ピーターソンとズムウォルト(ピーターとウォルトと呼んでいる)が着任したのが昨日
そして今日、ついに妖精さんたちが言っていた機材等のプレゼントが貰えた
「いちどそとにでてください」
そう言われて本館を追い出されて早10分
ジメジメとした肌にまとわりつく空気に嫌気がさした頃に扉が開かれた
「おわりました〜なかへどうぞ〜」
俺はピーターとウォルトを連れて中へ入る
そこは見違えるほど綺麗に、そして豪華になっていた
昨日まで下地がむき出しだった天井や壁には綺麗な壁紙が張られ、床には赤い絨毯がひかれている
各部屋にはルームプレートも設置され、ひと目で何の部屋かを確認できるようになっていた
「ささ、こちらへどーぞ」
妖精さんはルームツアーをしてくれるらしい
後について行くと、各部屋を丁寧に説明してくれた
「ここはじむしつです。かんむすのみなさんがじむさぎょうにつかいます」
うん、普通の事務室だな
「ここはさくせんしつです。ここでかんたいのしきがとれます」
「見慣れない機械があるがこれはなんだ?」
「これはむせんそうちです」
「見たことない無線装置だな?」
「そりゃそうです。かんむすおふたかたのつうしんほうしきにあわせたむせんそうちですから。げんざいはVHFむせん、HFむせんにたいおうしています。つうしんえいせいをうちあげしだい、えいせいつうしんにもたいおうさせるよていです」
「「衛星を打ち上げるんですか!?」」
2人が食いついたぞ
「はい。しざいがあつまり、きょかがでしだいえいせいのせいさく、うちあげにちゃくしゅするよていです」
その話を聞いた瞬間、2人は首がもげる勢いでこちらに振り向くと意見具申をしてきた
「提督、今すぐ資源を回収に向かいましょう」
「そうです!一刻も早く衛星を打ち上げるために!」
2人の圧に押されながらも、俺は基本的なことを聞く
「待て2人とも...そもそも衛星って何なんだ?」
俺の疑問にウォルトがそうでした、ここには衛星がまだないんですねと前置きしてから説明してくれた
「提督、衛星通信。通称SATCOMは、現在の艦隊指揮における生命線です。地球を周回する通信衛星を経由して、音声、データ、映像……あらゆる情報を即座に共有できます。例えば、私たちが太平洋上にいても、鎮守府や作戦司令部とのリアルタイム通信が可能です。使用するのはUHF帯とEHF帯。UHFは広範囲通信に、EHFは高秘匿・高速データ転送に適しています。データリンク、艦隊指揮、戦術更新、敵位置情報。全てが衛星を経由して連動しているんです。」
ここまでは良いですか?と言わんばかりの沈黙に俺は頷く
「ですが……敵が電磁妨害を行えば、その回線は簡単に沈黙します。妨害、衛星破壊、太陽嵐……どれか一つでも起きれば、艦隊は“情報の孤島”になります。だから私は、SATCOMの監視を常に行っていました。通信遅延、周波数揺らぎ、異常ノイズ……どれも見逃せません。提督、衛星通信は見えない補給線です。物資が無ければ艦は動けないように、情報が無ければ艦隊は戦えません。私がいる限り、その補給線を……絶対に、途切れさせません」
なるほど...つまりはるか上空に電信局の中継地点を置くものと考えればいいわけか
え?それって無敵じゃね?
「衛星の重要性が分かってもらえましたか」
ウォルトが何故か我がことのように誇っている
「けどな...遠征と言ったってどこで何が手に入るかという情報が...」
そこまで言いかけた時に、無線機が平文のモールスをキャッチした
『発パラオ泊地、宛付近ノ艦隊及ビ基地。我現在敵ノ襲撃ヲ受ケル。至急援護モトム』
その文を見た時に、俺は1つ思い付いた
「2人は全速航行でパラオ泊地まで行けるか?」
俺の問いにピーターが聞いてくる
「距離は?」
「870海里。約1,600kmだ」
2人はニヤリと笑う
「余裕ですよ」
「余裕です」
その答えを聞いて俺は命令を下す
「よし、出撃だ。旗艦はピーターソン、各自の判断で行動してくれ。目的はパラオ泊地の救援だ。準備ができ次第出撃。それと...これをパラオ泊地の提督に渡してくれ」
俺は私物のノートから1ページ破り、殴り書きする
それをピーターに渡す
「分かりました、提督」
2人は勢いよく本館を飛び出し、海に向かって走っていった
2人の背中を見送った俺は、さっそく返信をする
『発トラック泊地、宛パラオ泊地。救援ニ向カウ』