ウォルトから報告を受けた俺は、急いで作戦司令室へと足を運んだ
「こちらCP。ピーター状況は?」
『こちらピーター、感度良好です。すみません提督。日本艦隊の彩雲とホークアイが接触、見つかっちゃいました』
俺は頭を抱える
まさかこの海域に空母を派遣するとは、一体どうなっているんだ
「それで対応はどうした」
『キティから戦闘機4機をスクランブル、ホークアイの撤退援護に回しました。迎撃に来た戦闘機と戦闘になりましたが、全機撃墜の後帰還中です。それと、先程から私と もがみ の対空レーダーに索敵行動と思われる飛行をする航空機を確認しています』
撃墜だと
おまけに索敵中の航空機…もし見つかれば、艦爆や艦攻が大挙して押し寄せるぞ
俺は急いで艦隊の位置が表示されたモニターに視線をやる
「いいかピーター。ホークアイを2機あげて、その航空機が飛来した方向を重点的に索敵。接触した時間から考えれば、そう遠くない位置に相手艦隊が居るはずだ。相手を見つけ次第、援護機の1機をそちらに回せ」
『艦隊に直接攻撃するんですか!?』
驚愕の声を上げるピーターに、俺は冷静に伝える
「警告だよ。これ以上関わるなっていうな」
不明機の迎撃に向かわせた戦闘機からの通信が途絶えた
赤城と加賀は顔を見合わせる
「全滅したのかしら…あの子たちが」
「それにしては時間が早くありませんか?なんの一報も入れずに全滅なんて」
そこへ摩耶が割って入る
「なんか電探に反応があるぜ...電探の故障か?」
「どういう事ですか?」
「いや...移動速度が速すぎるんだよ」
赤城は額に冷や汗を垂らす
「速度はいくつですか」
「計算するからちょっと待ってくれ...えぇと、900kt!?時速1670kmって…やっぱり電探の故障か?」
その言葉を聞いた時、赤城の脳裏に嫌な考えが浮かんだ
まさか噴式機?
確かに開発段階とは明石さんから聞いたけど...まさか深海棲艦が?
赤城は考え込んでしまう
しかし、その思考の海から加賀の言葉で現実に引き戻された
「直援は間に合わないわ!摩耶を中心として対空戦闘用意!」
「けどあんなのどうやって落とすんだよ!三式弾でも速すぎて効果は無いぜ!」
「雪風と涼月さんが前へ出ます!摩耶さんは2人の直援を!」
「10時方向、敵機視認!!」
混乱する中、最上の報告が上がる
全員がそちらを見やると見たことの無い航空機がまじかに迫っていた
「っ!!?」
赤城は被弾を覚悟した
しかし、その航空機は目の前で急上昇すると来た進路を引き返していく
「助かったのか?」
摩耶がそう呟く
だが、赤城は空母として別の意図を読み取っていた
「いえ、あれは警告です。これ以上関わるなと...けど一体誰が...」
「それより赤城さん。あれが警告なら彩雲を下がらせた方が良くないかしら?」
呆ける赤城に加賀が助言をする
「そうですね。全機帰還させましょう」
「警告終了。これから帰還するって」
キティからの報告を受けたピーターは頷き返す
しかし、その間にもレーダーの光点は着々と近づいてきていた
「もがみ…その時はやるからね」
ピーターの言葉に もがみ は静かに頷き返す
その瞬間、光点は索敵時の飛行を止めた
それどころか一直線に来た方角へ引き返していく
警告が効いたのだ
ピーターは肩から力を抜いた
「ふぅ…何とかなったね。対空戦闘用具収め」
戦闘警戒から解放された艦隊の空気が少しづつ柔らかくなる
ピーターは状況を無線で報告する
「CP、こちらピーター。感度いかが?」
『こちらCP。感度良好、どうぞ』
「指示通りに行動を決行。結果、航空機は引き返して行きました」
無線機の向こうから気の抜けた声が帰ってきた
『そうか…良かった。無闇な戦闘は避けるべきだからな。特に今回は同士討ちになるところだった』
「本当にそうです。相手が意味に気づいてくれて良かったです」
『ここまで来てる艦隊だ。バカじゃ務まらないよ。それじゃあ安全に帰還してくれ。終わり』
提督との交信が終わったピーターは伸びをしながら振り返る
「さ、航空隊を収容したら帰りましょ!私たちの家に」
その顔には安堵の笑顔が咲いていた