闘技場酒場   作:にくしょくせーぶつ

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スカレン村

ジャックとケイはスカレン行きの汽車に乗っていた。

ケイ「俺が旅してた頃、スカレンで騎士と戦ったんだ。そいつはとっても強くてさ、

まさに怪物級なんだよ。」

ジャック「それ俺死なない?」

ケイ「大丈夫さ。お前は俺に勝ったからな。」

ジャック「大丈夫かな...」

 

スカレンは険しい森に囲まれた人口3000人ほどの村だ。駅ができたのは最近のことで、それまでは危険な森を超えなければいけなかったので、勢力争いに負けた貴族が再起のために

身を隠すことが多かったらしく、人口の70%を占める農民も貴族の子孫のものが多いという。

ジャック「俺の故郷みたいだな。ここは変な神を信仰してなければいいが...」

ケイ「お前の故郷は変な神を信仰してたのか?」

ジャック「...うん。そのせいでアイツが...」

ケイ「安心しろよ。ここは貴族の子孫が多いからバルビア正教会のやつしかいないぜ。」

ジャック「それは良かった。」

ふと、子供がはしゃぐ声が聞こえた。目を向けるとそこは川でたくさんの子供が水を掛け合って遊んでいた。中には故郷を飛び出した頃のジャックと同じくらいの背丈のものがいて、ジャックは微笑ましいと思うと同時に羨ましく思っていた。

ジャックが川に気を取られているとケイに服を掴まれた。

ケイ「ついたぞ。」

二人の眼の前には民家があった。

ジャック「騎士が住んでいる家とは思えないけど、ほんとにここなのかい?」

ケイ「ああ間違いないはずだ。邪魔するぜ。」

ケイは戸を開けた。田舎というだけあって鍵がかかっていない。

ジャック「おじゃましまーす...」

???「おーう...」

中に入ってしばらくすると、大男がやってきた。所々に包帯が巻かれており、左腕がなかった。

ケイ「!シェイ!何だその傷は、何があった!」

シェイ「まあまあ慌てるなィ負けただけだ...そっちは貴様の知り合いかい...?」

シェイはジャックを指さしていった。

ケイ「...同級生のジャックだ。こいつに騎士との戦いについて教えてもらおうとしたが...それは無理なようだな。」

シェイ「ああこのとおりだ...西の森の中に館があるだろう。そこのデュラハンにやられた。」

ジャック「デュラハンってどんなやつなんですか。」

シェイ「首がない騎士の化物さ。多分再起できずに死んだ貴族や騎士の怨念から生まれたのだろう。」

ケイ「ジャック、デュラハンと戦いに行こう。騎士を学ぶならいい相手だろう。済まないシェイ。辛いのに対応さちまって。」

ケイは頭を下げた。

シェイ「いや、貴様の成長した姿を見れただけでも良しとしよう。気をつけろよ。デュラハンの鎧は俺等の鎧の3倍は硬いはずだ。これを持っていくと良い。」

シェイは棚からパーカッションロック式ピストルを取る出した。

(雷管をハンマーで叩いて着火する先込め式のピストル。)

シェイ「危なくなったらそいつを撃って動きを止めろ。俺はそうやってなんとか逃げた。」

ケイ「ありがとう。」

シェイ「それからジャック。デュラハンは騎士の戦い方をするが普通の騎士の何倍も強い。危ないと思ったら無理せず逃げるんだぞ。」

ジャック「は、はい!」

シェイはにっこり笑った。

シェイ「じゃあ、諸君らの健闘を祈っている。行って来い!」

 

スカレンの西側の森の最深部に屋敷はあった。屋敷はいたるところに苔が生えていて明かりは見えない。窓は幾つかわれていた。

ジャック「ここか...」

ケイ「怖いか?ジャック。」

ジャック「うん。でも、いかなきゃ。」

ケイ「そうだな。」

二人はわれた窓から屋敷に入った。中はジメジメしていてネズミや虫が這いずり回っていた。

ジャック「カビ臭いな...ほんとにいるのか?」

ジャックがシェイを疑い出したその時、二人は足元にナイフが刺さっていた事に気づいた。

二人は顔を見合わせた。

ジャック「...?ケイ、お前ナイフなんて持ってたんだな。」

ケイ「俺じゃないけど...もとから刺さってたんじゃないのか?」

ズサッ!ナイフが二人の足元に刺さる。

ジャック「これ、誰かいるんじゃないのか...?」

ケイ「そりゃあいるだろうが...騎士ではないな。おい誰だ。姿を見せろ。」

ケイが呼ぶと人が角から現れた。

???「私は一時的にこの屋敷の主人の従者をしている者です。要件は何でしょう?」

ジャック「...その主人と戦いに来ました。」

従者「ご案内しましょう。ついてきてください。」

従者は手招きすると歩き出した。二人は従者の3m後ろをついていく。

しばらくすると広間に出た。そこは先程までとは違いほこり一つないくらいきれいだ。明かりもついている。

従者「しばしお待ちを。」

そう言うと従者は広間を出た。

ジャック「こういう時って何して待てばいいのかわからないよな。」

ケイ「武器になりそうなものでも探しておいたらどうだ?」

ジャック「けどこの広間には何もないぜ。」

ケイ「持ってきた荷物は?」

ジャックは自分のショルダーポーチとポケットを漁った。

ジャック「ピストルとオレンジジュースと特売のチラシ。」

ケイ「なんとも言えんな。」

そうしていると従者が帰ってきた。

従者「今から主人が来ます。黒髪のあなたはここに残ってください。金髪のあなたは私についてきてください。」

ケイ「なぜついていかねばならん?」

従者「主人のはからいです。見ているだけなら退屈だろうと。」

ジャック「良かったじゃねえか!こんなべっぴんさんと二人きりだなんてよ!」

ジャックは満面の笑みでケイの尻を叩いた。

ケイ「こらジャック!...わかった、行こう。ジャック、勝てよ。」

ジャック「ああ。ボコボコにして鎧をお前にプレゼントしてやるよ。」

二人は笑顔で握手をして別れた。

ジャック「...さて、構えるか。」

ジャックはファイティングポーズをとった。ガシャン...!ガシャン!音がどんどん近くなる。ついにデュラハンが現れた。デュラハンは魔法で実体化された馬に乗って突撃してきた。ジャックも馬に向かって突撃する。

デュラハン「馬鹿め...!馬に向かってくるなど!」

デュラハンのランスがジャックを狙う。ジャックは馬の左側、つまりデュラハンがランスを持っている手の反対側に回り込んだ。ここならランスは当たらない。

ジャックはデュラハンの足を掴んで引きずりおろした。魔法の馬は消えた。

デュラハン「なかなかやるじゃないか...しかしここからだ少年!騎士の実力、とくと見よ!」

デュラハンは盾とロングソードを取り出して構えた。

ジャックはポーチのファスナーを開けた。

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