなのにカードキーなんだね」
受け取ったカードをしげしげと眺める。
ホテルでよく使われるようなカードキーだった。
「これなら夜も安心だろ? よし、とりあえず見に行くか」
管理棟を出て、カードキーに記された番号のサイトを探す。
辺りの原っぱにはハンモックが並んでいて、他の宿泊者がくつろいでいた。
「
「じゃあ、荷物置いてちょっと休んだらそっち行くね」
「おう」
ウッドデッキにそれぞれ扉があり、二重構造になっているようだった。
カードキーをかざして中に入ると、バーベキュー用のスペースとお風呂やトイレらしき小さな小屋、そしてドームテントが並んでいる。
「セキュリティは問題なさそうですね」
珍しく、少し浮かれた声色だった。
ドームテントに入ると、中は思ったより広かった。
シングルベッドが二つ並び、空調もよく効いている。
「テントっていうから、もっと狭いのかと思ってたよ」
荷物を中央のテーブルに置いて、ベッドに腰掛ける。
それから、
「玲さん、運転で疲れてない?」
「いえ、私は……」
「少しだけ横になろうよ」
休む気がなさそうな
言葉とは反対に抵抗する様子もなく、
「……
「うん。こういうの、意外となかったよね」
ふわふわの柔らかいベッドが心地いい。
「五分くらい休もっか」
「……はい」
いつもに比べてしおらしい
「
「いえ……昨夜は少し、寂しかったもので」
「二人だけのテントをいただけて、少し安心しています」
「……ごめんね」
「
それから、沈黙が落ちた。
空調の音が静かに響き渡る。
とんとんと
◇◆◇
「とりあえず川で泳ぎたいっす!」
「あそこ、泳げるほどの深さじゃないぞ」
「ええ!? せっかく水着持ってきたのに……」
「結構いいところじゃん。高かったんじゃないの?」
「ま、それなりだな」
はぐらかす
今回の旅費はすべて、
「そういえばお金、本当に払わなくても大丈夫なんですか?」
「いいの、いいの。
申し訳なさそうに言う
「金のことはいいから、もしもコロニー入りできたらちゃんと手引きしろよ」
「もちろんっす。全員入れてあげるんで、どーんと任せるっすよ」
自信満々に言う
「……まあ、期待しておくよ」
「っす!」
それまで黙ってスマホを見ていた
「で、どうする? 軽く散策でもする?」
「そうだな。管理棟にソフトクリーム機があったからさ、食いながら川沿いでも歩こうぜ」
「いいっすね。夏って感じっす」
休憩を早々に切り上げ、
ちょうど、隣から
「
「近くで売ってるの?」
「うん、さっきの管理棟にあったらしいよ」
管理棟で全員のソフトクリームを買うと、一行はすぐそばの川に向かった。
川遊びしている他の宿泊者がいたため、人がいない上流を目指すことにする。
川沿いを歩きながら、
前を歩く
それから、
六人グループのため、自然と三人ずつ前と後ろで分かれて歩くことになった。
「
後列を歩く蓮に
「……何を話したらいいかわかんねえ」
「らしくないなぁ」
「お前も全然行けてないだろ」
「
じりじりと虫の鳴き声が響く。
「脈、あると思う?」
「さあ、分かんねえ」
まだそれほど歩いていないのに、だらだらと汗が流れていく。
隣で黙々とソフトクリームを食べていた
「あ……食べ終わっちゃったっす」
「丁度いいな。この辺りで涼もうぜ」
「
「キモ……」
それから丁度いい岩を見つけ、
「ひゃ、冷たぁい」
「どれどれ……思ったより冷たいな」
少し離れたところで、裸足になった
「……
ぽつりと
川に入った
「あんなの見せていいのかよ」
「眼福じゃん。ありがたく見させてもらおうよ」
少なくとも、咎めるような動きは見られない。
「……なあ、Bクラスのこと知ってるか」
「何が」
突然声を落とした
「Bクラスにトレードされたやつがいただろ」
「ああ、下位の?」
学期末試験では、上位五名が定員を無視して好きなクラスに移動できるトレード制が導入された。
その結果、
「トレードされたのは
「どうでもいいやつの名前とか覚えてないけど。それがどうしたの?」
「そいつ、Bクラスの男子にお手付きされたらしい」
予想してなかった言葉に、
「……ふーん。Kクラスの中でも更に落ちこぼれだったのにぃ?」
「どう思う?」
少し離れたところでは、
川のせせらぎ音も相まって、ひどく平和な光景だった。
「どうって、どういう意味ぃ?」
それが答えのつもりだった。
「別に私たちが移動しようって話じゃない。ただ、これで馬鹿が釣られるかもしれないって話だ」
「ああ……Bクラス狙いの馬鹿が出てくるかもね」
「じゃあその情報、広げておこっか」
「ああ、そうしてくれ」
「ま、難しい話はそれくらいにしてさぁ。あとは遊ぼうよ。ほら」
「てめっ」
頭からずぶ濡れになった
その時、
「うわ、なにそのえぐい下着。やっばぁ」
「おま……くそ」
「冷静なフリして、ヤる気満々じゃん。それなら、もっとグイグイいきなよ」
「……覚えとけよ」
睨みつけてくる
「丁度いいじゃん。お手本、見せてあげよっか」
「はあ?」
困惑した様子の
それから、
「
「えっと、
振り返った
その反応に、
「サワガニかなぁ? 可愛いよねぇ」
「う、うん」
胸元を強調するように、前屈みになる。
すると、
(
どうよ、と
夜が楽しみだ、と