【書籍化】男女比が壊れた世界でギスギスする話(書籍タイトル:恋奪の教室) 作:月島しいる
「それにしても、三人目の十八家が来るなんてな」
遠ざかっていく
三年生までにどこのコロニーからも声をかけられなかった女子が、別の学校の男子と数日交流しただけで気に入られる確率など、殆どない。
故に、縁巡りによってコロニーの席数が圧迫されることを
「十八家が三家も揃うと、残りの席が殆どなくなることになるが……」
「でも、コロニーって十人以上の規模が多いんじゃないの?」
「十人以上が同じ家に住めるわけないだろ。他はどうしても溢れて『通い』になる」
「そうなの? うちは結構いっぱいいたけど」
「……待て。
「うちはね、北海道の辺境だけど一応開拓を任された士族だったんだ。土地だけはいっぱいあるよ」
「……なるほど。地主か」
「うん。お金は全然ないんだけどね」
そこで、すぐ近くで砂の城を作っていた
「……相続税ですね」
「どういうことだ?」
「土地の相続を繰り返すと、その度に相続税が発生します。広大な土地を持っているのに現金が枯渇するのは、古い名家によくある話です」
「そーそー。だからうちって貧乏なんだけど、家は大きいから人がいっぱい住んでたよ」
「
「……」
思いもよらない視点に、
「それに
「……いや」
「……
「えっとね、コロニーの十二人全員がうちに住んでたよ。お婆ちゃんとかもいたし、子供もいるから……全部で四十人くらいかな?」
一般的な同居人数より遥かに多い数字に、
「そうか……一等市民が購入できる土地の大きさを想定していたが、それ以外のパターンもあるわけか」
「うん。今の市民階級が出来る前から土地を持ってる古い家って結構あると思う」
「いや、庶民の私じゃ思いつかないことだった。これは使えるかもしれないな」
しめしめと
「使えるって?」
「クラス中が、私と同じ勘違いをしてるってことだ。最終的な勝者は三人から五人くらいで、他のあまった女は『通い』になる。それが常識で、誰もがそう思い込んでいる」
「ど、どういうこと?」
「……十八家が三家も揃ったので、勝手に諦める人が出るということです」
「ああ、その通りだ。これは思ったよりも楽な展開になるかもな」
どうやら、ここにきて運が回ってきたようだった。
残り少ない椅子取りゲームに、人生を賭けられる者がどれだけいるだろうか。
席の総数が思ったより多いことに気づいているクラスメイトは、恐らく殆どいないはずだった。
「
「そ、そう?」
えへへ、と
「私って、足太いんだ……」
ビーチボールを抱きしめ、レジャーシートの上で体育座りする
(
そうなれば、遺伝子提供の順番の重要性など殆どなくなってしまう。
そこまで考えた時、砂浜で
うじうじとしていた
「
「
「ありがとう。ちょっとだけ休んでもいいかな?」
それから
「
「……水分を含ませてから少し乾かすと、強度があがります」
説明する
「あとは自重で潰れないように、荷重を分散しないと大きくできません」
「一緒に作っていい?」
「もちろんです」
それを見ていた
「私も作る! でっかいお城にしようよ!」
「わ、私も!」
「
「えっと、一日目が体育館で立食パーティーみたいな感じで、二日目が特別プログラムみたいなことを男女でやらされる感じだったよ」
特別プログラムという単語に、
「どんな内容だった?」
「行軍……だね。でも干潮で最短経路が後から出てくるようになっていて、一学期の時みたいに引っ掛け要素が強めだったかも」
「……なるほどな」
あまり聞いたことがない特別プログラムだな、と思った。
少なくとも、党で使い古された内容ではない。
「それで、
「うん。ボクは体力がなくて途中でヘバっちゃったんだけど、
随分と古典的な馴れ初めだな、と思いながら特別プログラムについて考える。
「これまでの特別プログラムを並べると、見えてくるものがある。一回目はシミュレーション的な密告ごっこ。二回目は行軍。引っ掛け要素があるとはいえ、特別プログラムの順番としてはよくあるものだ」
「はい。党の学習指導要領にある通りです」
「となると、次は演習だな」
「私も次の特別プログラムはクラス間の演習で間違いないと思います」
「特別プログラムって予想できるものなの?」
「担当官に相応の裁量権が与えられているとはいえ、党が決めた大枠から外れることはないはずだ」
「演習なら私を頼ってくれ。どんなプログラムだろうと、それなりに自信がある」
「体育祭でも大活躍だったもんね」
コロニーの席数が想定より多い可能性が高く、次の特別プログラムで活躍の見込みもある。
「あ!」
「神成が持ってきたビーチボールでもするか」
「うん!」
待っていたとばかりに
「いくよー!」
張り切った様子でビーチボールをトスする
それを、よたよたと
二人が動くたびに、
(……グループ選びを間違えたかもしれないな)
それを見て、今更ながらに後悔するのだった。