左遷提督は今日も元気です   作:僻地勤務の兵士

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第10話 不意遭遇戦

執務室での話から数日後

大塚少将の計らいによってトラック泊地にも任務回ってくるようになった

内容は簡単な哨戒任務ばかりだったが、他の艦娘と接触させない為の配慮だろう

 

「1番カタパルト圧力良し……行くよ!」

 

キティホークの艤装から行き良いよく放たれるE-2C ホークアイ

空中早期警戒機と通信衛星 天照のお陰で、従来の艦娘よりも効率的に広範囲の哨戒が行えるようになっていた

 

「おぉ〜!流石はキティ」

 

ピーターが手でひさしを作り、飛び立っていくホークアイを見送る

 

「そうでしょ〜。本当はこの子達も活躍させてあげたいんだけどな」

 

褒められたキティは嬉しそうにしながらも、出番のない戦闘機たちを見つめる

 

「仕方がない...ミサイルの方が損害もないし確実」

 

もがみ がそう言うと、キティは苦笑いを浮かべる

 

「まぁね。そもそも戦闘機が必要な時点でピンチな訳だからね」

 

そんな会話が行われている頃、泊地では

 

 

「さて、おおすみ から要望があった通り輸送艦を建造するか」

 

俺は工廠で妖精さんに建造のお願いをしていた

現在の資源輸送は おおすみ 1人に頼りっきりになっており、本人から直々にもう1人輸送艦が欲しいと要望されたのだ

それに合わせて戦力強化もついでに行おうと、今回は一気に5回の建造を行うことにした

 

「けんぞうですか?」

 

「あぁ。今回は一気に5回頼みたい」

 

そう伝えると妖精さんは嬉しそうに飛び跳ねる

 

「ごかいもけんぞうさせてくれるんですか!」

 

「あぁ輸送艦を1隻建造してくれたら、残り4隻は任せるから」

 

任せるという言葉を聞いた妖精さんたちはやる気をみなぎらせていた

その時、工廠の扉が勢い良いよく開く

 

「提督!」

 

振り向くとウォルトが立っていた

 

「ウォルト、遠征から帰ってきたのか…ってどうしたんだ?」

 

俺は肩で息をしている姿に驚く

 

「提督…ピーターから緊急通信です」

 

 

「ホークアイから受信……どうしようピーター…航空機と接触しちゃったみたい」

 

キティはあははと笑いながら後ろ頭をかく

 

「えっと…それは深海棲艦のってこと?」

 

ピーターは冷静に聞き返す

 

「違うみたい。提督との講習で習った彩雲みたいだよ」

 

彩雲...帝国海軍で使われていた優秀な偵察機で、日本の主力艦載偵察機だと提督に教わった

ピーターは少し悩む

私たちの情報は提督の話では公になっていない

つまり、敵の航空機と認識されてもおかしくない

ピーターは決断し、指示を出す

 

「旗艦ピーターソンよりキティホークへ下命。ホークアイの撤退援護で戦闘機隊の出撃を要請。直援も上げられるように待機させて」

 

その命令にキティは目を輝かせる

 

「キティホーク了解!さぁ出番だよ皆!即時スクランブル、1、2番カタパルトを使用。待機は3、4カタパルトへ」

 

キティの掛け声で艤装上の妖精さんたちが忙しなく動き、戦闘機の発艦作業を進めていく

キティのカタパルトから高圧蒸気の白煙があがりだす

そして、最初に2機のFー14がカタパルトの力を借りて、勢いよく発艦

間髪入れずに2機のFー18が発艦した

 

 

時は少し戻り

 

「赤城さん、彩雲から入電よ。未確認機と接触したみたい」

 

「そうですか...」

 

横須賀鎮守府の第1艦隊は、重要輸送船団の護衛でここまで南下して来ていた

沖縄が包囲され、日本と東南アジアの補給線は太平洋側へ大きく張り出す形になっており、敵航空機による空襲被害が多発していた

そこに来ての未確認機との接触、深海棲艦の偵察と思わない方が間違いだ

赤城は決断を下す

 

「輸送船の直掩機を迎撃に回し、追加の彩雲を発艦。敵艦隊の位置を掴みましょう」

 

加賀は頷くと、上空の直掩機に指示を出し迎撃へ向かわせた

迎撃に向かった機体を見送った赤城と加賀は、風上へ針路を変針

弓から矢を放つと、彩雲に変形

安定飛行へ入った彩雲を扇状へ散開させた

 

 

スクランブル発艦から10分後

 

「ホークアイから受信。左エンジンに被弾、SOS信号受信!」

 

キティは悲痛とも焦りとも取れる声でピーターへ報告を入れる

それもそのはずだとピーターは思った

空母にとって艦載機は子供のようなもの

その子供が撃墜されかけているのであれば、誰だって冷静じゃいられない

その間にもキティは報告を上げる

 

「援護機より連絡。これより交戦に入る」

 

援護機が何とか間に合ったようだ

その報告にピーターは小さく息を吐く

しかし、次の瞬間ピーターの対空レーダーに小さな光点が出現した

顔を上げると、もがみ も同じらしく頷き返してきた

 

「レーダーに未確認機確認。目標αと呼称。対空戦闘よーい!!」

 

艦隊に緊迫した空気が流れる

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