【書籍化】男女比が壊れた世界でギスギスする話(書籍タイトル:恋奪の教室) 作:月島しいる
「何を真剣に見ておる」
飲み物を手渡すと、
「目当ての男子が他の女と乳繰り合ってる様子など、見てても楽しくなかろう」
「楽しいですよ。色々なことがわかります」
くふ、と
「
「何の話をしておる?」
「ああ、途中でクラス移動した貴女は知らないんでしたね」
「最初の学級会で
「なんじゃと……?」
驚いたように、
遠目には、明確な異常は見当たらない。
「この通達があったのは、入学してから僅か数日後のことでした。奇妙ではありませんか。
じ、と
しかし、
「まさか……怪我をしておるのか」
「ええ、おそらく」
「……そうか」
燃えるような赤毛に目元が隠れ、その表情が見えなくなる。
彼女の様子をそのまま観察しながら、
「
「……」
どうやら、新たな手掛かりはなさそうだった。
「……
自然と、拗ねたような言葉が飛び出した。
「なんじゃ。不服なら自分から行くのも手じゃろう」
「なるほど。いい考えです」
そう言って、
「
「……おぬし中々、難儀な性格をしておるな」
浅瀬でボートを引っ張って遊んでいた
「
「ご、誤解ですぞ! そんなこと、これっぽちも考えておりませんぞ!」
「
むんず、とボートを掴み、砂浜に引っ張る。
「ご、ごめんね。ボートが結構面白くて」
「いいですか、
「そ、そうかな。これくらいは普通と思うけど……」
「いいえ、普通ではありません」
説教しながら、
「……随分と強引じゃな」
「こうでもしないと、順番が回ってきません」
そう言って、
「色々なグループに連れ回されて疲れているはずです。ゆっくりお喋りでもしましょう」
「う、うん」
「夏休みはどうでしたか?」
喋りながら、バスタオルを手に取って
「今まで遠出することなんてなかったから、何だか大人になった気がしたかも」
「自分の目で世界を見るのは良いことです」
「えっと」
そこで
「
「他の者は予定が合いませんでした。家業を背負っている者たちばかりなので」
「そ、そっか」
「一応言っておきますが、貴方と距離を取っているわけではありませんよ。
「おぬし、すごい度胸じゃな……」
横から
「何がですか?」
「男子相手に随分と上から話すのう、と思ってな」
「こうして人を導くのも大社の役割です」
「そういえば、縁巡りで
「ああ、俗物の集まりですね」
「そ、そうなの?」
「実際に行ってみて、どう思いましたか?」
「古いけど立派な校舎だなぁって」
「それだけ金を取っているからですよ。他には?」
「えっと、思ったよりは普通の学校だったかも。もっと修行みたいなことをしてるのかと思ってたから」
「いい意見です。見た目だけを整えた俗物ですからね」
「おぬし、紅葉院に恨みでもあるのか?」
「信仰とは、本来もっと個人的なものです。高い金を払えば神職への道が開かれるなど、本末転倒でしょう」
「でも、勉強できる場所は必要なんじゃないかな?」
「もちろんです。だからこそ、広く門戸を開くべきなのです」
「神に仕える者が、俗世の尺度で選別されてどうするのですか」
「……おぬしが最下位クラスに配属された理由が何となくわかってきたわ」
「
「う、うん。そっか。何で
そこで
「
四大共学と呼ばれる共学高校の中でも、公家が集まる特殊な学校。
名前だけは全国に広く知られていた。
「見聞を……広めるためじゃ。都に籠ってばかりでは、これからの時代に対応できぬ」
まるで台本を暗記しているような不自然さがあり、
「それに、白雪の制度はわかりやすいものじゃ。わらわが力を存分に振るうのに向いておる」
居心地の悪さを隠すように、
「それで、縁巡りはどうだったのですか」
助けるように話題を変えると、
「一日目はパーティー会場みたいなところで色々な人と話したんだけど、形式的な話ばかりであんまり記憶にないかも」
「女子と二人きりになりましたか?」
「そりゃそういうイベントじゃろ」
「女子と二人きりになりましたか?」
「えっと……まあ、そういう時間もあったけど」
「何をしました?」
「ちょっとずつ話をしただけで、大したことはしてないよ」
「身体には触れましたか?」
「なんの尋問じゃ、これは」
「黙ってください。重要な確認です」
「二日目の特別プログラムの時にちょっと気分が悪くなって背負って貰ったりはしたけど……」
「なるほど。緊急事態ですから、それは許容しましょう。それ以外は控えるように」
「おぬし、本当に面倒な女じゃのう」
隣から、心底呆れた声が届いた。