闇酒場...かつての禁酒法時代のアメリカで多く見られた、違法に酒を販売している店のことである。最も、今は違法な商売をしている酒場のことを指すのだが...
ここはとある闇酒場。今日も荒くれ者や脱税しているセレブが娯楽を求めてやってくるのだ。まあセレブでも荒くれ者でもないボクのような人間が来ることもあるのだが...
「お前に十万かけてんだ!負けんじゃねえぞ!」
「今日の酒代、たっぷり稼いでくれよ?」
ギャラリーの盛り上がりは最高潮だ。この酒場一番人気の催し物である闘技場が開かれているのだ。しかも今日の闘技者は去年のチャンプであるジョンと一昨年のチャンプである
パウロ。盛り上がらないわけがない。
ジョン「おいパウロ...去年はなぜ参加しなかった...?」
ジョンは別名シュレッダー。相手の体の一部を自慢の怪力でグシャグシャにしてしまうことからそう名付けられている。ボクが彼の試合を見たときは対戦相手の足がグシャグシャになっていた。あれは死にたくなるだろうと思った。
パウロ「魔法の修行をしていたのだ。毎日毎日まずいスープを飲むのは大変だったぞ。」
一方ジャック。彼はツァウベラーという怪人の息子で体に魔法をまとわせて戦う。まずいスープというのは多分カエルや昆虫などの生贄をたっぷり煮込んだ魔術スープのことだろう。
司会「さあ配置につけぃ!よおーい...はじめ!」
グオーン!試合開始のゴングが鳴った。それと同時にジョンが仕掛けた。
ジョン「ヒュルルルルル...ヒョウッ!」
ジョンはパウロの腕を掴んでフェンスに投げた。
ガシャン!と音を鳴らしてジャックはフェンスに激突した。
ジョン「まだまだ行くぜェ...?ホアァァァッ!」
ジョンはパウロの頭を掴み、フェンスに何度も叩きつける。常人ならこの時点ですでにダウンかギブアップだろう。実際常人ではないパウロも血を流している。ボクはもう終わったと思っていた。けどその時、
パウロ「NYYYYYYYYY!!」
パウロが寄生をあげだした。そして紫の光をまといだし、一気に解放した。瞬間にジョンは吹っ飛んでボクの眼の前のフェンスに激突した。
パウロ「これだけの魔量力を解放したのは極東のものが連れていた大猿と戦ったときぐらいだ...あのときは負けてしまったが今はこの倍は出せる...」
パウロはニタァと笑っていた。気味が悪い。
パウロ「フハハ...さあジョン!私が編み出した技、ツァウバーファウストをくらうがいい!」
パウロは全身にまとわせた魔力を右手に集中させる。そして集中した魔力をジョンに向かって飛ばした。飛ばされた魔力は大きな拳の形になっていた。
ジョンはそれをモロに食らってしまった。口から血を吐き出す。
ジョン「くっ...こんなに威力の高い魔力弾は初めて見たぜ...いい...こういうのがオイシイんだよな...」
ジョンは立ち上がり、上着を脱いだ。髪の毛は逆立ち、異様な雰囲気を醸し出していた。
パウロ「死に晒せ!NYYYYYY!」
ジャックはさらに魔力弾を放ったが、ジョンは姿勢を低くして突っ込んだ。
ジョン「こんな狭いところでは弾は役に立たんなぁ!」
ジョンはパウロの懐に飛び込み、パウロの足を掴んだ。
ジョン「トルネード・スロウ・アタックだァ...フォアアアア!」
ジョンはパウロを掴んだままぐるぐると回り、パウロをフェンスに思い切り投げつけた。
パウロは寸前でなんとか受け身を取った。
パウロ「弾がだめならこいつはどうだ?フン!」
パウロは魔力を手に集中させてジョンを殴った。
ジョン「さっきのを近距離で打っただけじゃねェのか...ッ!?」
ジョンはぐらりと体制を崩し、膝から崩れ落ちた。ジョンの身に何かが起こっていることはボクでもわかる。
パウロ「どうだ私のドゥアラインアンダーシュラークは...魔力は攻撃の威力を上げるだけではないのだよ。気分はどうだね?」
ジョン「グラグラするなァ。最悪の気分だぜ...」
ジョンの視界はモヤモヤしていた。くらくらする。立てない!
パウロ「フハハ...もう終わりだな...死ねい...!」
パウロは魔力をため始めた。体の周りの禍々しいオーラがどんどん増幅し、拳に凝縮された。ジョンは...立ち上がった!
ジョンはパウロの腕を掴み、ぶん回して投げる。パウロは投げられた衝撃で攻撃をキャンセルしてしまった。
ジョン「勝手に殺すんじゃねェぜ...最終ラウンド、始めようや...!」
ジョンはパウロにラッシュを仕掛けた。パウロもそれに応じる。
パウロ「良いラッシュだ...だがもう終わりだ...!」
パウロは距離を取り、魔力をため始めた。ジョンは身構える。
パウロ「これが正真正銘最後の魔法だ!くらえィ!ウンエントリヒ・クヴァール!」
パウロの周りのオーラが緑から赤色に変わる...そして、パウロが黒く染まり始めた!
ボクはこの技をくらった人の末路を知っている。くらった人はあまりの苦しみに奇声を上げながら自殺してしまうのだ。
パウロからとてつもない苦痛の塊がジョンに向かって発射された。ドーン!と大きな音が鳴り響き、赤い霧が一時的にジョンがいた場所を包みこんだ。
パウロ「終わったな...」
パウロが後ろを向いたその時!
ジョン「ばア!」
なんとパウロの後ろに回り込んでいたのだ!パウロもギャラリーもボクも驚きを隠せなかった。ジョンはまともにくらってしまったと思ったからだ。
ジョン「煙と満身のせいで俺が避けたのを気づかなかったようだなァ!」
ジョンはパウロの足を掴んで潰した。
パウロ「NYYYYYYY!?」
ジョンはそのままパウロの頭にストンピングを食らわせた。
パウロはもう動かない。
「勝負あり!勝負あり!」
ジョンは彫刻のように美しい勝利のポーズを取っていた。ボクは感動し、彼に会いに行くことにした。
「すごかったですジョンさん!さすがチャンピオン!」
ジョンは少し驚いた跡、ニヤアと笑いながら近づいた。体の力の入りぐあいから見るに、起こっているのだろう。
ジョン「さすがチャンピオンだァ?お前みたいなのが言えるセリフじゃないぜェ...!」
「何のことですか...?それに、ボクは普通ですよ?」
ジョンは更に力を入れていた。
ジョン「とぼけんじゃねェぜボウヤ...テメェの事は知ってンだよ...エェ?
猛獣ジャックさんよォ...!」