入学式が終わった後、ジャックとケイは闇酒場に向かっていた。
ジャックは化身が気になっていた。
ジャック「化身には自我があるのか?」
ケイ「ないな...自分の考えたとおりに忠実に動くぜ。」
ジャック「お前は妖力とか使えるのか?」
ケイ「化身が発現するまでは妖力を使えたが...発現してからはできなくなった...」
ジャックはメモを取る。ケイはそれが気になって、
ケイ「なぜ情報を集めているのだ...?意味はあるのか。」
ジャック「人を探してるんだ。昔の、幼馴染を...」
ケイはその先を聞かなかった。多分その幼馴染も自分と同じような辛い儀式を受けたのだろう。
ジャック「ついたぞ。」
ケイは驚いていた。闇酒場というものだからかなり隠れたところにあると思っていたが、飲み屋街の中にあった。
ジャックとケイが中に入ると、大量の客で盛り上がっていた。どうやらギャンブル大会をやっているようだった。
ジャック「!ジョンさん!?」
歓声の中心にはジョンがいた。
ジョン「ジャックかァ...すごいだろ、このカネ...」
ジャック「強いんですね、ギャンブル。」
ジョン「ったりめェよォ...戦闘は力だけじゃない。駆け引きも重要だ。そして駆け引きができればかけにも強くなる...戦闘とギャンブルは紙一重、だぜ...」
ジャック「それで...闘技場は空いてますか...?」
ジョン「ああ、空いてる。やるのか?そいつと...」
ジャック「うん。彼の力に興味があるんです。」
ジョン「そうかい。よし、ギャンブルはここまでだ。盛り上げてやるぜ。オイお前ら!試合が始まるってよ!酒用意しときな!」
ケイ「まさか夢にまで見たこの酒場で戦えるなんて...ナ。感謝するぜ」
ジャック「いや、いいんだ。俺も君に感謝したい。ようやく探していた人の手がかりが掴めそうだから...なあケイ、最初から本気で来てくれないか。」
ケイ「出さないやつなどこの世におらんよ...!」
ジャックとケイはお互い構えた。ギャラリーはギャンブル大会の1.5倍くらいだろうか...
熱気がどんどん込み上げる。
ゴーン!ゴングが鳴った。それと同時にケイの化身が出現する。
ケイ「一発で決めてやるぜ!タアアアア!!!」
ケイと化身がジャックに突っ込む。ジャックは姿勢を低くした。
ブン!化身の拳がジャックの頭を通過する。空気越しに衝撃が伝わる。もし当たっていたらジャックはノックアウトしていたところだろう。
ケイ「かわしたようだがまだまだ行くぜ!ホラホラホラァ!」
ブン!ブン!化身の連撃がジャックを襲う。近距離ラッシュなんて酒場では基本中の基本だ。ジャックは間合いを取る。しかし、
ジャック「風圧がすごい...!?」
ジャックは風圧でふっとばされた。それと当時にケイが飛んでくる。
ジャックは化身じゃない、大丈夫だ。と内心安堵した。ケイは指を伸ばした手をジャックに向かって突き出す。ジャックは突き出した手を外側に弾く。ズオン!手はジャックの顔をかすめる。鼓膜が痛い。頬もだ...頬!?
なんとジャックの頬が切れていたのだ。
ケイ「化身を使うのなら本体は大したことはない...そう思っていたんじゃないのか?
しかし残念だったな。かつて致死量の神力を受けたことにより俺の体は並の者を遥かに超越しているのだ!」
ジャックは素早く起き上がり間合いを取る。しかし化身のラッシュはほぼ飛び道具と同じだ。対近接の戦法はとてもじゃないが役に立たない。
ジャック「俺にも飛び道具があれば...」
考えているうちに化身は近づいていた。化身が大きく振りかぶる。
ジャックは咄嗟に身をかわした。流石にこんな大ぶりでは当たらない。しかしかわした先にケイが飛び込んでいた。
ジャック「な...!?」
ケイ「引っかかったな間抜けがァ!」
ケイの手刀がジャックの太ももに当たる。骨までは届かなかったが、とてつもなく痛い。
動けそうになさそうだと判断したジャックはケイを掴んだ。
ジャック「動けないなら組み付いてやるよ!」
ジャックはケイの首を絞めて、全身でがっちりホールドした。ジャックはこれをやって逃げられたことは今までに一度もない。勝利を確信していた。しかし、後ろから風圧を感じ、咄嗟にはなした。
ジャック「まずいな...本体が攻撃されていても化身は動けるのか...」
ケイ「ゲホッゲホッ...ああそうだ...俺の考えた通りに動いてくれる。」
ジャック「こいつはまずいな。動けないのに組み付けない。」
ケイ「これで終わりだな!」
化身のパンチが飛んでくる。ボン!ジャックにあたっ...てない!威力が強すぎたのだ。
風圧がジャックをパンチから守ったのだ。ジャックは上に飛んだ。
ケイ「上に登ってところで何だ...貫いてやるよ...!」
ケイは手を上に突き出した。ジャックは自分がもう詰みであることを理解した。しかし、負けたくない!何か無いのか、何か!そこでジャックは風圧でふっとばされた時を思い出した。飛び道具を欲しがっていた...飛び道具...そうだ飛び道具だ!
ジャック「うまく行ってくれーッ!」
ジャックは太ももに口を当てて血を吹いた。血は霧となってケイに降りかかる。
ケイの目に血が到達し、猛烈な痛みを発生させた。ケイは目を手で塞いでしまった。
ジャック「ウオオオオオ!!」
ジャックはケイに激突した。自由落下のスピードで58kgの物体が当たったのだ。
ケイは気絶した。試合終了のゴングが鳴った。
ジャック「勝ったのか...勝った...勝った!勝った!」
ジャックは転げ回って喜びを表現した。
ジョン「凄えなアイツ...あの状態で勝ちやがった...」
ジャック「ジョンさん、俺、勝ちましたよ!」
ジョン「ああ。いいものを見せてもらった...俺もまだまだ特訓しなきゃ...な。」
ムクッ。ケイが起き上がった。
ケイ「とても楽しかった...また戦いたい。」
ジャック「死ぬかと思ったけどボクも楽しかったです。」
ジャックとケイは固い握手をかわした。