あの武器人間はだれだ 〜あれはDevilGun〜 作:すぱーくしーど
「なんだよ、この変なのは」
「炒め物だよ、俺が作ってパワ子が隠し味を入れてる」
「おう、そうか。うん……。おぇえっ!」
「ギャハハ!吐きおった!!」
「これで全員吐いたな〜」
これはきっと、俺の記憶の一部だ。過去の俺が経験したことや記憶を少しずつ追体験するようにして思い出しているのだと思う。だけれど、この男女の名前も、出されているこの料理……。料理?のようなものの名前も思い出せない。
……。というか、どうして夢を?俺はさっきまで……。
「ハッ!?」
「目を覚ましたか」
「先生……」
「まぁ、30回も死んだんだ。いくら不死身といえどもすぐさまの復活は難しいだろう。……前もそんな感じだったからそんな気になさんな」
「そうでしたか……。しかし、俺はどうでした?なれそうですか、とっておき」
「……。あ〜、こんな近接戦闘ばかりやっておいてなんだが、お前にはこんな近距離で働いてもらう予定ではないんだ。遠距離からのクリティカルな一撃……、お前の銃と絡めて言えば狙撃のような運用を想定していた。しかし、狙撃後、確実にお前は狙われる。その時にある程度の近接もこなせないと相手にされるがままだからな。最低限自衛ができるように仕込み中って訳だ」
「わかりました。なら、もう一度お願いします……!」
先生から貰った血液パック、3分の1程残っていた血を飲み干して、胸のトリガーを引いた。発砲音と共に、俺は銃の悪魔となる。
ただ、このままだと同じことを繰り返しているだけ。何か変えないと先生に特訓に付き合ってもらってる意味がない。
俺は考える。俺の得意は銃撃。俺の得意距離は中〜遠距離だ。しかし今は近接戦闘、つまり近距離。一般的に近距離で使用される拳銃ではあるが、対先生ではこのザマである。より近接に特化した……、洗練された銃火器……。そう、
「おお、そこからさらに変わるのか。お前達もまだまだ分かっていない事が多いみてぇだが、見た目が変わったぐらいで、いや、それは……そういう事か」
「先生、殺したくはありません。死ぬ気で避けてください。俺もこの状態は慣れてないので下手すると……」
「いや、御託はいいから。はやく動け」
先生が俺をナイフで1突きほどした段階でやっと、手を抜いていた事に気づいた。それなら、もう遠慮はしない。痛い目にあってもらうつもりで思いっきりやってやる。
ズドン!と銃声を轟かせて、両腕のショットガンを放つ。ハンドガンの時より一発の威力は下がっているが、一発に十数程の、細かく小さな玉が威力を補ってくれる。ハンドガンとは、ダメージ範囲が比較にならない。玉一発でも当たれば人間なら重傷、悪魔でもダメージ必須だろう。
そう考えると、目の前の男はきっと人間ではないのだろう。近距離でのショットガンを全て回避し、戦闘継続が可能な箇所を的確に狙って、ナイフや殴打で緻密な攻撃を加えてくる。
俺はもう、相手をただの人間と考えるのは止めて、両手のショットガンで銃撃を続け、頭のショットガンで隙を狙い撃つ作戦へ切り替えた。作戦がバレないよう冷静に、焦りを装って、両手で散弾をバラまく。
「クッソぉ!なんで、近距離で散弾が当たらねぇ!?」
「まぁ、ハンドガンよりは難しくなってるが、視線や呼吸、腕の向きである程度の予想は出来る。後は動けば良いだけだ」
「そこだッ!!」
頭のショットガンを放つ。ハンドガンでさえとんでも無い威力を発揮した頭の武器。ショットガンならどんな効果を発揮すると言うのだろうか。
ドパン!と一際大きい発砲音が鳴り響き、前方の地面が抉れて大きな土煙が舞った。先生の姿は見えない。もしかして、今の一撃で……。
周りを見渡して探していると、後ろから頚椎を一撃で砕かれたようで、そのまま地面へと倒れてしまった。
「まぁ、マトモで悪くはない作戦だった。両手のショットガンで隙を作り、本命のヘッドショットガン……。普通のヤツならヤラれていたかもしれないが……。残念、相手が最強のデビルハンターじゃなければな」
「……先生。アンタさ、マトモじゃあねぇだろ?」
「おぉ、お前からそんなこと言われるとは思わなかったよ。お前も記憶がトんで、さらにイカしたデビルハンターになったんじゃないか?」