「建造か…まぁ艦娘が居なければ何も出来ないからな。お願い出来るか?」
俺の言葉を聞いた妖精さんたちは、水を得た魚の如く行動を開始した
本来なら使用資材を指定して建造するのだが、今回は妖精さんたちの好意から行われるものだ
俺が指示できるものは何も無い
暫く妖精さんたちの動きを見ていると、2つの高炉の様な装置の上に3:00:00と5:00:00表示された
「3時間と5時間か」
時間的に駆逐艦と軽巡だろう
いや、戦艦や空母なんて来たら資源も無いから動かすことが出来ないぞ
俺は腕時計を確認する
(今が13時だから16時と18時か…それまで部屋の片付けでもしよう)
俺は妖精さんに部屋に居ると伝えようとしたが、工廠の奥からバーナーを背負った妖精さんが現れた
「こうそくけんぞーう!」
そう言って高炉に炎を浴びせていく
すると時間がみるみる短縮され、あっという間に0になった
その瞬間扉が開き、白い煙と共に少女が2人姿を現した
白い煙が晴れ、まず右側の少女の姿をはっきりと捉えられた
その姿は、白銀に近い薄い金髪を星条旗モチーフのリボンでサイドテールに纏めた緩い巻き髪
服装はネイビーブルーのセーラー服で、袖口とスカートに白いラインが入り
その胸元には白のネクタイと金色の錨の刺繍
彼女はスカイブルーの瞳でウインクする
「初めましてAdmiral!スプルーアンス級駆逐艦DD-969 ピーターソンです!任せて!旗艦経験はバッチリなんだから!」
困惑する俺は、視線をそのまま左に移す
そこに立つ少女は銀灰色の長髪にアンバーゴールドの瞳
アメリカ海軍士官ドレスコートを基調とした服を着て、知的な印象だ
「ズムウォルト級ミサイル駆逐艦DDG-1000 ズムウォルト着任しました。貴方が指揮を執る艦隊...その情報系統すべて私が制御します。これが未来の駆逐艦の形です」
自己紹介を終えた2人は俺をじーっと凝視してくる
俺は色々な疑問を抱えていたが、挨拶をする
「日本国海軍少佐、桐生遼司だ。これからよろしく頼む」
2人は日本という言葉に顔をしかめる
「日本ってJAPANの事ですよね?」
と、ピーターソンが
「私たちはアメリカ海軍所属ですよ」
と、ズムウォルトが続ける
俺は急いで妖精さんに向き直る
「これはどういう事だ?」
「わかりません」
「分かりませんって無責任な」
「しかし、わたしたちのけんぞうはていとくさんのそしつとかんけいがあるのです」
「素質?」
「はい。つまるところ、ていとくさんにはとくべつなそしつがあったということです」
俺が妖精さんとコソコソ話していると、ズムウォルトが咳払いしてくる
俺は気を取り直して2人に向き直る
「まぁ色々あって君たち2人は俺の指揮下に入る。何か疑問は?」
手を挙げたのはピーターソンだった
「本能で今が戦時中だと分かります。敵はどこですか?ロシアですか?中国ですか?」
「流石だな。確かに今は戦時中だ。しかし敵は国家でも、ましてや人類でもない...」
2人に深海棲艦のこと、そして現在の世界情勢を説明した
その説明に2人は納得したらしい
そして、今はアメリカや日本などと国家を気にしている場合でもないと分かってくれた
「理解してくれたところでこちらからも質問したい。君たちは何なんだ?スプルーアンス級やズムウォルト級なんて聞いたことがない。それに武装は?」
俺の質問にピーターソンが笑顔で答える
「私たちスプルーアンス級は、冷戦のさなか、アメリカ海軍が“静かな脅威”と呼んだソ連潜水艦を狩るために生まれたんです!主任務は対潜戦。だから、私の艤装はソナー、魚雷発射管、アスロック対潜ミサイル――それに、Mk45 127mm単装砲!遠距離から敵を見つけて、正確に叩くのが得意なんですっ!でも、艦隊行動の支援も任せてください。通信、索敵、旗艦任務もお手のものですから!ハープーン対艦ミサイルでの対水上戦もこなせるし、防空射撃だってできます!つまり……私は“万能駆逐艦”! 提督の右腕になってみせます!」
ピーターソンの説明が終わると、ズムウォルトが口を開いた
「あなたの言う通り――“駆逐艦”というより、“未来型戦術艦”。そう呼ばれることもあります。設計思想は、情報・電子戦・遠距離打撃。艦隊の目であり、頭脳でもある。それが私の存在意義です。艤装は全電化システム、レーダー反射断面積を極限まで抑えたステルス外板。そして、160基の垂直発射管(VLS)。主砲は155mmアドバンスド・ガン・システム(AGS)――本来なら、陸上の敵を数百キロ先から狙撃できる設計です。さらに電子戦用アンテナ、赤外線・電磁波センサー、AI制御による目標管理……私は、戦場全体を一度に見渡すことができます。敵の索敵範囲の外から――すでに制圧を完了させる。それが、私の戦い方です。……火力よりも、情報で勝つ。そういう時代が来たのです」
まったく理解出来なかったが、体裁を保つ為にわかったフリをする
「なるほど……君たち、見た目も装備もまるで別世界の艦だな。」
「へへっ、でも根っこは一緒ですよ!仲間を守るために戦う――それは時代が変わっても同じです!」
「……その通りです。私たちは“未来の海”から来た、ただの駆逐艦です。ですが――」
「ですが?」
「……貴方の指揮のもとなら、どんな時代でも最適化してみせます。提督」
「そういうことですっ! 私たち、ちゃんと戦えますよっ!」
性格が正反対の2人だが、芯にある物は一緒なんだな
それが分かった俺は安堵する
未知の艦娘だが、一緒に戦える
そんな確信めいたものが芽生えていた
「ま、ここじゃなんだ執務室でじっくり話を聞かせてくれ」
そう言って2人を工廠から連れ出したが、俺の荷物だけが床に置かれた執務室を見て2人が驚愕したのは言うまでもなかった