あの武器人間はだれだ 〜あれはDevilGun〜 作:すぱーくしーど
そのはじまりと目醒め
[この肉体が死んだか。あまりにも呆気ない。別の肉体を……ヤツと同じ様に心臓になれば……。いや、無理か。]
悪魔は、憑依していた肉体の死亡を確認した。悪魔自身はその肉体に執着は全くなかったが、ふと好奇心が湧いたのだ。忌わしいアレの様に、自分が心臓になったらどうなるのか?しかし、契約は出来ない。なぜならこの肉体は既に死んでいるからだ。では、あの時身体が勝手に止まったのは何故だ、もしかしたら、この肉体にはどこかに生命の、記憶の残滓ともいうべきものがあるのかもしれない。ならば、そこにきっとある。この肉体の元持ち主、その意識の残骸が。
悪魔は探した。しかし、その残骸は見つからなかった。細かな、本当に細かいバラバラの欠片がチラホラと見つかるだけだった。悪魔は諦めようとするが、最後にふと思いつく。ならば、一度心臓になってみて、強制的に動かしてみるのはどうだろう?どうせ何も変わらないが、なぜか悪魔は自分の好奇心を抑えることが出来なかった。
[心臓には……なれた。ではトリガーを引いて……おお、これは……]
心臓となった悪魔は、自分で心臓を動かすために、一度トリガーを引く。その時、普通なら考えられないことが起こった。死んでいた肉体の心臓が一度動くだけ、そんな予想が大きく外れ、心臓の拍動と共に、「ドン!」と大きく音が鳴り響き、全身がビクンと跳ね上がる。同時に血液が全身を巡り、ズタボロだった肉体が再生していく。しかし、奇跡にはそれ相応の対価が必要だったのか。悪魔の意識は急速に小さくなり、ついには認識できなくなってしまった。
そして死んだはず、終わったはずの肉体に生命の息吹が宿り、 ゆっくりと目を開ける。
あぁ、青い。雲1つねぇ空が広がってる。オレはなんでこんなとこで寝てんだっけなぁ……。っていうか、何だ?オレって……。何にも思い出せねぇや、目覚める前のこと。
その肉体には生命が宿り、目を覚ましはしたが、それまでの記憶は一切合切抜け落ちていた。悪魔の存在が認識できなくなった代わりに、目を覚ますことができたが、肉体の記憶までは再生しなかったようだ。
「オレが誰かなんて今はどーでもいいか……。あぁ、腹減ったな。何でもいい、腹に入れないと」
目覚めた肉体は立ち上がる。そばに血塗れのワイシャツが落ちていたので、何となく羽織った。
ボロボロのズボンに、上裸。今は辛うじてワイシャツを羽織ってはいるが、一見何かあったヤバイ奴にしか見えない。
「ホント、ダメだ。足りねぇ……。何でもいい、早く喰わねぇとまた死んじまう」
ボロボロの男はフラつきながら歩きだす。もちろん行き先は決まっていない。ただ、今はただ、一歩一歩を踏みしめて歩いていた。
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