あの武器人間はだれだ 〜あれはDevilGun〜 作:すぱーくしーど
牡蠣の悪魔は奮闘していたが、それ以上に吉田は圧倒的だった。正直、後衛としての仕事は何も出来ていないと思う。吉田が青龍刀を縦に、横に薙ぐと、牡蠣の悪魔は為すすべなく傷と出血を増やしていった。たまに牡蠣の悪魔のクリティカルだと思われる攻撃が炸裂していたが、当たらなければどうということはない。吉田は難なく躱して追撃を繰り出していた。
あっという間に戦闘は終わり、吉田は青龍刀を布に包んで腰に掛けた。俺もそれに合わせて銃を胸のホルダーに戻す。今更だが、俺の身体内部につながっているだろうこの銃とホルダーはそのままで大丈夫なのだろうか。衛生上というか、細菌が入って腐ったりしないと良いのだが……。
「……。あ〜、コイツもハズレかぁ……」
「ハズレ?何のことだよ」
「最近、銃の悪魔が大暴れしてね。銃の悪魔は出現すると自分の肉片がこぼれ落ちるんだ。そして、その肉片を悪魔が吸収すると悪魔の力が向上するのさ」
「銃の悪魔……。俺がこんななのも恐らく……」
「うん、推測通りだと思うよ。確実に銃の悪魔関連だね。なんなら……」
吉田はそう言うと、牡蠣の悪魔の死体を探るのを止めて、何か考え込みはじめる。吉田が考え込むと少しの間話し掛けてもしばらくはそのままだから、もう放置して帰ろうとする。
「ちょいちょい、まだ研修中なんだからさ。勝手に動かないでね」
「んだよ、考え込んでたからよぉ」
「君は、もっと自分自身がどれほどの存在か知ったほうがいいね。公安に見つかったらよくて実験動物、悪ければ解体だよ?」
「おれみたいなのがチラホラいるんじゃねぇのかよ?」
「あー、確かにキミみたいなのはいる。公安のデンジ君やあの眼帯女……だけど、公安の子は各国から心臓を狙われ、眼帯女はマ……公安に回収された」
「デ……。ン……ジ……?まぁ、公安が守ってるって事じゃねぇのか?」
「それも良く言えば保護。悪く言えば支配だ。しかもデンジ君や眼帯女は利用価値があって逆らわないから保護されてる?だけで、君に利用価値があるかは分からないんだよ?いや、君の見た目は悪い意味で利用される可能性が高い。ううん、確実に奴は利用するだろう」
「なぁ、オレってなんなんだ?吉田は分かるか?」
「まぁ、ここで話すのもなんだ。場所を変えよう」
吉田は周囲をぐるりと見渡し、そのまま会社とは反対方向に歩き始めた。おれは吉田の後を着いていく。
30分ほど歩いただろうか。吉田は裏路地に入ると、厳重そうな扉を開き、俺を呼んだ。
「さぁ、先に入って」
「お、おう」
トールが扉に入ると、地下へ続く階段があったので、そのまま歩く。しばらく降りていくと、また厳重そうな扉があったので開けると、そこには無機質な部屋が広がっており、目の前には渋みのある壮年の男性が座っていて、酒を仰いでいた。
「おお……。聞いてはいたが……。久し……いや、記憶がないんだったか。はじめまして、俺は岸辺。よろしくな、トール」
「はじめまして、トールだ」
「その見た目で敬語もなく、先生とも言われないのは新鮮だ。いや、久し振り……かな」
壮年の男は、再度酒を仰ぐ。しばらく沈黙の時間が続き、気まずさがピークに達しそうな時、吉田が扉を開け現れた。
「来たか、吉田。お前本当に特ダネ……厄ダネ?を掴んだな」
「ええ、今はトール君と名乗ってはいますが状況から考えれば、銃の悪魔が心臓となって復活したと考えられます。心臓は恐らく銃の悪魔でしょう。ただ、大元がアメリカかソ連、もしくはそれ以外の国かまでは分からないですが」
「そこらへんは分かってるし、どの国かなんてのも気にしてねぇ。それより、心臓を持つ人間は……」
「それこそ見た目でわかるでしょう、元公安所属の早川アキで間違いない」
早川アキ!?(恐らく皆わかってた)