ジャックとケイは台車の後ろに立って向かい合っていた。二人の手にはホウキが握られている。
ジャック「やあやあ我こそはーッ!普通科一年Bクラスのジャックであるーッ!」
ケイ「我は普通科一年Aクラスのーッ!ケイなりィーッ!」
二人「「いざァッ!尋常にィッ!勝負ーッ!」」
二人は台車を全力で押し、飛び乗って突っ込んだ。台車は人間の歩く速さの数倍は加速しており、轢かれたらひとたまりもないだろう。
二人「「ウオーッ!!!!」」
ジャックのホウキの柄の先端がケイに到達する。ケイはとんでもない衝撃をくらい、バランスを崩した。ジャックは勝利を確信した。
ケイ「くそっ!化身よォーッ!」
ケイの背中から化身が飛び出し、ジャックの体を掴む。
ジャック「なッッ!!道連れとは卑怯なッ!!」
ケイ「道連れではないッ!我の勝利だーッ!」
化身はケイを支えて立ち直らせ、ジャックを台車から落とした。
ケイ「よーし俺の勝ちだな...今日のランチはジャックのおごりだぜ。」
ジャック「落とし合いで化身は反則だって...わかった、今日は奢るよ。」
ケイ「うむうむ。苦しゅうないぞ。」
ジャック「いつも俺が勝つからな!まあ俺は大人だから?ズルしたやつにも奢ってやるのさ!」
ケイ「それってどういう意味だよ!」
二人「「あははははは!!」」
酒場での試合を通して、二人は親友になっていた。
ケイ「そういえばさ、この後騎士道科の奴らが決闘やるらしいぞ。」
ジャック「だから今日はこの突き合いにしたのか?」
ケイ「突き合いじゃない、馬上槍試合だ...ああそうだ。で、この後見に行くか?」
ジャック「この後の授業は?」
ケイ「数学。」
ジャック「よし、サボって見に行こう!」
ケイ「了解だ。」
二人は会場に来ていた。入学式でケイが暴れた後の血痕が残っていて、必死に清掃員が掃除していた。試合が始まる前なのに席は観客でいっぱいだった。
ジャック「暴れすぎたなケイ。もう3日は経つのに終わってない。」
ケイ「たまに人を殺さなきゃあよく眠れないんだ。」
ジャック「なにそれ、こわ。」
10分前になった。段々と決闘の関係者が集まってくる。
ケイ「オイ見ろよあれ!」
ケイは広場の出入り口を指さした。
ジャック「宗教科の聖女か!かわいいなぁ。」
試合の時には怪我をした選手の治療のために必ず腕の良い宗教科の生徒が聖女をすることが決まっている。
「選手入場!!」
入口から二人の選手が馬に乗って入場してきた。ガタイがとても良く、どちらの甲冑にも派手な装飾がしてある。騎士道科の生徒は貴族ばかりだから多分たくさんの食べて成長したのだろう。両名は向かい合った。
騎士「我はヘルメン男爵の息子ムランジャなり!」
ケイ「ホントの騎士は叫ばないんだな。」
ジャック「映画じゃあんなに叫んでたのに...」
騎士「我はミスト伯爵の息子ミリキアなり!」
ムランジャとミリキアは槍を構えた。
審判「父なる神と聖母様に感謝し、正々堂々戦いなさい。それでは構え!はじめ!」
審判が腕を下げると同時に、双方敵に突撃した。
ポコロッポコロッ!馬のかける音が会場内に響き渡る。槍の先端が超スピードで激突した。
バアン!!ムランジャは槍の当たった衝撃で落馬した。
ジャック「あーあ終わりか。何だ。全然たいしたことないじゃん。」
ケイ「お前田舎者だな。」
ジャック「何を言うんだ。こう見えて都には5年もいるんだ。」
ケイ「いや、お前は田舎者だ。騎士の戦いはこれで終わりじゃないぜ。」
ムランジャが立ち上がってミリキアの足を掴んで馬から引き釣りおろした。
ムランジャがミリキアに馬乗りになる。しかしミリキアは必死にもがき、なんとか抜け出した。ミリキアとムランジャは互いに距離をとり、下僕からロングソードを受け取った。
二人は絶叫しながら突っ込んだ。ガキン!ガキン!金属がぶつかり合う音が何度もなる。
ミリキアがムランジャに蹴りを入れた。グオン!!鈍い音がなってムランジャが倒れた。
ミリキアが馬乗りになって腰から短刀を取り出す。ムランジャが必死にもがく。
ミリキア「ムランジャ!覚悟ォ!!」
ミリキアの短刀がムランジャの首に突き刺さる。ムランジャは絶叫した。吹き出した血がミリキアの腰まで達したとき、審判が試合を終了させた。
ジャック「すごいなあれ、俺はてっきり馬から落ちたら終了だと思ってたよ。」
ケイ「ちゃんとした殺し合いをあんな重い甲冑身につけてやってるんだ。勝てるかい?お前に。」
ジャック「厳しいな。俺のパワーじゃ甲冑を貫けないし、刃物がないから装甲の間を突くのもむずかしい。せめて酒場で戦えればなぁ...」
ケイ「...なあ、騎士と戦えるところを知っているが、行くか?」