4月...それは入学の季節。高等学校なんてものは基本的に金さえあれば好きなところに行ける。退学になるやつも年ごとの学費が払えなかったものくらいだ。
ジャックは酒場で稼いだ金を持ってムハルグラード魔術学校に向かっていた。
創立当初は魔術科のみだったこの学校は今は魔術の他に妖術科、霊術科、格闘術科などの学部がある。ジャックは様々ある学部の中で一番学費が安い普通科に入学する。普通科は学費が13万ケイルであり、これは最低賃金の一ヶ月分である63万ケイルよりも圧倒的に安い。ジャックの一戦あたりのファイトマネーはだいたい200万ケイルであり、格闘術科にも入れたが、そうはしない。なぜなら普通科にはガラの悪い生徒が多く、なにか問題を起こしても目立つことはほとんどない。そのためほぼ自由が約束されているのだ。
ジャックは学校の正門をくぐる。ジャックが通っていた中学校とは比べ物にならないほど大きく、豪華。建物は国の有名な建築士が設計したらしい。
ジャック「酒場の百倍、いや二百倍はあるだろうな...」
ジャックは校舎の中に入り、受付を済ませると入学式会場の椅子に座った。すでに多くの生徒が座っていた。六千人くらいだろうか。まだまだ入学者がいるというのだからおどろきだ。それだけの人数を収容できる会場もとんでもない規模なのだが。
会場は中心にステージなどを置くことができるフィールドがあり、その周りを席が覆っている。フットボールや陸上競技のスタジアムのようだ。
しばらくすると入学式が始まった。校長がなにか言っているがジャックの頭には入っていなかった。退屈になって普通科席を見渡すと、新入生がセックスをしているのが見えた。他にも酒を飲んでいるもの、賭博をしているものがいて、闇酒場のようだった。他の学科にはそんな動きが見えない。ジャックはやっぱり格闘術科にしておくべきだったと思った。
???「おい、お前」
ジャックはふりかえった。
???「俺はキルカルサン中学校のケイ。お前はジャックだろう?」
ジャック「...すみませんが何処かでお会いしたでしょうか?」
ケイ「いや、合ったことはない。しかしお前は有名人だ。なんでも闇酒場で有名なファイターだってな。」
ジャック「...それ、どこで知りました?」
ケイ「雑誌だ。前に闇酒場の特集をやってて、そこでお前を知った。」
ジャック「試合、組むのかい...」
ケイ「いや、俺は今からこの入学式をぶち壊し、伝説になる。その前にお前に挨拶しに来ただけだ。ライバルになるかもしれんからな。」
ジャック「そうかい。よろしく。」
ジャックとケイは握手した。その後、ケイはオーラを纏ってフィールドへ向かっていった。
教師「な、何だお前は!」
ケイ「キルカンサンのケイ。これから伝説を作る男だ。」
教師「舐めているのか...ここは神聖な入学式だぞ!」
ケイは胸ぐらをつかんできた教師の顔を鷲掴みし、地面に叩きつけた。そして隣にいた教師の足を掴んで持ち上げると、ぶん回して遠心力で足をもいだ。
「わっわああああ!!!!」
叫び声が様々なところから聞こえてきて、人々は逃げ出し始めた。ゴロツキどもと応援に来た教師はケイに向かってゆく。
ケイ「向かってくるか...皆殺しだァ...♡」
ケイは動けずにいた学年主任の首を掴んで天井に投げた。フィールドからは三十メートルは離れているはずだ。天井に当たった教務主任はそのまま地面に落下し、破裂した。
「わあああああ!!!!」
教師が体罰用のムチを振り下ろす。パシン!と音が鳴り響くがケイはいたがる素振りも見せない。
ケイ「俺を殺したくばマスケットでも持ってくるんだな...」
ケイは教師の腹をぶち抜き、内臓を取り出して振り回した。他の内臓も骨と一緒にぞろぞろと出てくる。短剣を持ったゴロツキ3人がケイの半径10メートルに接近する。ケイは囲まれてしまった。
ゴロツキ「死ねやぁ!」
瞬間、正面から突っ込んだゴロツキは教師から取り出した肋骨で心臓を突かれ、後ろから突っ込んだゴロツキ二名は突如出現した人影に頭を潰された。
他のゴロツキは涙と鼻水を流して抜け出した。教師の応援はもう来ない。
会場は血だらけになっていた。
ケイは普通科席を見た。
ケイ「ジャック、やはりお前は残ったか!嬉しいぞ俺は!」
ジャック「さっきの人影は何だ。」
ケイ「あれは化身だ。致死量の神力と奇跡を受けることによって、2つの力が体内で奇妙な反応を起こして生まれるものだ。」
ジャックは田舎の幼馴染を思い出した。そんな儀式をさせられていたような気がする。
ジャック「化身を使うものは他にもいるのか?」
ケイ「いるかもしれんな。お前は使えんのか?普通の人間が他の種族と戦うには力不足だろう?」
ジャック「化身自体、初めて知った。そして今、もっと知りたいと思った。」
ケイ「立ち会うか?」
ジャック「酒場でな...」