翌日の昼。
昼食が並べられた広間で、上座に座る
「
真っ先に声をかけてきたのは、
Kクラスの副委員長であり、
「やあ、
複雑な関係性に居心地の悪さを覚えている
その後ろから、見知ったクラスメイトたちが更に広間に入ってくる。
体育委員を務める
「
同じKクラスの
「あの子たちは他のクラスに残していた
「……他クラスの女子にお手付きって大丈夫なのかな?」
コロニー間の
抗争に発展した事件をニュースで見聞きしたこともあり、
「問題ないよ。念のため、学校側にも確認しておいた。校外や学年外からのお手付きをうけた娘のための除外クラスと呼ばれるものがあってね。本来、別クラスからのお手付きはクラスへの移動になるんだが、定員を超えている為、瑞樹くんがお手付きした場合は除外クラスへの移動になるらしい」
「除外クラス……そういえばオリエンテーションで説明があった気がする。かなり特殊な例だよね」
「そうだね。一年生の除外クラスはまだ空っぽじゃないかな」
話している間に、広間の席が埋まっていく。
「そろそろ始めようか。皆、忙しいところによく集まってくれた」
騒がしかった広間が静まる。
「この席は
「この縁が、
では、と
広間の全員が杯を掲げ、
「この
それからは、賑やかな食事会が始まった。
見知った同世代しか集められていないためか、気さくな雰囲気だった。
「
「挨拶は場数を踏めば何とかなるよ。意外とパターンが少ないからね」
端のほうで、
「席を外れて、声をかけて回ってもいいのかな?」
「ああ、もちろん。難しいことは考えず、自由にしてくれていいよ」
ひよりが驚いたように顔をあげ、視線を泳がせる。
「
「……うちの親、厳しいから。習い事もあるし」
小声で不満を漏らすひより。
「じゃあ、今日は迷惑だった?」
「正直……抜け出す口実ができて助かった」
「そう、良かった。じゃあ出来るだけ、口実を作るようにするね」
「……別に、そこまでしてくれなくていいから」
ひよりはそう言うと、照れを隠すように食事に戻った。
◇◆◇
「わ、鎌倉って坂が多いんだね」
食事会が終わると、鎌倉を見て回ることになった。
辺りには古い民家が並んでいた。
「山が入り組んでいるからね。あまりにも平地が足りないから、洞窟を掘って墓所にしているほどだ」
「洞窟にお墓が入ってるの?」
「ああ。
坂を下っていると、たまにすれ違う通行人が慌てたように道を開けていく。
「……大勢すぎて、地元の人の邪魔になってないかな?」
「見せつけるのも目的だからね。多少の不便は我慢してもらおう」
「どういうこと?」
「目立つように歩いて、
「そっか……政治的な意味もあるんだね」
「彼女たちもそうだ。今は学生の身でも、数年後には家を背負うようになる。こうした顔合わせにも、ちゃんと意味がある」
そう語る
「
「嫌な女だろう。ずっと利益のことを考えているんだ」
自嘲するように言ってから、
「さっき話していた墓所だ。『やぐら』という」
「ここが……」
崖にぽっかりと横穴が開いていた。
暗がりの中に、石が積んであるのが見える。
「鎌倉時代に作られた墓がいまだに残っているなんて不思議だと思わないか。近くで見てみるかい?」
「無関係なのに入っていいのかな?」
「一帯が観光地になっているからね」
「……思ったよりも深い洞窟だね」
「
「す、数千……全部お墓なの?」
「ああ。格式のある墓として武士の間で流行ったらしい。命が軽い時代ほど、墓に拘るものだ」
間近で見ると、内部には形を保った綺麗な石塔が置かれていた。
横穴であるため、雨風に強いのかもしれないと思った。
「もっと進むと『百八やぐら』というのもあってね。名前の通り百を超える岩窟が集まっている」
「……そこまで多いと、山自体がお墓みたいだね」
「言い得て妙だ。鎌倉は山に囲まれているというより、墓に囲まれているのかもしれないね」
それから、さて、と
「お盆にはまだ早い。お墓ばかり見ても仕方ないし、街に向かおうか」
「うん」
周囲を囲む
彼女たちは適度に雑談をしながら移動していたが、その中で一人孤立しているひよりの姿が瑞樹の心に残った。