【書籍化】男女比が壊れた世界でギスギスする話(書籍タイトル:恋奪の教室) 作:月島しいる
しばらく
特にコロニー内における序列を知っておけば、事前に面倒事を回避できる。
(あいつが
赤い指輪をつけた高身長の少女の姿が、最初に目に止まった。
隣にはやたらと背の小さい少女がいて、余計にその身長を際立たせている。背の低い少女だけ金色のメッシュが入っていたが、他は比較的大人しそうな様子のグループだった。
(今のうちに個別に挨拶しておくか)
「ちょっと良いか」
「は、はい!」
「ちゃんと挨拶してなかったと思ってな。紅葉院から転入予定の
「あ、あの……はい。よろしくお願いします」
ぺこり、と頭を下げる
「日常的に鍛えているやつの身体だな。バレーか?」
「え? わかるんですか?」
「身長と足の太さでわかった」
「ふ、太さ……」
「意識的に鍛えないと太くならない部位だ。誇るべきだろう」
「そ、そうですね……」
それから、
黒のボブカットに金色のメッシュが入り、こちらも鍛えているのがわかった。少女は油断なく
「そっちは軍人の家系か。オレの立場に対し、気を遣う必要はない」
「……どうも」
次に更に後ろの、パラソルの下にいる少女二人に視線を向ける。
こちらの二人はどちらも鍛えている様子がなかった。
「私、
グループの中で一番親しみやすそうな笑みを浮かべる
「ざっとKクラスのことを知りたい。軽く紹介を頼めるか?」
「はい、いいですよ!」
「さっき一緒にいたからもう知ってるだろうけど、あれが
「……正直、驚いた。白雪にああいう奴らがいるとはな」
脱色した髪の
気怠そうな
日焼けした小麦色の肌の
「あはは。Kクラス以外にはああいう子たち、いないらしいです」
「だろうな」
「あいつらは?」
「
パッとしないグループ、というのが
あまり脅威には感じられない。
「向こうの、黒い髪が長いやつは?」
「
「大社、か」
紅葉院でも、大社の跡取りの同級生がいた。
党とは全く別の権力構造で生きている彼女たちに十八家の権力は通用しない。コロニー内の人間関係を複雑にする要因として注意が必要だった。
「それで、
「――
燃えるような赤い髪には、見覚えがあった。
「えっと、知り合いですか?」
「
「
「京都にあるデカい塔だ」
「ところで、
「えっと……」
「最初はちょっとだけ周りと衝突してたけど……今はうまくやってると思います。学期末の試験も、
「……なるほど」
うまく融和の道を選んだらしい。
「
「えへへ。また何かあったら何でも聞いてください!」
気持ちのいい後輩だと思った。
それから、
「久しぶりだな。
「やあ、三年ぶりかな?」
「ところで、年上の君に敬語を使うべきかな? それともコロニーの先輩として敬語を使ってもらうべきか」
「出来れば、堅苦しいことは抜きにしたい」
「そうだね、そうしよう。私たちは
それから、
「紹介するよ。この子は
武家の出身だと一目でわかる立ち振る舞いだった。
「ああ、よろしく頼む」
挨拶を交わしながら、考える。
問題は、彼女にどの程度まで支配されているか、だった。
「多党政治とは、実に愚かなものだ」
不意に
唐突な話題の変更に、
「同規模の二つの巨大な派閥が争っている時、その勝利を決定づけるのは小さな第三勢力となる。そして、この女王を選択する権利を持ったクイーンメーカーこそが最大の権力者となってしまう」
「……」
「私たちの偉大な党は、こうした多党政治の愚かさをよく知っているはずだ。だから秩序合理性に従い、党は永続的な一党政を堅持している。そうだね?」
「……ああ」
「願わくば、コロニーも党のように一党政による安定を得たいものだ。君が愚かな選択をしないことを期待しているよ」
「……」
考えを見透かされていることに、
噂通り、
「そうそう、あらかじめ言っておこう。コロニーの主導権を握っているのは私じゃないし、
「……なるほど」
「くだらない三すくみになるよりは良いだろう? 互いにこんなことで疲弊するのはやめようじゃないか」
「そうだな。秩序合理性は裏切らない」
「わかってもらえたようで嬉しいよ」
きっと、
それに引き換え、